ハルナ モータースポーツランド

群馬県北群馬郡のカートコース、榛名モータースポーツランドは、鈴木亜久里(様)、高木虎之介(様)、佐藤琢磨(様)といったF1パイロット(様)たちを輩出した名門コースだ。また、もともとマイナーなモータースポーツの中でも、さらに超マイナーなレーシングカートを題材にしつつも、みごと中ヒットを飛ばした奇跡のレースマンガ『Capeta』(曽田正人 作/講談社 刊)に登場するコースでもある。
トラックは全長900メートル、反時計回り。130メートルのホームストレートエンドから飛び込む高速コーナーと、曲率に工夫をこらしたいくつものタイトコーナーが絶妙のバランスでレイアウトされているから、マトモなカートに乗っているマトモなカートドライバーなら、思うぞんぶん白熱のバトルを楽しめるだろう。
路面はいうに及ばず、スポンジバリアやグリーンなどの設備が驚異的に美しく整備されているばかりでなく、安全性が高く事故の少ないコースとしても定評がある。
ただ、ここまで本格的なレーシングカートコースだと、逆にレンタルカートに関しては、いささかオマケっぽい扱いとなるのもやむを得ない。
榛名のレンタルカートにはレジャーっぽいヌルさはない。あくまでモータースポーツ入門者のための体験走行用だ。正体不明のあやしいフレームにホンダの4サイクル汎用エンジンGX160を搭載したカートには、ラップ計測器もオーディオもカーナビもエアコンも付いておらず、見た目はたいへん地味っぽい。でもいちおう自動遠心クラッチが付いていて、60キロの最高速度が出せるのだから、まあまあ満足すべきだろう。
ただ、このカートのシートがやたら遠くて「人間ダックスフント」の異名をとる短足人類タカハシでは、悲しいかなペダルに足が届かなかった。
ふつうのレンタルカートコースだと、こういう場合に備え、あらかじめシートの位置を変えた何台かのカートが用意してあるものだし、そうでなくてもシート調整用のスポンジの切れっぱしくらいは準備してあるものだが、ガチ体育会系の榛名にそんなものはない。係の人が座敷から持ってきた生あたたかい座布団を背中に詰め込んでもらい、どことなく和風っぽく、なんとなく和尚っぽい姿となって、ようやくコースインすることができた。
それはいいが、榛名のコースでは、GX160は絶望的に非力だ。いったん走り出すと、あとはほとんどずっとベタ踏みの全開。減速のためにブレーキを使う必要はまったくない。
が、それでも速く走ろうとすれば、そこそこの工夫とテクニックが必要だ。榛名で育ったF1パイロット(様)たちの偉業に少しでもあやかろうと、タカハシも必死の形相で渾身のアタックを試みたが、けっきょくロクな走りができないまま、10分間/2500円の走行はあえなく終了した。
F1への道は、甲子園への道よりもはるかに遠い。榛名をちょっと走っただけでF1の夢をスッパリ断たれたタカハシは、がっくりと肩を落とし、背中を震わせてむせび泣きながら、せめて走行の思い出にと、路面に散らばっていたタイヤのチビリカスをかき集め、ビニール袋に詰めて持ち帰ることにした。
偉大なF1パイロット(様)たちがコースに残してゆかれた高貴なタイヤのチビリカス(様)は、神棚に上げて三拝し、煎じて飲ませていただくつもりである。せいぜい下痢しないことを祈りたい。



コースは全長720メートルの時計回りで、ごく短いメーンストレッチ以外には直線部分がなく、やたら旋回ばかりが続く特殊なレイアウト。だから走行中は、えんえんとステアリングを切って右へ左へ曲がり続けることになる。アンダーパワーのスポーツカートなので横Gはそんなでもないが、重いステアリングを切り続けるせいで、腕と指がめちゃくちゃ疲れるのが特徴だ。
クイック羽生には、9000円で乗り放題のフリーパスが用意されている。まさに破格の激安大特価料金だが、どっちかというと中・上級者向きのサービスで、初心者にはあまり薦められない。強い保蛇力が必要なクイック羽生のコースでは、慣れないドライバーだと握力が続かず、そんなに長くは走れない。払い損になるともったいないから、最初は2000円で10分走れる標準的なチケットから試したほうがいいだろう。
レンタルカートコースには、タイムのプリントアウトサービスがあるのが普通だが、クイック羽生にはない。多くのレンタルカートコースで採用されている赤外線式計測システム(コース側でタイムを測定する)ではなく、磁力式計測システム(カート側でタイムを測定する)を使っているためだ。
係員によると、初めてカートに乗った人だと、だいたい50秒を切れば、まずまずのラップタイムだという。常連ドライバーには46秒台で走る人が多いらしい。
ところでクイック羽生には、カートコースには珍しく、管理棟内にゲームコーナーがある。かわいいカピバラのぬいぐるみが釣れるUFOキャッチャーが置いてある点は絶賛に値するが、その隣にカーレースゲームがあるのは、いかがなものか。わざわざカートコースでカーレースゲームをする奴がいるんだろうか……。
主催者タカハシが金に困っていたり貧乏していたり生活苦に陥ったりしていたため2008年の開催が見送られたレンタルカートレースSWGP(スモールワールドグランプリ世界選手権大会)だが、2009年は東西両地域でシリーズ戦が開かれる見通しが立った。
しかも猪名川のレンタルカートは、そこらによくあるトロいスポーツカートとはモノが違う。老朽化によって徹底的にナチュラル・デチューンされ、死ぬほどアンダーステアにセッティングされてはいるが、とりあえずKT100やPRDといった「本気と書いてマジと読む」バリバリのレーシングエンジンを搭載したモノホンのレーシングカートなのだ。
難コース+高性能カートとくれば、それだけでもエントラントのボルテージは上がる。しかも今回からは「カート所有者は賞典外」という参加制限が撤廃されたため、SWGPに君臨する歴代チャンプに対し、腕自慢のレーシングカーターが真っ向勝負を挑む、いっそうエキサイティングなグランプリとなった。
レースはタイムアタック形式。12名のエントラントは、同時に4台ずつコースインしてアタックをおこない、ベストラップによって順位を争った。
なかでもSWGP2007チャンプY.Osyohは、モタードレース経験に裏打ちされたシュアな走りで53.96秒とT.Tomyのレコードに肉薄、堂々の2位につけた。いっぽう活躍が期待されたSWGP2006チャンプT.Nonochiは不調にあえぎ、タイムも1分03.37秒にとどまった。その隙に乗じて人間型バイクロボH.Athyupiroが57.72秒の好タイムで3位に食い込み、結局この3名がポディウムに立った。
3位のH.Athyupiroから、わずか0.2秒のビハインドで涙をのんだモタードライダーM.Toruはじめ、惜しくも表彰台に手が届かなかった他のエントラントたちも、それぞれ白熱のレースを繰り広げていたが、とりわけレディス部門の熱戦は特筆に価する。
なお副賞として、ウィナーのT.Tomyには日産フェアレディZ(でも全長約10センチ)が、2位のY.Oshyohには三菱パジェロ・エボリューション(でも全長約5センチ)が、3位のH.Athyupiroには自衛隊軽装甲機動車・イラク人道復興支援仕様(でも全長約10センチ)が、レディス部門優勝のK.Picowには三菱ランサーエボリューションIX(でも全長約10センチ)が贈られ、感動と喝采のうちにレースは無事閉幕した。
真の冒険家は無意味な蛮勇を嫌う。真の武道家は無益な流血を嫌う。古くから「君子危うきに近寄らず」という金言もある。ヤバいと思ったら戦いを避けることも、また戦術なのだ。

タカハシはつねづね「貧乏ヘタレドライバー」を自称しているが、たまにそれを疑う人があって「貧乏とかヘタレとかいってるけど、じつはそんなでもないんでしょ」などといわれることがある。
しかしタカハシだけは違う。記事には、あまりにも貧乏なため、まともなカートやエンジンを買えず、激安中古品でなんとか間に合わせ、ゴミ同然の中古タイヤを拾い集めて暮らす惨めな日々が活写されている。いわばタカハシだけは、ほんとうに困窮にあえぐ「リアル貧乏人」なのである。(トホホホホホホ……)

でもこの日は、ふだんカートの練習でお世話になっているメカニックのHさんが、たまたまピットに置いてあったFJ1600に触らせてくれた。むろん動かすことは許されないが、シートに座らせてもらえるだけでもめっけものだ。

レンタル専用コース、あづみのF-1パークとは兄弟コースだが、こちらはレンタル専用コースではなく、本格的レーシングカートコースでのレンタル営業。使用カートは標準的なカートフレームにホンダGX160エンジンを搭載したものだ。おだやかな4ストロークエンジンのおかげで、初心者でも、婦女子でも、中学生でも、サルでも、犬でも、ミジンコでも、それどころかタカハシでさえも安心してドライブできるマイルドなマシンになっている。
さっそくレンタルカートでコースイン。たまたま峠で「走り屋」をしているというカート初体験の青年と同時に走ることになった。青年はカート特有のクイックな操縦性に戸惑いつつも、ビンビン走ったり、クルクル回ったりして、おおいに楽しんでいたようだ。
サーキットあずみ野を例にとれば、比較的コストパフォーマンスの悪いレンタルカートでさえ、限界ギリギリまで攻めまくって楽しんでも、7分たった2000円(2回目以降は1700円)の出費だけで済む。2万円も払えば何セットか乗れて、初心者なら足腰立たなくなるまで練習できる。昼食後すぐトライすれば、横Gで思うぞんぶんゲロを吐くことだって夢ではない。

コースは全長400メートル、時計回り。駐車場っぽい四角いスペースに、折り畳むように13ものコーナーを詰め込んだ重箱型の超タイトコースだ。マニアのなかには、アンダーパワーの空冷4サイクルOHV単気筒163ccエンジンで、こんなチマチマしたところを走ったってな〜などと思う人がいるかもしれないが、じつはこれがけっこう面白い。
あづみ野F-1パークは極端にタイトなレイアウトで、ターン数が多いわりには旋回時間が短い。だからコーナリングスピードを多少犠牲にしても、クイックにターンインするほうがトータルでは速い……これが、タカハシが打ち立てた「あづみ野F-1パーク最速理論」である。
まわりでカートを楽しんでいたカップルや家族連れが不快感に眉をひそめるなか、完全にマジになって場違いな血みどろのタイムアタックを繰り広げたタカハシだが、理論的にはミハエル・シューマッハが操るフェラーリF1よりも速く走れるはずだったのに、なぜか実際には、枯れ葉マークのおじいちゃんが運転する日産マーチより遅かった。
この理論と実際のわずかなギャップがどこからくるのか、科学する心が旺盛なわりに内省の心に欠けるタカハシは、いまだに首をひねり続けている。



ただしタイヤはSL83タイヤを履いている。当時KT100クラスの標準だったSL02タイヤに較べると、幅が狭くグリップも低いタイヤだったが、もともとほとんどタイヤ性能を必要としないカメ走りを励行しているタカハシにとっては、なんの不満もない立派なタイヤだった。

サーキットでのタイヤの重要性は公道の比ではない。公道でなら、テキトーにミゾがあって空気圧が正常で大きな傷がなければ、まあ充分だが、サーキットではそうはいかない。製品のクオリティやコンパウンドの減り具合はいうにおよばず、空気圧、表面温度、製造日からの経過時間、保管状態までもがタイムに重大な影響をおよぼす。
タカハシは、晴れた日はもちろん、雨の日も雪の日も外道な中古スリックタイヤでひたすらぐるぐるコースを回っている。濡れた路面だとぜんぜんグリップしないので、止まらないし曲がらないし加速もしない。うんざりするほど激遅だから、腕におぼえのあるカートドライバーなら泣いて悔しがるだろう。だが、タカハシは悔しがることもなく、いつも楽しく走っている。

カートの車種というのは、つまるところフレームの種類のことだ。一見ただの鉄パイプにしか見えない地味なフレームだが、じつはこれがカートの性能を大きく左右する最も重要なパーツで、メーカーやタイプによっていろいろ特性やクセがあり、それに応じて乗り方も変わる……のだそうだ。ニブいタカハシには、フレームの違いなんつー細かいことは、残念ながらまるでわからないんだが。
2008年の年明け早々に、サーキット秋ケ瀬でショップのレンタルカートを走らせた。
写真でもわかるとおり、普通のカートに較べると、リアバンパーがやたら大きく張り出している。でもこれはスイス ハットレス・フレームの特徴というわけではない。K-TAI(ツインリンクもてぎロードコースでおこなわれるカート7時間耐久レース)に出場したカートなので、そのレギュレーションに対応した大型バンパーが付いたままになってるだけだ。シート左側にはそのとき使ったとおぼしき3キロ程度のバラストもそのままくっついていた。
コースイン直後にアクセルが戻らなくなってコーナーを飛び出しかけたことと、スピンしたカートをよけ損ねてタイヤバリアに突っ込んで埃まみれになったことと、なぜか突然フロントスプロケットが異常に磨耗して丸ボーズになってしまったことのほかは、なんのトラブルもなく、ひじょーに楽しく走れた。


クラッチがなく、エンジンとタイヤが直結されたカートは、車体が停止するとエンジンも止まってしまう。だがエンジンが止まるとコース復帰に時間がかかるし、だいいち再始動がめんどくさいので、できれば止めたくない。そこでスピン後にそのまま一回転してコースに復帰しようと横着をかますテクニックがサブロクターンだ。
が、それは「うまくいけば」の話であって、うまくいかなかった場合は、コースから飛び出して頭からつま先までドロドロになり、低俗なギャグマンガの登場人物のごとき無惨な姿をさらしたり、バリアに激突して、月末にカートショップから届く修理費の請求書一枚で完全に息の根を止められたりする危険もあるからよく注意したい。
琵琶湖SLには9つのコーナーがあるが、ゆるやかに左へ曲がる第1コーナーは、ドライなら全開のままほんのちょっとステアリングを入れればクリアできるごく簡単なコーナーだ。が、いったん雨が降ると、突如として超難関コーナーに化ける。噂によると、メーンストレッチの中盤くらいからステアリングを入れてカートの向きを変え、ドリフトアングルを正確に維持しつつクリッピングをかすめ、なるべく早くアクセルを全開にして立ち上がらねばならない(らしい)。

この経験から学んだことは「クラッシュすると修理に金がかかってタイヘンだ」ということと「ヤバいと思ったらアクセルをゆるめたほうがよい場合もある」ということだった。貴重な教訓を得たと喜んでいたが、チームメートによれば、たいていのドライバーは、わざわざクラッシュしなくてもその程度のことは最初からちゃんと知っているのだそうである。
貸してもらったのは、CRGのフレームにKT100SDエンジンを搭載したカート。使い古してズルズルに減ってはいるが、このクラスのレギュレーションを超えるハイグリップタイヤを履いている。
サーキット秋ケ瀬のコースレイアウトは比較的シンプルだ。「どーんとまっすぐ走ってクルッと回る」というタイプのわかりやすいコースだから、初心者でも走りやすい。横Gもあまりかからず体力的にラクだから、めったなことではアバラも折れないだろう。
何がなんでもレースに勝ちまくってF1へ上り詰めてゆきたいエリート系トップドライバーはもちろん、どんなにノロくてもとりあえずコース上を移動してさえいれば満足だというタカハシのよーな小市民系ボトムドライバーまで、それぞれのペースで走れるサーキットである。
京都にマイカートを置きっぱなしにしているタカハシは、今のところ東京ではもっぱら一般用のレンタルカートに乗っている。しかしレンタルカートサービスには、雨の日は走行中止になってしまうものが多い。
カートは、無限HONDA PK50フレームに、スバルの空冷4サイクル211cc OHC2バルブエンジン、EX21を搭載したやや特殊なマシン。小柄でクイックなフレームに大排気量の4サイクルエンジンを組み合わせ、おっとりした汎用エンジンなりにパワフルな走りが楽しめるマシンになっている。滑りやすいウェット路面ではある程度繊細なコントロールも必要だから、本格的にテクニックを磨きたいドライバーにはもってこいだ。
それにしてもタカハシの呼称は、なぜいつもタコドライバーとかアメフラシとか、キショクわるい下等生物系ばかりなのだろう。どことなく統一性が感じられるのさえ悲しい。
ラー飯能のレンタルカートには、1日分の保険料500円のほか、8分2500円の走行料を払えば、ライセンス不要で誰でもすぐ乗れる。速い人ならドライで1周35秒前後だそうだから、2500円で12〜13周できるはずだ。
宝塚カートフィールドは、全長510メートルの時計回りコースに13のコーナーを持っている。ストレートが比較的短く、タイトターンが連続する典型的なテクニカルコースだ。

都心にほど近い「サーキット秋ケ瀬」にもBirel N35-Xが配備されており、昼休みや夜間のレンタル営業時間に乗ることができる。レンタルカートレースも頻繁に開催されていて、いつも満員の大盛況だそうだ。ベストラップのランキングが細かく発表されているため、熱心にサーキットに通い詰めてテクニックを磨き、本気でトップを狙う常連レンタルカーターも多い。
歓喜のあまり滂沱の涙を流しつつ、タンザニアに住むガルビウグンダ族の青年、マウニ・オリンバから教わった「ナバウンダラ神の花々に蝶が舞い鳥が歌う喜びの踊り」を狂おしくも情熱的に踊りはじめるタカハシ。が、人目もはばからずピットで狂喜乱舞するタカハシに、係員の遠慮がちな、そして哀れむような言葉が浴びせられた。
サーキット秋ケ瀬のレンタルカートは7周で1500円、回数券なら7周×3回で4000円(通常料金)、予約不要、先着順。ヘルメットなどの装備は貸してくれるから準備しなくていいが、テクニックに自信のある人は喜びの踊りを、自信のない人は悲しみの踊りをあらかじめ準備しておくといいだろう。なお、悲しみの踊りについてはタカハシもわりと自信があるので、事前に申し込めば詳しいステップを格安で教えてあげることもできる。
ふつうは左手をハンドルにそえて操蛇しつつ、右手でリアバンパーを握って(タカハシは変則的にシートステーを握っているが)後輪を持ち上げたまま、ドライバーが走り出す。勢いがついたところでリアタイヤを路面に落とし、そのまま数メートルドタバタ走って、エンジンがかかりはじめたタイミングを見計らってシートに飛び乗る……というやり方だ。
手順を書くとなんとなく難しそうだが、じつは案外カンタンだ。いやしくもモーター・アスリートを志そうというほどの運動神経の持ち主なら、たいてい即座にマスターしてしまう。が、ごくまれにだが、たとえば運動神経が異常にニブく、何から何まで要領がわるく、体力と知力と精神力が虚弱で、背が低く足が短く心が狭く性格がゆがみ、病弱で無能で貧乏なイラストレーターの場合などは、押し掛けをマスターするだけで2カ月もかかることがあるという恐ろしい噂を耳にしたこともある。
もちろんタカハシのよーなタコドライバーがそんな高性能カートに乗ると、どこにすっ飛んでいくかわからないので、めったに乗れる機会はない。が、ありがたいことにカートチームの先輩Tさんが愛用のカートを貸してくれた。関西を去るタカハシへの餞別代わりのはからいだ。
低レベルのテクニックとザルのごとく粗雑な感覚しか持ち合わせていないタカハシは、ふだんから無駄なドリフトを連発してチームメートの冷笑を買っているが、困ったことに、ロータックスMAXに乗るとドリフトがますますひどくなる。むやみにパワーがあるもんだから、アクセル一発でいともたやすくヨコを向き、どこもかしこもズルズル滑りまくって、まるでラリーカーでも運転しているようだ。
高性能エンジンに乗れば誰でも速く走れるのかと思ったら大間違いだ。それどころか高性能エンジンには、より高度なテクニックが必要になる。まずは自分のテクニックに見合ったエンジンを使うことが大切だ。
主催者タカハシの事情により、開幕戦にしていきなり最終戦(←たぶん)という異例の一発勝負レースとなったためか、13名のエントラントが集まる盛大なグランプリとなった。
前半はSWGP伝統のタイムアタックバトル。うまくクリアラップをとって、全開アタックのチャンスを活かしきれるかどうかが勝負の分かれ目となる。ドライバーたちは許された走行時間ギリギリまで果敢にプッシュを続けるため、各所でクラッシュも続出。なかでもSWGP参戦2回目のL.B.Nonotyは、新人らしく無謀なまでにアグレッシブなドライブを披露。最終コーナーで激しくコースオフし、ピットウォールのスポンジバリアを突き破ってピットロードに飛び込むという前代未聞の大クラッシュを演じ、観客をちょっと心配&だいぶ喜ばせた。
予選は激しいデッドヒートの末、A組1位T.Nonochi、2位A.youkaw、3位O.Yamazaki、B組1位M.King、2位Y.Matzen、3位H.Sayskyが決勝に進出。さらに、熾烈な敗者復活抽選会を勝ち上がったK.Kaerinenも加わり、計7名のドライバーでタイトルが争われた。
SWGP07チャンピオンは、いぶし銀の安定した走りで一人旅レースを展開したO.Yamazakiに決定。準優勝は初参戦ながら大健闘のM.King、3位は交通○動隊仕込みのドライビングテクニックをいかんなく発揮したA.youkawというリザルトとなった。
優勝・"ヘアピンの念仏伝道師"O.Yamazaki(写真中)/2位・"閃光のリアルエステーター"M.King(写真左)/3位・"狂気のホワイトバイカー"A.youkaw(写真右)/ベストラップ賞"バーチャル車ゲームのスピードキング" T.Nonochi
琵琶湖SLの試乗会のようすは、国内唯一のカート専門誌『ジャパンカート』2007年1月号でも取り上げられている。そしてこの雑誌には、なんとタカハシのコメントも掲載されている。
ちなみにタカハシ試乗中の勇姿は、表紙写真にも大フィーチャーされている。わかりにくいといけないので、部分拡大写真にマルをつけておいた。ぜひ虫めがねで入念にチェックしてほしい。
肋骨は旋回時の横Gでやられる場合と、ショックでやられる場合がある。
タカハシのマイカートは、マラネロのフレームにYAMAHA KT100SDエンジンを搭載し、SL02タイヤを履いている。ごく標準的な初心者用カートの構成で、最初級レースのレギュレーションに相当する。多くのカートドライバーは、たんにエンジンの名としてではなく、この入門クラスのカートそのものを「KT」と呼ぶ。
イージーカートにはいくつかのエンジン・バリエーションがあるが、メーンはKTと同じ2サイクル100ccクラス。セルスターター&自動遠心クラッチ付きで、押し掛け不要のKomet EK100を搭載している。見た目はレーシングカートそのもので、なかなか本格的っぽいのだが、でもまあどうせ中身はレンタルカートだからとすっかり侮っていたら、とんでもない見当ちがいだった。
今のところまだごく一部のコースにしか導入されていないのが残念だが、これまで普通のレンタルカートにしか乗ったことのないドライバーなら、乗れば間違いなく感動できる。機会があれば、ぜひ乗ってみるといい。







タカハシ主催のSWGP2006シリーズ第2戦が、初秋の琵琶湖スポーツランドで開催された。8名のドライバーがレンタルカートYAMAHA FK-9を駆って腕を競うタイムアタックバトルである。
スピードを抑えたレンタルカートとはいえ1時間の連続走行はけっこうキツい。きっと途中で休憩するドライバーもいるだろうと、ピットエリアにお茶とお菓子を用意して待っていたが、そんなタカハシの心尽くしには誰ひとり見向きもせず、目を三角にしてひたすら走り続けていた。まったく、血も涙も情緒のかけらさえもない連中である。
優勝は、60ラップもの周回を着実にこなして60.653秒をマークした”ヘアピンの念仏伝道師”O.Yamazaki。なんとカート初体験にしてみごと優勝の栄冠を勝ち取った。2位は、計測器の不調でラップが大幅減算されたトラブルをものともせず、60.898秒の好タイムを叩き出した”バーチャル車ゲームのスピードキング” T.Nonochi。そして3位には、女性ドライバーとは思えないアグレッシブな走りで62.578秒のタイムを記録した”旭日の自動車警ら隊”Y.Kawazohが入り、堂々の表彰台を獲得した。
4位は62.892秒をマークした”TIサーキットの白い彗星”Y.Matzen、5位には”音速の生体メカボーグ”H.Athyupiroが62.978秒で入り、6位に”バックストレッチのバトル職人”N.Yousacが64.740秒で続く。7位は”くしゃみをしたら腰が抜けた女”N.Yukachiの65.644秒、8位は”前夜に飲みすぎて走行前に気分が悪くなった女”M.Aicow。ドライバーの不調につられて計測機までぐあいが悪くなったらしく、残念ながらM.Aicowのタイムはとれなかった。
モータースポーツを愛好する人は、たいていいつも路面温度を気にしている。ふつうの人には、なぜ路面温度なんか気にするのかわからないだろう。それも無理はない。じつはタカハシにもよくわからないくらいだ。
真夏、カートコースは気温36度、路面温度56度にも達することがある。灼けつく路面からわずか4センチの高さに座って遠心力と格闘し続けるカートドライバーはみんな汗だくだ。だが、最近ようやく涼風が吹き始め、ゲロ暑の真夏も終わりを告げようとしている。でも、どうせすぐゲロ寒の真冬がやってくるのだから、なんだかちょっとうんざりである。



←これはドリ菌が駆除される一瞬をとらえた写真だ。必死に走るタカハシの背後から、なぜかT-SQUAREの「truth」のテーマが鳴り響いてきたと思ったら、忽然と白いスーツのドライバーが現れ、まるで地べたの石ころでもチョイとよけるように軽々とブチ抜いていった。あとで聞けば、このドライバーは元F1パイロットだという。野球少年が鼻水を垂らして河原でキャッチボールをしているところへ、いきなりイチロー選手がバット片手に乱入してきてホームランをかっ飛ばしたようなものだから、これにはさすがに驚いた。
何のあてもなく、ひたすらグルグルとカートコースを回り続けているだけの哀れなドリ菌にも、神様はこんな貴重な体験を与えてくれるのだからありがたい。ただ、書けば先方の迷惑になるので、この高名な元F1 パイロット氏の名は伏せておく。
レースで活躍しているドライバーは別として、たんにコースをグルグル回って遊んでいるだけのカートドライバーが自分の走っている写真を撮ってもらう機会は意外に少ない。金のかかるモータースポーツの中ではダントツに安あがりに走れるカテゴリーだとはいっても、いちおう走行料を払ってコースを借りてるんだから、チームメートたちはレース必勝を期し、限られた練習時間を少しでも有効に使おうと真剣に努力している。いくら空気の読めないタカハシといえども「ねーねーちょっと写真撮って〜♪」などという呆けたワガママはなかなかいえないものなのだ。

カートを始めて間もない頃、歯が痛くなって歯医者に診てもらったら、奥歯が1本噛み砕かれているのがわかって驚いた。
タカハシがふんふんレッド01号に搭載していたマイエンジンは真っ白に燃え尽きた。走行ラップ数は4500ラップにものぼる。
修理代が新品購入と同じくらいの額になることがわかり、やむなく同じ型の新品を買った。カート界では知らぬ者のないYAMAHA KT100SD。入門用の定番とも呼ばれるエンジンだ。97.6cc空冷2サイクル単気筒ピストンバルブ方式。おそろしいほどシンプルなエンジンで、変速機や始動装置はもちろん、クラッチさえ付いていない。だからKT100SDを積んだカートは、空中にでも浮かんでいないかぎり、エンジンをかけたまま停止することはできない。カートが停まればエンジンも止まってしまう。またエンジン始動は、念力やハンドパワーが使えるごく一部の超能力ドライバーを除けば、ドライバー自身がカートを押してドタバタと走る「押し掛け」でやるしかない。
ニューエンジンをおろし、意気揚々と走り出す。タカハシは諸般の事情からふだんは中古品を愛好しているだけに、めったに手にしない新品の味わいは格別だ。じつに素晴らしい。慎重に慣らし運転をしたあと、期待をこめていよいよ本式にアクセルを踏み込んだ。そのとたん、なぜかいきなりボボボーとかへんな音を立ててエンジンが死んだ。
中古で入手してから1年半にわたって愛用し、先日ついに廃車となった「ふんふんレッド01号」は、赤いフレームにマラネロカラーのカウルが付いたマシンだった。
カートドライバーにとって、フレームはタイヤなどと同じ消耗品の一種だ。クラッシュすればもちろん、荷重や振動だけでも少しずつヒビが入ったり曲がったりして性能が落ちてくる。
で、先日このカート「ふんふんレッド02号」が晴れてタカハシのものとなった。見てのとおり驚異的にぴかぴかのウルトラナイスカートだ。
ところで、もしホンダやトヨタや日産のクルマを買ったとき、納車に来た営業マンに「あ、そうそう、エンジンは別売りですから」なんて云われたら、客は激怒するだろう。そんな営業マンはドラム缶に詰めて大阪湾最深部に沈められても文句はいえない。
浮かれて最終コーナーを回り、スロットル全開でホームストレートに立ち上がってきたら、そこで突然バホバホプシュ〜と情けない音がして、いきなりエンジンが死んだ。
さまざまなカートが用意されているが、スモールワールドグランプリでは、もっともオーソドックスな「レーシングカートB」が使われた。イタリア ビレル社製フレームにホンダの4サイクル単気筒エンジンGX200を搭載し、最高時速54キロをマークする高性能マシンだが、運転免許さえあれば誰でも乗れる。しかし免許がない場合は、まずビギナー用カートでタイムアタックをおこない、規定タイムをクリアしなければ乗車できない。
さて、参戦ドライバーを紹介しよう。優勝候補の筆頭は"音速の生体メカボーグ"ことH.Athyupiro(通常は工業デザイナー)。続いて"バーチャル車ゲームのスピードキング"ことT.Nonochi(通常はナノテク技術者)、"ちんすこう大好き女"ことN.Yukachi(通常は書籍編集者)、"カミカゼ無免許ドライバー"ことM.aicow(通常はグラフィックデザイナー)の4名だ。
第1セッションでリードを奪ったのは、意外にも車ゲーマーのT.Nonochi。リアルドライビング初体験という不利をものともせず、軽々と40.752秒をマークしてトップに躍り出た。いっぽう期待の新人女流レーサーN.Yukachiは47.619秒と低迷する。続く第2セッションではモトクロス経験者H.Athyupiroが39.419秒でトップを奪還。しかし第3セッションでは再びT.Nonochiが怒濤の追撃をみせ、39.196秒の一番時計。セッションごとにめまぐるしくトップが入れ替わる緊迫したレース展開となった。注目の第4セッションは、H.Athyupiroが39.128秒をマーク。2位T.Nonochiとの差、なんとわずか0.088秒という超接近戦で逆転を果たし、からくも暫定トップとなった。
ところが、それまでビギナー用カートで地道に練習を続けていたにもかかわらず規定タイムがクリアできず悶々としていたM.aicowが、ここで突如として掟やぶりの二人乗りカートでグランプリに乱入。なぜか自分の意思とは関係なく頭を激しく左右に振り回しながら、わずか3周だけの超アグレッシブなドライブを披露して奇跡の40.099秒をマーク。レディスタイトルの新設を要求し、主催者タカハシもこれを承認したため、総合3位のN.Yukachiを抑えて、レディス部門ウィナーとなった。
レーシングカートという乗り物を知っているだろうか。この写真がレーシングカートだ。といっても、ただの鉄パイプにしか見えないと思うが、じつはこれにエンジンやタイヤなんかくっつけると立派な乗り物になるのだ。
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