レンタルカート耐久 [サーキットあづみ野]
カート仲間の中橋さんから「今度レースに出るんだけど、足手まといにならないなら参加させてやってもいいよ」と、社会福祉精神にあふれるありがたいお誘いがあった。彼のホームコース、サーキットあづみ野で開催されるレンタルカート耐久レースだ。
最近ほとんどカートに乗る機会がなかったタカハシは、「足手まといにならないなら」という参加条件は見なかったことにして、シッポを振って瞬時に参加を決めた。
レースは通常2時間耐久だが、今回は特別に時間を縮めて90分耐久として開催された。
多くのチームはドライバー3人体制で臨むが、中橋・タカハシ組は2人体制を敷いた。といっても、骨のズイまで体力を削られるレーシングカートとは違い、レンタル専用カート、ビレルN35を使うから、フィジカルにはさほどキツくない。7回のドライバーチェンジが義務付けられているので、ドライバー2人体制なら一人あたり4回走ればフィニッシュだ。
おおかたの予想通り、タカハシが足を引っ張ったせいで予選は不本意な6番手で終了。
決勝のスタートドライバーはもちろんエースの中橋さんがつとめた。シグナルブラックアウト、中橋さんは6番グリッドから怒りの猛ダッシュをかける。ジムカーナ競技で鳴らしたドライバーだけに、得意のゼロスタートのスピードは他の追随を許さず、オープニングラップで一気に3位までポジションをあげた。
中橋さんはその後もシュアな走りでじわじわとタイムを詰めながら優位にレースをすすめ、チームをみごと2位表彰台へと導いてくれた。
しかしその栄光の反面で、わがチームはレース中にオレンジボール・ペナルティの恥辱をもくらっていた。
オレンジボール(オレンジディスク)とは、黒字にオレンジのマルが描かれたフラッグで、車両や装備に故障等があり、競技続行できないマシンに対して出される警告だ。この旗が出たら、いったんピットに戻って修理などを行ってからコースに戻らなくてはならず、大幅なタイムロスとなる。
ふだんからだらしない服装で故障だらけの各種ポンコツマシンを運転し、カート仲間から「歩くオレンジボール」とまで呼ばれてきたタカハシだが、まさかレース中にガチでオレンジボールをくらってしまうとは……。
こんなカスみたいなペナルティを押し付けられたうえ、1ラップごとにいちいちカメ走りを披露して足を引っ張るタカハシがパートナーという最悪の状況で、鬼の常連ドライバーたちを抑え、みごと2位を獲得できたのは、ひとえに中橋さんの類まれなるドライビング・センスによるものだとしか言いようがない。
さてそれはいいとして、中橋・タカハシ組のチーム名は「色鉛筆と宿」であった。
エントリー手続きの際、中橋さんが一瞬のヒラメキをもとに命名した。たしかにイラストレーターとペンションオーナーという二人の職業を端的に表したわかりやすい名前には違いない。しかしそれにしてもチーム名としてコレはどうなのか……。
タカハシは中橋さんの卓越したドライビング・センスに心酔感服するいっぽうで、ネーミング・センスにはひそかに一抹の不安を抱いているのだが、チームに損失しか与えないヘタレなオレンジボール野郎にそんなゴタクを並べる権利はなく、いまだに何も言い出せないままでいる。
■サーキットあづみ野 【website】
■リゾートインスクアミッシュ(中橋さんの"宿") 【website】
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