2009.05.13

ハルナ モータースポーツランド

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群馬県北群馬郡のカートコース、榛名モータースポーツランドは、鈴木亜久里(様)、高木虎之介(様)、佐藤琢磨(様)といったF1パイロット(様)たちを輩出した名門コースだ。また、もともとマイナーなモータースポーツの中でも、さらに超マイナーなレーシングカートを題材にしつつも、みごと中ヒットを飛ばした奇跡のレースマンガ『Capeta』(曽田正人 作/講談社 刊)に登場するコースでもある。

090513m02トラックは全長900メートル、反時計回り。130メートルのホームストレートエンドから飛び込む高速コーナーと、曲率に工夫をこらしたいくつものタイトコーナーが絶妙のバランスでレイアウトされているから、マトモなカートに乗っているマトモなカートドライバーなら、思うぞんぶん白熱のバトルを楽しめるだろう。
路面はいうに及ばず、スポンジバリアやグリーンなどの設備が驚異的に美しく整備されているばかりでなく、安全性が高く事故の少ないコースとしても定評がある。

090513m03ただ、ここまで本格的なレーシングカートコースだと、逆にレンタルカートに関しては、いささかオマケっぽい扱いとなるのもやむを得ない。
榛名のレンタルカートにはレジャーっぽいヌルさはない。あくまでモータースポーツ入門者のための体験走行用だ。正体不明のあやしいフレームにホンダの4サイクル汎用エンジンGX160を搭載したカートには、ラップ計測器もオーディオもカーナビもエアコンも付いておらず、見た目はたいへん地味っぽい。でもいちおう自動遠心クラッチが付いていて、60キロの最高速度が出せるのだから、まあまあ満足すべきだろう。

090513m04ただ、このカートのシートがやたら遠くて「人間ダックスフント」の異名をとる短足人類タカハシでは、悲しいかなペダルに足が届かなかった。
ふつうのレンタルカートコースだと、こういう場合に備え、あらかじめシートの位置を変えた何台かのカートが用意してあるものだし、そうでなくてもシート調整用のスポンジの切れっぱしくらいは準備してあるものだが、ガチ体育会系の榛名にそんなものはない。係の人が座敷から持ってきた生あたたかい座布団を背中に詰め込んでもらい、どことなく和風っぽく、なんとなく和尚っぽい姿となって、ようやくコースインすることができた。

090513m05それはいいが、榛名のコースでは、GX160は絶望的に非力だ。いったん走り出すと、あとはほとんどずっとベタ踏みの全開。減速のためにブレーキを使う必要はまったくない。
が、それでも速く走ろうとすれば、そこそこの工夫とテクニックが必要だ。榛名で育ったF1パイロット(様)たちの偉業に少しでもあやかろうと、タカハシも必死の形相で渾身のアタックを試みたが、けっきょくロクな走りができないまま、10分間/2500円の走行はあえなく終了した。

090513m06F1への道は、甲子園への道よりもはるかに遠い。榛名をちょっと走っただけでF1の夢をスッパリ断たれたタカハシは、がっくりと肩を落とし、背中を震わせてむせび泣きながら、せめて走行の思い出にと、路面に散らばっていたタイヤのチビリカスをかき集め、ビニール袋に詰めて持ち帰ることにした。
偉大なF1パイロット(様)たちがコースに残してゆかれた高貴なタイヤのチビリカス(様)は、神棚に上げて三拝し、煎じて飲ませていただくつもりである。せいぜい下痢しないことを祈りたい。
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2009.04.11

クイック羽生

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埼玉県羽生市のレンタルカートコース、クイック羽生を走ってきた。

カートはビレルN-35Xフレームに、スバル製の空冷OHC4サイクル211cc単気筒エンジン、EX21を積んだレンタルカートのデファクト・スタンダードだ。
090411m02コースは全長720メートルの時計回りで、ごく短いメーンストレッチ以外には直線部分がなく、やたら旋回ばかりが続く特殊なレイアウト。だから走行中は、えんえんとステアリングを切って右へ左へ曲がり続けることになる。アンダーパワーのスポーツカートなので横Gはそんなでもないが、重いステアリングを切り続けるせいで、腕と指がめちゃくちゃ疲れるのが特徴だ。

090411m03クイック羽生には、9000円で乗り放題のフリーパスが用意されている。まさに破格の激安大特価料金だが、どっちかというと中・上級者向きのサービスで、初心者にはあまり薦められない。強い保蛇力が必要なクイック羽生のコースでは、慣れないドライバーだと握力が続かず、そんなに長くは走れない。払い損になるともったいないから、最初は2000円で10分走れる標準的なチケットから試したほうがいいだろう。

090411m04レンタルカートコースには、タイムのプリントアウトサービスがあるのが普通だが、クイック羽生にはない。多くのレンタルカートコースで採用されている赤外線式計測システム(コース側でタイムを測定する)ではなく、磁力式計測システム(カート側でタイムを測定する)を使っているためだ。
それはいいが、計測機がやたら故障しまくるのが困りものだ。ほんのちょっとバンプではずんだり、強いGをかけてターンすると、たちまち電源が落ち、そのたびにラップ表示が真っ白に飛ぶことがある。まともに計測するためには、計測器の裏側にあるリセットボタンを手探りし、サルのごとく押しまくりながら走る超人的テクニックが必要だ。

090411m05係員によると、初めてカートに乗った人だと、だいたい50秒を切れば、まずまずのラップタイムだという。常連ドライバーには46秒台で走る人が多いらしい。
もちろんタカハシもタイムを計ったが、ギンギンに目を血走らせ、軽くゲロって酸っぱいものがこみ上げてくるほど激しくアタックしたにもかかわらず、ろくなタイムが出なかった。きっと実際にはもっと素晴らしいタイムが出ていたのに、そのときはたまたま計測機が故障していたに違いない。
本来なら、タカハシが故 アイルトン・セナの約3倍(当社予測値)速いという事実が証明されたはずなのに、つまらぬメカトラブルによって、ミドリガメより遅いという不本意な結果を押し付けられてしまったのが残念でならない。

090411m06ところでクイック羽生には、カートコースには珍しく、管理棟内にゲームコーナーがある。かわいいカピバラのぬいぐるみが釣れるUFOキャッチャーが置いてある点は絶賛に値するが、その隣にカーレースゲームがあるのは、いかがなものか。わざわざカートコースでカーレースゲームをする奴がいるんだろうか……。

雑草の生いしげるランオフエリアに野良猫がうろつき、ボロボロに朽ち果てたスポンジバリアが風にちぎれ飛ぶクイック羽生には、そこはかとなく、うらぶれた昭和のゲーセンムードが漂っている。かつてタイレルフォードの6輪F1に夢中になった往年の少年たち(←今はうらぶれたオッサンたち)にも嬉しいレトロ系カートコースである。
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2009.03.10

SWGP2009 WEST rd.01猪名川

090310m01主催者タカハシが金に困っていたり貧乏していたり生活苦に陥ったりしていたため2008年の開催が見送られたレンタルカートレースSWGP(スモールワールドグランプリ世界選手権大会)だが、2009年は東西両地域でシリーズ戦が開かれる見通しが立った。
それを受けて、まずは先日、兵庫県の猪名川サーキットでシーズン開幕を告げるSWGP2009-WEST rd.01が開催された。

猪名川サーキットは、全長1030メートル、時計回り、130メートルのロングストレートと19のコーナーをもつ関西屈指の難コースだ。ストレートエンドのMAXスピードからノーブレーキで飛び込む1コーナー、ダウンヒル直後に控えたダブルヘアピン、通称「猪名川オールージュ」とも呼ばれるブラインドのS字ヒルクライムなど、見どころ満載のサーキットでもある。

090310m02しかも猪名川のレンタルカートは、そこらによくあるトロいスポーツカートとはモノが違う。老朽化によって徹底的にナチュラル・デチューンされ、死ぬほどアンダーステアにセッティングされてはいるが、とりあえずKT100やPRDといった「本気と書いてマジと読む」バリバリのレーシングエンジンを搭載したモノホンのレーシングカートなのだ。

090310m03難コース+高性能カートとくれば、それだけでもエントラントのボルテージは上がる。しかも今回からは「カート所有者は賞典外」という参加制限が撤廃されたため、SWGPに君臨する歴代チャンプに対し、腕自慢のレーシングカーターが真っ向勝負を挑む、いっそうエキサイティングなグランプリとなった。

090310m04レースはタイムアタック形式。12名のエントラントは、同時に4台ずつコースインしてアタックをおこない、ベストラップによって順位を争った。

第1スティントから驚異のアタックをみせたのは、SWGP初参戦のレーシングカーターT.Tomy。血も涙もない完全なマジ走りでタイムを削りにゆき、50.24秒という圧倒的な一番時計をマーク。レンタルカーターたちとの格の違いを見せ付けて、一気に後続を突き放しにかかった。が、他のエントラントも黙ってはいない。負けじとフルスロットルとフルブレーキングとスピンとクラッシュとコーヒーブレイクを繰り返しつつ、果敢な激走で追いすがった。

090310m05_2なかでもSWGP2007チャンプY.Osyohは、モタードレース経験に裏打ちされたシュアな走りで53.96秒とT.Tomyのレコードに肉薄、堂々の2位につけた。いっぽう活躍が期待されたSWGP2006チャンプT.Nonochiは不調にあえぎ、タイムも1分03.37秒にとどまった。その隙に乗じて人間型バイクロボH.Athyupiroが57.72秒の好タイムで3位に食い込み、結局この3名がポディウムに立った。

090310m063位のH.Athyupiroから、わずか0.2秒のビハインドで涙をのんだモタードライダーM.Toruはじめ、惜しくも表彰台に手が届かなかった他のエントラントたちも、それぞれ白熱のレースを繰り広げていたが、とりわけレディス部門の熱戦は特筆に価する。
煙幕で敵の視界をさえぎる奇策により、サーキット全域をケムに巻いたC.Tanieに対し、アウトから強引にオーバーテイクする男まさりの力技でK.Picowがバトルを制圧。1分27.70秒をマークし、レディス部門優勝の栄冠をもぎ取った。

090310m07なお副賞として、ウィナーのT.Tomyには日産フェアレディZ(でも全長約10センチ)が、2位のY.Oshyohには三菱パジェロ・エボリューション(でも全長約5センチ)が、3位のH.Athyupiroには自衛隊軽装甲機動車・イラク人道復興支援仕様(でも全長約10センチ)が、レディス部門優勝のK.Picowには三菱ランサーエボリューションIX(でも全長約10センチ)が贈られ、感動と喝采のうちにレースは無事閉幕した。

ちなみにタカハシは、今回のグランプリに参戦しなかった。しかし「ビビって逃げた」などと批判するのは的外れだ。むしろ「勇気ある撤退」と賞賛すべきである。
090310m10真の冒険家は無意味な蛮勇を嫌う。真の武道家は無益な流血を嫌う。古くから「君子危うきに近寄らず」という金言もある。ヤバいと思ったら戦いを避けることも、また戦術なのだ。
真の勇者は、勝つために手段を選ばないばかりでなく、負けないためにも手段を選ばない。カート界の勇者タカハシは、誰にも負けずに今回のレースを無事やりすごすため、正しい勇気をふるい、もっともクレバーに戦ったのである。

※photo by Akihiro Urano &
H."Supersonic bio-mecha-borg"Athupiro

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■SWGP2009WEST rd.01のリザルトは以下のとおり。
-------------------------------------
優勝=”途中峠のドリフト職人”T.Tomy/2位=”ヘアピンの念仏伝道師”Y.Osyoh/3位=”音速の生体メカボーグ”H.Athyupiro(以上表彰台)
4位=”孤高のスーパーバイカー”M.Toru/5位=”TIサーキットの白い彗星”Y.Matzen/6位=”バーチャル車ゲームのスピードキング” T.Nonochi/7位=”緑の皇帝”A.U-Mach/8位=”爆走トランスポーター”N.Cherry/9位=”愛と青春のグラベルランナー”Y.Westhill/10位=”闘うジョンブル”G.Shimader/11位=”ラテン系バトルクイーン”K.Picow(レディス優勝)/12位=”スモーキーファイター”C.Tanie
※全車完走
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2009.02.12

カート貧乏@ベストカー

090212m01タカハシはつねづね「貧乏ヘタレドライバー」を自称しているが、たまにそれを疑う人があって「貧乏とかヘタレとかいってるけど、じつはそんなでもないんでしょ」などといわれることがある。
もしそうだといいんだが、残念ながらけっしてそんなことはない。「タカハシ貧乏ヘタレ説」は、世に隠れもなき厳然たる事実なのである。(トホホ……)

その証拠に、いま書店に並んでいる自動車雑誌『ベストカー』を読むとよい。
今号の同誌には「貧乏全員集合」というヒマネタページが組まれていて、趣味がこうじて貧乏暮らしをしてる人を何人か集めて記事にしており、そのなかでタカハシも「カート貧乏」として紹介されているのだ。(トホホホホ……)

が、よく読むと、ほかの人たちは「パジェロが好きで4台も買ったら貧乏になった」とか、「本物のヘリを14台も買ったら貧乏になった」とか、「本物の飛行機を6機も手作りしたら貧乏になった」とかいった人たちばかりだ。そりゃそうだろ! とツッコミたくもなる。いわば彼らは、ほんとうはリッチな「ヴァーチャル貧乏人」なのである。
090212m02しかしタカハシだけは違う。記事には、あまりにも貧乏なため、まともなカートやエンジンを買えず、激安中古品でなんとか間に合わせ、ゴミ同然の中古タイヤを拾い集めて暮らす惨めな日々が活写されている。いわばタカハシだけは、ほんとうに困窮にあえぐ「リアル貧乏人」なのである。(トホホホホホホ……)

記事は、企画趣旨に合わせて貧乏感を表現しようとしたのか、どことなく印刷のかすれたモノクロページに、肉眼では見えないほど小さい写真をくっつけた物悲しい構成となっている。が、せめてこのブログには美麗カラー写真を掲載しておこう。じゃないと、なんだか救いようがなく貧乏ヘタレっぽいから……。(トホホホホホホホホホホォ~)

『ベストカー』は講談社(三推社)より毎月10日・26日に好評発売中。320円。各地のコンビニ・書店で手に入る。

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2009.01.16

カートログ FJ1600

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090116m00←カート練習ログ
【ほぼ4年前のタカハシ 2005.2.17】

※画像をクリックすると拡大します。

レーシングカートは、四輪モータースポーツの最底辺に位置するカテゴリーだ。それなりに金はかかるものの、たとえばホームレスや四流イラストレーターではない一般社会人になら、なんとか払えるお手頃価格で楽しめるのがいいところだ。

カートレースで活躍したドライバーの一部は、フォーミュラレースへとステップアップしてゆく。1人乗りで四輪むき出しのレース専用車で闘うカテゴリーで、誰もが知ってる最高峰のF1から、誰も知らない底辺のFCJに到るまで、いくつかのクラスがある。
かつてフォーミュラ入門クラスといえば、写真のFJ1600が定番だった。FJ1600は、空力装置を省いたシンプルな車体に1600cc水平対抗4気筒 スバルEA71エンジンを搭載したレースカーで、その最高速度は220km/hにも達する……なんて書くと、いかにもスゴそーな感じがするが、じつはわりとイージーなマシンで、たいていのカート経験者ならゆとりをもって乗れる性能なんだそうだ。

しかしカートより金と手間がかかるから、実際にフォーミュラにステップアップするドライバーはごくわずかだ。まして初心者用カートでさえまともに乗れない貧乏ヘタレなタコドライバー タカハシにとって、FJ1600は夢の彼方にかすむ憧れのマシンなのである。

090116fj1600m02でもこの日は、ふだんカートの練習でお世話になっているメカニックのHさんが、たまたまピットに置いてあったFJ1600に触らせてくれた。むろん動かすことは許されないが、シートに座らせてもらえるだけでもめっけものだ。
コクピットに入り、足をのばすと、左右の膝がぴったりくっつくほど狭い。ハンドルもクラッチも恐ろしく重い。これはかなりキツそうだ。

実際に走れなかったんだから、ほんとのことはわからないが、ちょっとFJ1600のシートに座るだけで、フォーミュラレースがいかに身体にキツいものか、誰にでもすぐわかるだろう。まあそれ以前に、ちょっとFJ1600の値段を聞くだけで、フォーミュラレースがいかに財布にキツいものか、誰にでもすぐわかるんだが。
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カートログ FJ1600

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090116m00←カート練習ログ
【ほぼ4年前のタカハシ 2005.2.17】

※画像をクリックすると拡大します。

レーシングカートは、四輪モータースポーツの最底辺に位置するカテゴリーだ。それなりに金はかかるものの、たとえばホームレスや四流イラストレーターではない一般社会人になら、なんとか払えるお手頃価格で楽しめるのがいいところだ。

カートレースで活躍したドライバーの一部は、フォーミュラレースへとステップアップしてゆく。1人乗りで四輪むき出しのレース専用車で闘うカテゴリーで、誰もが知ってる最高峰のF1から、誰も知らない底辺のFCJに到るまで、いくつかのクラスがある。
かつてフォーミュラ入門クラスといえば、写真のFJ1600が定番だった。FJ1600は、空力装置を省いたシンプルな車体に1600cc水平対抗4気筒 スバルEA71エンジンを搭載したレースカーで、その最高速度は220km/hにも達する……なんて書くと、いかにもスゴそーな感じがするが、じつはわりとイージーなマシンで、たいていのカート経験者ならゆとりをもって乗れる性能なんだそうだ。

しかしカートより金と手間がかかるから、実際にフォーミュラにステップアップするドライバーはごくわずかだ。まして初心者用カートでさえまともに乗れない貧乏ヘタレなタコドライバー タカハシにとって、FJ1600は夢の彼方にかすむ憧れのマシンなのである。

090116fj1600m02でもこの日は、ふだんカートの練習でお世話になっているメカニックのHさんが、たまたまピットに置いてあったFJ1600に触らせてくれた。むろん動かすことは許されないが、シートに座らせてもらえるだけでもめっけものだ。
コクピットに入り、足をのばすと、左右の膝がぴったりくっつくほど狭い。ハンドルもクラッチも恐ろしく重い。これはかなりキツそうだ。

実際に走れなかったんだから、ほんとのことはわからないが、ちょっとFJ1600のシートに座るだけで、フォーミュラレースがいかに身体にキツいものか、誰にでもすぐわかるだろう。まあそれ以前に、ちょっとFJ1600の値段を聞くだけで、フォーミュラレースがいかに財布にキツいものか、誰にでもすぐわかるんだが。
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2008.11.30

サーキット あづみ野

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サーキットあづみ野は、長野県北安曇郡の大嶺高原にある。高原のコースなので、冬は凍結や雪で閉鎖されることもあるが、そのぶん夏は涼しく快適だ。

081130m02レンタル専用コース、あづみのF-1パークとは兄弟コースだが、こちらはレンタル専用コースではなく、本格的レーシングカートコースでのレンタル営業。使用カートは標準的なカートフレームにホンダGX160エンジンを搭載したものだ。おだやかな4ストロークエンジンのおかげで、初心者でも、婦女子でも、中学生でも、サルでも、犬でも、ミジンコでも、それどころかタカハシでさえも安心してドライブできるマイルドなマシンになっている。

コースは全長650メートル、時計回り。180メートルのホームストレッチと、タイトなコーナーが連続するインフィールドをもつメリハリのあるレイアウトだが、レーシングカートならともかく、パワーのないレンタルカートで走るぶんには、とくにコーナーらしいコーナーはない。1周ほとんど全開ベタ踏みのまま、ステアリング操作だけで走ることができる。もっとも、必ずしもベタ踏みが速いというわけではないんだが。

081130m03さっそくレンタルカートでコースイン。たまたま峠で「走り屋」をしているというカート初体験の青年と同時に走ることになった。青年はカート特有のクイックな操縦性に戸惑いつつも、ビンビン走ったり、クルクル回ったりして、おおいに楽しんでいたようだ。

峠で事故れば、一発数十万円の出費になることも珍しくない。それだけならまだしも、人身事故で他人を傷つけ、取り返しのつかない結果を招くこともある。
それを思えばカートはきわめて安全で安価な乗り物だ。ドライビング・テクニックを身に付け、速いドライバーになりたいなら、カートはもっとも賢い選択のひとつなのだ。

081130m04サーキットあずみ野を例にとれば、比較的コストパフォーマンスの悪いレンタルカートでさえ、限界ギリギリまで攻めまくって楽しんでも、7分たった2000円(2回目以降は1700円)の出費だけで済む。2万円も払えば何セットか乗れて、初心者なら足腰立たなくなるまで練習できる。昼食後すぐトライすれば、横Gで思うぞんぶんゲロを吐くことだって夢ではない。
その気になって20万円も払えば、それなりのドラテクを身に付けられるだろうし、もし200万円払う勇気があれば、誰もが認める一流ドライバーになれるだろう。

ただ、ごくまれに、タカハシのように100万円払おうが1億円払おうが、まったくドラテクが身に付かない悲惨なケースもあるから気をつけてほしい。そういうタコドライバーは、たんに運転がヘタだというだけでなく、強烈な横Gと振動で脳がやられて正常な判断ができなくなっている可能性もある。カートなんぞに無駄遣いするのをやめ、医療費に金をまわしたほうが身のためだろう。
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2008.09.30

Azumino F-1 Park

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長野自動車道・豊科インターのすぐ近くに、レンタルカート専用コース「あづみ野F-1パーク」がある。コースの名前はF-1だが、走っているのはもちろんF1マシンではなく、標準的なカートフレームにホンダの汎用エンジンGX160を搭載したスポーツカートだ。

080930m02コースは全長400メートル、時計回り。駐車場っぽい四角いスペースに、折り畳むように13ものコーナーを詰め込んだ重箱型の超タイトコースだ。マニアのなかには、アンダーパワーの空冷4サイクルOHV単気筒163ccエンジンで、こんなチマチマしたところを走ったってな〜などと思う人がいるかもしれないが、じつはこれがけっこう面白い。
ふつうのカートコースではパワー不足のGX160も、ここまでタイトなら充分パワフルで、攻め込めばそれなりに操作が忙しく、体力もつかう。

080930m03あづみ野F-1パークは極端にタイトなレイアウトで、ターン数が多いわりには旋回時間が短い。だからコーナリングスピードを多少犠牲にしても、クイックにターンインするほうがトータルでは速い……これが、タカハシが打ち立てた「あづみ野F-1パーク最速理論」である。
せっかく作った最速理論なので、どうせならみずから実証しようと、さっそく回数券を買い込んでサルのごとく必死に走りまくっていると、なんだか背中がヒリヒリしだした。見ると背中の皮がズル剥けになり、べっとり血まで出ている。細かいコーナーで激しく体重移動を繰り返すため、シートがこすれて出血したらしい。

080930m04まわりでカートを楽しんでいたカップルや家族連れが不快感に眉をひそめるなか、完全にマジになって場違いな血みどろのタイムアタックを繰り広げたタカハシだが、理論的にはミハエル・シューマッハが操るフェラーリF1よりも速く走れるはずだったのに、なぜか実際には、枯れ葉マークのおじいちゃんが運転する日産マーチより遅かった。
080930m05この理論と実際のわずかなギャップがどこからくるのか、科学する心が旺盛なわりに内省の心に欠けるタカハシは、いまだに首をひねり続けている。

走行には、とくにライセンスなどは必要ない。1回7分の走行で初回料金は2000円、2回目以降は1500円。4枚綴りの回数券を買えば、5500円で思うぞんぶんドライビングを楽しめる。
激痛にのたうち回りつつ、意地と根性で回数券をワンセット使い切る頃には、シャツの背中をべっとり鮮血に染めることもできる、信州屈指のスプラッター系カートコースである。
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2008.07.27

カートログ シャフト交換

080727m00←カート練習ログ
【ほぼ3年半前のタカハシ 2005.1.30】

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クラッシュで曲がったシャフトを交換した日の練習記録。

ふつうのクルマの駆動軸にはデファレンシャル・ギアと呼ばれる差動装置が付いている。コーナリング時に大きく回る外側のタイヤと小さく回る内側のタイヤでは走る距離が違うため、その違いを摺り合わせるギアがないとうまく曲がれないからだ。
だが、カートにそんな上等なギアは付いていない。後輪はシャフトと呼ばれるただの鉄パイプ1本で駆動されているから、タイヤは外側も内側も同じスピードで回る。理屈からいえば、そんなんではうまく曲がれないはずだが、これが意外とちゃんと曲がる。さらにコーナーでわざと内側のタイヤを浮かせて空転させたまま走る「インリフト」ができるドライバーなら、デファレンシャル・ギアなんかなくてもごく自然にターンできるものだ。

いずれにしても、シャフトの性能はカートのコーナリングに重大な影響を与える。だから上級ドライバーともなると、硬さの違うシャフトをいくつも用意していて、コースコンディションに合わせて交換したり、あちこちのネジを締めたり緩めたりして熱心にセッティングを出すのだそうだ。
だが、タカハシのような下級ドライバーにとっては、シャフトはただの鉄パイプにすぎないので、壊れてなければ交換する必要もない。それがちょっとばかり曲がったからといってわざわざ交換しなくちゃならないと思うと、なんとなくむかつく。

シャフト交換がむかつくのは、ただのチンケな鉄パイプの分際で、むやみに高くつくからだ。たしか1本3万円くらいした。タカハシがこれまでの生涯で買ったなかで、もっとも高価な鉄パイプである。むか!
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2008.05.31

カートログ KT100SC+SL83

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【ほぼ3年前のタカハシ 2005.1.23】

※画像をクリックすると拡大します。

走行前の点検で、マイカートのシャフト(リア・アクスル)が曲がっているのを発見。修理が間に合わず自分のカートでは走れないので、急遽コース所有のカートをレンタルして走ることにした日の記録。

琵琶湖SLのレンタルカートはヤマハの古いフレームにKT100SCを載せたもの。
KT100SCは、ふだんタカハシが使っているKT100SDと基本的には同じエンジンだが、自動遠心クラッチが付いているためスピン停止時でもエンジンが止まらない。アクセルレスポンスもちょっと穏やかだし、ブレーキロックでスピンモードに入りかけたときにもリカバリしやすいため、初心者にもわりと運転しやすかった。

080531m01ただしタイヤはSL83タイヤを履いている。当時KT100クラスの標準だったSL02タイヤに較べると、幅が狭くグリップも低いタイヤだったが、もともとほとんどタイヤ性能を必要としないカメ走りを励行しているタカハシにとっては、なんの不満もない立派なタイヤだった。

琵琶湖SLでのKTレンタル料金は、たしかガソリン代込みで1時間8000円前後だったと思う。が、同じサービスが今もあるかどうかは定かでない。興味のある人はコースに問い合わせてみるといいだろう。
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2008.05.14

カートログ スリックタイヤ

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【ほぼ3年前のタカハシ 2005.1.16】

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真冬の琵琶湖SLはグリーンに雪が残りやすく、たとえ晴れた日でもなかなかドライにならない。この日はドライとウエットが混在するセミウエットの微妙な路面コンディションだった。

一般的なカートのタイヤには、大きくわけてドライとウエットの2種類がある。ドライタイヤは晴れた日に乾いた路面で使うもので、ウエットタイヤは雨の日に濡れた路面で使うものだ。
ドライタイヤの代表格はスリックと呼ばれるミゾのないタイプ。ミゾがないぶん接地面が広く、グリップが高い。一方ウエットタイヤには例外なくミゾが切ってある。タイヤ接地面の水はけをよくするためだ。
カートドライバーは、路面状況によってこれらのタイヤを使い分けて走る。

080514m01サーキットでのタイヤの重要性は公道の比ではない。公道でなら、テキトーにミゾがあって空気圧が正常で大きな傷がなければ、まあ充分だが、サーキットではそうはいかない。製品のクオリティやコンパウンドの減り具合はいうにおよばず、空気圧、表面温度、製造日からの経過時間、保管状態までもがタイムに重大な影響をおよぼす。
レースシーンでは、タイヤの性能はマシンの性能にも匹敵する重要なファクターだ。だから晴れた日と雨の日でタイヤを交換するくらいは、当然すぎるほど当然のことなのである。

だが、金のないタカハシは雨用のウエットタイヤを持っていない。タカハシが持っているのはドライ用のスリックタイヤだけ。しかも中古ばかりだ。チームメートがレースで使い終わったボロタイヤを捨てるのを物陰でじっと待ち、ゴミが出るとすかさず忍び寄って持ち帰り、こっそり自分のカートに取り付けて走る。
いや、けっして卑しいとか浅ましいとか貧乏くさいとか批判してはいけない。自然界においても、ハイエナやハゲタカやドロボウ猫といった動物たちは、こういう方法で立派に生きているのだから。

080514m02タカハシは、晴れた日はもちろん、雨の日も雪の日も外道な中古スリックタイヤでひたすらぐるぐるコースを回っている。濡れた路面だとぜんぜんグリップしないので、止まらないし曲がらないし加速もしない。うんざりするほど激遅だから、腕におぼえのあるカートドライバーなら泣いて悔しがるだろう。だが、タカハシは悔しがることもなく、いつも楽しく走っている。

財布に金がないのは残念だが、腕にはおぼえがなくて、ほんとうによかった。雨は貧乏タコドライバーに哀しみと安らぎを同時に味わわせてくれるのだ。
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2008.01.13

スイス ハットレス

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公道用の市販車なら、よほど大改造でもされていないかぎりパッと車種の見分けがつくものだが、レーシングカートはエンジンとフレームが別売りなうえ、外装品が自由に付け替えられることもあって、なかなか車種の判別が難しい。

080113m02カートの車種というのは、つまるところフレームの種類のことだ。一見ただの鉄パイプにしか見えない地味なフレームだが、じつはこれがカートの性能を大きく左右する最も重要なパーツで、メーカーやタイプによっていろいろ特性やクセがあり、それに応じて乗り方も変わる……のだそうだ。ニブいタカハシには、フレームの違いなんつー細かいことは、残念ながらまるでわからないんだが。

080113m032008年の年明け早々に、サーキット秋ケ瀬でショップのレンタルカートを走らせた。
用意してもらったカートは、スイス ハットレスというメーカーの「カタリナ」。タカハシは初めて見たが、かつてはレースでもけっこう活躍していた車種だという。
エンジンはKT100SDを載せ、タイヤはSL07をはかせてもらった。ステアリングにはちゃんとデータロガーも付いていてラップタイムが表示される。タカハシにとっては、見るたびに深い厭世観をおぼえる悲しい数字だが、これがわからないと、なんとなく練習した気にならないのも事実。カートショップの嬉しい配慮である。

080113m04写真でもわかるとおり、普通のカートに較べると、リアバンパーがやたら大きく張り出している。でもこれはスイス ハットレス・フレームの特徴というわけではない。K-TAI(ツインリンクもてぎロードコースでおこなわれるカート7時間耐久レース)に出場したカートなので、そのレギュレーションに対応した大型バンパーが付いたままになってるだけだ。シート左側にはそのとき使ったとおぼしき3キロ程度のバラストもそのままくっついていた。

フレームの性能に目立つクセはまったくない。ハンドルをまっすぐにしていればまっすぐ走るし、ハンドルを切れば切った方向に曲がる。アクセルを踏めばスピードが上がり、ブレーキを踏めばスピードが落ちる。細かい挙動をあれこれ気にする上級者ならともかく、タカハシにとってはまったく文句のつけようのない素晴らしい性能だった。

080113m05コースイン直後にアクセルが戻らなくなってコーナーを飛び出しかけたことと、スピンしたカートをよけ損ねてタイヤバリアに突っ込んで埃まみれになったことと、なぜか突然フロントスプロケットが異常に磨耗して丸ボーズになってしまったことのほかは、なんのトラブルもなく、ひじょーに楽しく走れた。
でも、後でデータロガーに表示されたラップタイムを見たときは、ひじょーに悲しくなった。いつかタコドライバー タカハシが、ラップタイムにすすり泣かずにすむ日がやって来るのだろうか……。

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2007.11.26

カートログ アルファノ

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【ほぼ2年半前のタカハシ 2005.1.9】

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「アルファノ」を取り付けたばかりの頃の練習記録。

現代のレーシングカーにはデータロガーという走行データの記録装置がくっついている。ラップタイムはいうにおよばず、速度、エンジン回転数、加速G、旋回G、ブレーキ踏力、アクセル開度、油温、水温など、ほしいデータがたいてい手に入る素晴らしい機械だ。
レーシングカートの場合はそこまで高機能じゃないが、サーキットに埋め込んだ磁石を検知してラップタイムを自動計測するロガーがくっついていて、ラップタイムや周回数くらいはちゃんと表示される。メジャーなブランド「アルファノ」がその代名詞だ。

チーム内では「タカハシのよーなタコドライバーには無駄な装備」と断定され、当初なかなか取り付けを許してもらえなかった。たしかにレースに出ないんだから、タイムなんか計っても意味ないんだが、それなりに練習の励みにくらいはなるだろうと、チームの人にペコペコ頭を下げて頼み込んでいたところ、走り出してから半年ばかり経った頃、ようやく取り付けさせてもらえた。

ただ、残念ながら僕のアルファノは不良品らしい。同じマシンに取り付けた同じアルファノだから、誰が走っても同じ数字が出るはずなのに、他のドライバーに較べると、なぜかタカハシのラップタイムだけがやたら遅く表示されてしまう。困ったものである。いずれ製造元のほうで調整し直してもらいたいものだ。

写真のようにステアリングハブに取り付けて使う。左上の数値がラップタイム、右上がエンジンの最高回転数だ。中段左端は周回数、右端は水温(タカハシのエンジンは空冷なので使わない)、下段は左端から、コース埋設の磁石数(コースごとに異なる)、エンジン稼動時間、エンジン番号(複数のエンジンを持っている場合に使う)、エンジンの累積稼動時間となっている。
いちばん安いアルファノだったが、それでも4〜5万円ほどした。しかも、せっかくいろんなデータが出てるのに、タカハシが見るのはせいぜい周回数くらい。たしかにタカハシには無駄な装備だったかもしれない。
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2007.11.01

カートログ 360°ターン

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【ほぼ2年半前のタカハシ 2004.12.23】

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チーム内で模擬レースをした日の練習記録。レースといってもただの冗談で、コースさえ貸し切りにせず、他のドライバーがふつうに練習しているところで勝手に競走するだけだから練習走行とほとんど変わらない。しかし、いちおうスタートとゴールが決まっているだけでも、公式戦に出たことのないタカハシにとっては楽しい経験になった。

当日は歴戦のレーシングカートドライバーたちでさえ次々とスピンを喫するヘヴィ・ウェットのコンディション。初心者タカハシは当然それ以上にクルクルとコマのようにスピンしまくり、そのついでに360°ターン(サブロクターン)をほぼ完全にマスターした。

071101m02クラッチがなく、エンジンとタイヤが直結されたカートは、車体が停止するとエンジンも止まってしまう。だがエンジンが止まるとコース復帰に時間がかかるし、だいいち再始動がめんどくさいので、できれば止めたくない。そこでスピン後にそのまま一回転してコースに復帰しようと横着をかますテクニックがサブロクターンだ。

でも、ようするにスピンしたあと元のコースに戻るだけのことだから、四輪ジムカーナなどでパイロンを軸に積極的にクルマを回し込む本物のサブロクターンとはまったく違う。カートのサブロクターンには何のテクニックも要らない。スピンしたときにアクセルを戻さず、逆に目いっぱい床までベタ踏みしてやればいいだけだ。するとカートはそのままの勢いを保ってスピンを続け、やがて(うまくいけば)360°くるんと回る。完全に元の進行方向に戻る直前を見計らってアクセルをゆるめれば、自然にグリップが回復し、再びまっすぐ走り出すことができるという寸法だ。

071101m03が、それは「うまくいけば」の話であって、うまくいかなかった場合は、コースから飛び出して頭からつま先までドロドロになり、低俗なギャグマンガの登場人物のごとき無惨な姿をさらしたり、バリアに激突して、月末にカートショップから届く修理費の請求書一枚で完全に息の根を止められたりする危険もあるからよく注意したい。

だいいち、いくらサブロクターンを成功させたって、そもそものスピンという失敗を消すことはできない。それどころかむやみにこのターンに慣れていると「こいつスピンばっかりしてるんだな」と勘づかれ、タコドライバーとして侮蔑されるおそれもある。
カートにおけるサブロクターンは、ほどほどにできるか、むしろまったくできないほうが、かえって尊敬されるタコ系テクニックのひとつなのである。

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2007.10.10

カートログ 雨の第1コーナー

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【ほぼ2年半前のタカハシ 2004.12.16】

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レーシングマシンというものは、たいてい路面状況によってドライ用タイヤとウエット用タイヤを使い分けて走る。レーシングカートも、ウェットコンディションではレインタイヤを履かせるのがふつうだ。
だが、タカハシはレインタイヤを持っていない。レインタイヤを買うと、ホイールを含めて数万円の出費を覚悟しなくてはならないからだ。レースに出るならそれでも絶対に買わなくちゃならないが、コースをぐるぐる回って遊んでいるだけのタカハシにとっては、やたら金がかかるだけの無駄な装備なのだ。
だから雨の日も雪の日も、ずっとドライ用のスリックタイヤだけで走っている。でも、むやみに滑りまくることと、ぜんぜん曲がらないことと、まるっきり止まらないことのほかは、とくに困った点は何もない。

071010m02琵琶湖SLには9つのコーナーがあるが、ゆるやかに左へ曲がる第1コーナーは、ドライなら全開のままほんのちょっとステアリングを入れればクリアできるごく簡単なコーナーだ。が、いったん雨が降ると、突如として超難関コーナーに化ける。噂によると、メーンストレッチの中盤くらいからステアリングを入れてカートの向きを変え、ドリフトアングルを正確に維持しつつクリッピングをかすめ、なるべく早くアクセルを全開にして立ち上がらねばならない(らしい)。
もちろんタカハシにそんな曲芸じみた走り方はできない。だが、そのかわり別の曲芸ができる。メーンストレッチの中盤くらいからステアリングを入れてカートをクルクル回転させ、そのまま縁石を越えてまっすぐグリーンに飛び込み、頭からつま先まで泥まみれになるという曲芸だ。我ながら迫力満点の素晴らしい芸だと思うのだが、何度やりとげても誰ひとり誉めてくれないのが残念でならない。
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2007.09.18

カートログ クラッシュ

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【ほぼ2年半前のタカハシ 2004.12.12】

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モータースポーツにはクラッシュの危険がつきものだ。それどころか、クラッシュはモータースポーツの華だといってもいい。走っている人は誰も喜ばないが、観ている人はたいてい大喜びする皮肉なシーンでもある。

ところがレーシングカートは、数あるモータースポーツの中でも、もっとも安全性の高いカテゴリーのひとつで、華々しい大クラッシュはめったにない。たとえばモトクロスの危険性を100だとすると、せいぜい1か2くらいの危険性しかなく、テレビゲームに較べると少々危険かもしれないという程度のきわめて安全なスポーツだ。大酒を飲んで走ったり、コーナリング中に居眠りしたり、タカハシのよーなドヘタなドライバーが運転したりしないかぎり、大クラッシュなんて、まずないほどだ。

が、あいにく最後の条件だけが満たされなかったため、この日は大クラッシュをやらかしてしまった。
コーナー脱出時にアウトにはらんで縁石に乗り上げたが、そのまま構わずアクセルを開けてテールを出し、パワーまかせに強引にインを向けようとしたところ、荷重の抜けたフロントが大きくはずんでステアリングがまったくきかなくなり、アクセルベタ踏みのままクラッシュパッドへ直行。少しも減速しないどころか、フル加速状態で真正面から激突してしまった。典型的なタコ・クラッシュである。

ぶつかったあと、ちょっと気を失っていたタカハシは何も知らずにいたが、あとで聞くと、カートが宙に舞い上がるような激しいクラッシュだったため、ピットで見ていた人はみんな真っ青になったそうだ。気がつくと、駆け寄ってきた何人ものチームメートに助け出されていた。タカハシにケガはなかったが、カートのフロントまわりはぐちゃぐちゃに壊れた。

070917m02この経験から学んだことは「クラッシュすると修理に金がかかってタイヘンだ」ということと「ヤバいと思ったらアクセルをゆるめたほうがよい場合もある」ということだった。貴重な教訓を得たと喜んでいたが、チームメートによれば、たいていのドライバーは、わざわざクラッシュしなくてもその程度のことは最初からちゃんと知っているのだそうである。

※写真はイメージです。(←なんの?)

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2007.08.04

サーキット秋ケ瀬

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サーキット秋ケ瀬は、全長608メートル、反時計回りのカート&ミニバイク兼用サーキットだ。タカハシの東京でのホームコース予定地でもある。これまで一般用のレンタルカートで走ったことはあっても、レーシングカートで走る機会はなかったが、ようやくカートショップのレンタルサービスで走ることができた。

070804m02貸してもらったのは、CRGのフレームにKT100SDエンジンを搭載したカート。使い古してズルズルに減ってはいるが、このクラスのレギュレーションを超えるハイグリップタイヤを履いている。
走り出してみると、どうやら燃料系にトラブルがあるらしく、コーナーを立ち上がるたびにすぽすぽとエンジンが止まり、ストレートに出てもぜんぜん加速できない。一時的とはいえ完全にパワーが切れてしまうので、背後にぴったりつけて立ち上がってくる他のカートに追突されそうなほどだ。しかしまあ、どうせもともと追突されそうなスピードで走っているタカハシには、この程度のカートがジャストフィットだともいえる。そのまま3時間ばかりコースをぐるぐる走って楽しんだ。

070804m03サーキット秋ケ瀬のコースレイアウトは比較的シンプルだ。「どーんとまっすぐ走ってクルッと回る」というタイプのわかりやすいコースだから、初心者でも走りやすい。横Gもあまりかからず体力的にラクだから、めったなことではアバラも折れないだろう。
とはいえ楽しめないわけではない。少しくらい無理してコーナーに突っ込んでも大クラッシュになりにくい中低速コースなので、その気になれば誰でもカンタンに攻め込む走りができるのもいいところだ。

070804m04何がなんでもレースに勝ちまくってF1へ上り詰めてゆきたいエリート系トップドライバーはもちろん、どんなにノロくてもとりあえずコース上を移動してさえいれば満足だというタカハシのよーな小市民系ボトムドライバーまで、それぞれのペースで走れるサーキットである。

走行料金は1日6000円、午前・午後のみなら4000円。レーシングカート走行にはポイントカード会員になる必要があるが、SL/JAFカートライセンスは持ってなくてもいいそうだ。
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2007.07.23

フォーミュラーランド ラー飯能

070723m01京都にマイカートを置きっぱなしにしているタカハシは、今のところ東京ではもっぱら一般用のレンタルカートに乗っている。しかしレンタルカートサービスには、雨の日は走行中止になってしまうものが多い。
タカハシはかつてホームコース 琵琶湖SLで「琵琶湖のアメフラシ」の異名をとった超絶雨男だけに、この仕打ちはキツい。ここのところ雨ばっかりで、なかなかカートに乗れないのだ。

だが、フォーミュラーランド ラー飯能は違う。雨など構わずガンガン走らせてくれるらしい。雨男にぴったりのコースだから、そぼ降る雨のなか、さっそく走りに行ってみた。
ラー飯能は、施設もコースもよく整備されているし、基本的にレンタル専用なので、レンタルカーターがのびのび走れるのもいい。しかしコース名がナゾだ。「ラーはんのう」と読む。「はんのう」が所在地名なのはわかるが、「ラー」のほうはなんだかよくわからない。

070723m02カートは、無限HONDA PK50フレームに、スバルの空冷4サイクル211cc OHC2バルブエンジン、EX21を搭載したやや特殊なマシン。小柄でクイックなフレームに大排気量の4サイクルエンジンを組み合わせ、おっとりした汎用エンジンなりにパワフルな走りが楽しめるマシンになっている。滑りやすいウェット路面ではある程度繊細なコントロールも必要だから、本格的にテクニックを磨きたいドライバーにはもってこいだ。

コースは全長540メートルの反時計回り。そしてタカハシのホームコース 琵琶湖SLと瓜二つのコースレイアウトとなっている。全長こそ半分ほどしかないものの、琵琶湖SLを走り込んだドライバーなら、ほぼそのままのイメージで走れるだろう。
琵琶湖SLでタコドライバーと呼ばれていたタカハシは、ほぼそのままのレイアウトをもつラー飯能でも、ほぼそのままのタコ走りを、ほぼそのまま披露。琵琶湖と同様、まわりから「タコドライバー」呼ばわりされることに成功した。まことに切ない結末であった。

070723m03それにしてもタカハシの呼称は、なぜいつもタコドライバーとかアメフラシとか、キショクわるい下等生物系ばかりなのだろう。どことなく統一性が感じられるのさえ悲しい。
いつかタカハシが「飯能の白い鷹」とか「琵琶湖のライオンキング」とか、もっとカッコいい高等生物にたとえてもらえる日がくるのだろうか。それが贅沢だというなら、せめて中等生物にたとえてほしい。こんなに熱心にカートに取り組み、日本のモータースポーツカルチャーに熱く激しく貢献しているのだから、その功績をもっと高く評価し、たとえ実力は伴わなくても「池袋駅でゴミをあさる黒いカラス」くらいの呼び名を与えてくれてもいいのではなかろうか。

070723m04ラー飯能のレンタルカートには、1日分の保険料500円のほか、8分2500円の走行料を払えば、ライセンス不要で誰でもすぐ乗れる。速い人ならドライで1周35秒前後だそうだから、2500円で12〜13周できるはずだ。
だが、タカハシが何周できたかは訊かないでほしい。池袋のカラスは、自慢できる結果なら語りたがるが、都合のわるいことにはだんまりを決め込む、ちょっと小ずるい寡黙な男なのだ。カアカア♪

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2007.06.30

カートログ 宝塚カートフィールド

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【ほぼ2年半前のタカハシ 2004.9.31〜12.11】

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カートに乗り始めて間もなく体調を崩し、3カ月間にわたって練習を休まなくてはならなくなった時期の記録。まだカートで走るための最低限の知識さえ身に付いていないうちに練習を中断するのだから、痛恨のブランクだ。
体調を取り戻すと、さっそく練習を再開しようとしたが、なにしろ独りではカートを走らせることすらできない。チームのサポートが必要だったが、なかなかスケジュールが合わず、しびれを切らして宝塚カートフィールドのレンタルカートでお茶をにごすことにした。レンタルはコスト的に割高になるから、本気で練習するにはどうかと思うが、チョイ乗りするには手軽でいいのだ。

070701m02宝塚カートフィールドは、全長510メートルの時計回りコースに13のコーナーを持っている。ストレートが比較的短く、タイトターンが連続する典型的なテクニカルコースだ。

レンタルカートサービスでは、安全のため性能を抑えたレンタル専用マシンが使われるのが普通だが、このコースでは、より本格的なレーシングカートもレンタルしている。このマシンに搭載されたKT100SCは、自動遠心クラッチを装備していて押し掛けの必要がないうえ、ふだんタカハシが使っているKT100SDと同程度のパワーを誇る高性能エンジンだ。フレームのほうはちょっとボロくて、たまにコーナーの入口でトンチンカンな挙動を出すものもあったが、贅沢さえいわなければ、これでもじゅうぶん気持ちよく走ることができる。病み上がりにはちょうどよいリハビリになった。

宝塚カートフィールドのレンタルカートは、ライセンス不要で、誰でもカンタンに乗れる。スタッフも親切だから初心者でも安心。KTエンジンのパワーを体験してみたいレンタルカーターや、しょちゅう身体を壊して練習を休んでいる虚弱なカーターのリハビリには最適のサービスだ。
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2007.04.29

Birel N35-X

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Birel製レンタルカート専用フレームN35-Xは、いまや4サイクルレンタルカートのスタンダードといってもよい。ホンダの空冷4サイクル単気筒エンジンGX160を主力とするさまざまなエンジンを搭載したN35-Xが全国各地のサーキットで活躍している。レーシングカートに較べれば動力性能はぐっと控えめながら、カートの迫力をじゅうぶん楽しめるマシンだ。

070429m02都心にほど近い「サーキット秋ケ瀬」にもBirel N35-Xが配備されており、昼休みや夜間のレンタル営業時間に乗ることができる。レンタルカートレースも頻繁に開催されていて、いつも満員の大盛況だそうだ。ベストラップのランキングが細かく発表されているため、熱心にサーキットに通い詰めてテクニックを磨き、本気でトップを狙う常連レンタルカーターも多い。

タカハシもさっそく走行を申し込み、必死の形相で7周のタイムアタックを敢行。ゼエゼエ息を切らせてピットに戻り、事務所でラップタイムをプリントアウトしてもらう。全7周分のラップチャートのほか、「本日のベストラップ」「今週のベストラップ」「今月のベストラップ」などの関連データも同時にプリントアウトしてくれて、サービス満点だ。
と、見れば「本日のベストラップ」欄に、なんと燦然と輝くタカハシの名が!

おおおおおお! 神よ!

カートを始めて苦節2年半、誰からも振り向かれることなく、チームメートはおろか通りすがりの小学生から拍手ひとつもらうことさえなく、ひたすら地道に積み重ねてきた努力が今ようやく報われたのだ。「本日のベストラップ」。ついに得たこの栄冠の、なんと甘く美しい響きであろう!

070429m03歓喜のあまり滂沱の涙を流しつつ、タンザニアに住むガルビウグンダ族の青年、マウニ・オリンバから教わった「ナバウンダラ神の花々に蝶が舞い鳥が歌う喜びの踊り」を狂おしくも情熱的に踊りはじめるタカハシ。が、人目もはばからずピットで狂喜乱舞するタカハシに、係員の遠慮がちな、そして哀れむような言葉が浴びせられた。

「あのう、今日はタカハシさんが初めてのお客さんなんですけど……」

初めてのお客さん。それは必然的に1位であると同時に、必然的にビリでもある唯一の存在……。いましも佳境に入ろうとしていたタカハシの喜びの踊りは、彼の一言で瞬時に暗転した。すなわち、北アラスカに住むイヌイットの少女、ラウラ・トポキッタから教わった「猟師に撃たれたワモンアザラシの赤ちゃんが吹雪の中で血の涙を流してクンクンとかぼそく鳴きながらしだいに凍りつき、やがて息絶える悲しみの踊り」へと変わってしまったのである。
人生はむなしく、この世ははかない。次のドライバーがピットに帰ってきたとたん、タカハシの生涯唯一の「本日のベストラップ」が跡形もなく消え去ったのはいうまでもない。

070429m04サーキット秋ケ瀬のレンタルカートは7周で1500円、回数券なら7周×3回で4000円(通常料金)、予約不要、先着順。ヘルメットなどの装備は貸してくれるから準備しなくていいが、テクニックに自信のある人は喜びの踊りを、自信のない人は悲しみの踊りをあらかじめ準備しておくといいだろう。なお、悲しみの踊りについてはタカハシもわりと自信があるので、事前に申し込めば詳しいステップを格安で教えてあげることもできる。

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2007.04.25

カートログ 押し掛け

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【ほぼ2年半前のタカハシ 2004.9.30】

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今ではセルスターターの付いた車種もけっこう幅をきかせているが、一般的なカートは「押し掛け」でエンジンをかける。クラッチがなく、タイヤとエンジンが常時直結されているので、タイヤを転がすことで強引にエンジンを回して走り出すわけだ。

070425m01ふつうは左手をハンドルにそえて操蛇しつつ、右手でリアバンパーを握って(タカハシは変則的にシートステーを握っているが)後輪を持ち上げたまま、ドライバーが走り出す。勢いがついたところでリアタイヤを路面に落とし、そのまま数メートルドタバタ走って、エンジンがかかりはじめたタイミングを見計らってシートに飛び乗る……というやり方だ。

070425m02手順を書くとなんとなく難しそうだが、じつは案外カンタンだ。いやしくもモーター・アスリートを志そうというほどの運動神経の持ち主なら、たいてい即座にマスターしてしまう。が、ごくまれにだが、たとえば運動神経が異常にニブく、何から何まで要領がわるく、体力と知力と精神力が虚弱で、背が低く足が短く心が狭く性格がゆがみ、病弱で無能で貧乏なイラストレーターの場合などは、押し掛けをマスターするだけで2カ月もかかることがあるという恐ろしい噂を耳にしたこともある。

カートを始めてから一度も押し掛けに成功したことがなかったが、ようやく初成功し、ほっと胸を撫で下ろした日の記録。だが、そのときほんとうに胸を撫で下ろしていたのは、まわりのチームメートだったかもしれない。タカハシがあちこちでやたらとスピンしまくってエンストするたびに、いちいち息を切らせてコースの端まで救助に駆けつけずにすむからである。

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2007.03.09

ロータックスMAX

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タカハシのマイカートにはヤマハKTエンジンが載っている。シンプルな空冷2サイクル100ccクラスのエンジンで、大人用レーシングカートのなかでは最もパワーがなく、タイヤ性能も低い初心者向きセットだ。これに対して、ロータックスMAXをはじめとする水冷2サイクル125ccクラスのエンジンを搭載したカートは圧倒的にパワフルで、タイヤの性能も格段に高く、上級ドライバーの人気を集めている。

070309m02もちろんタカハシのよーなタコドライバーがそんな高性能カートに乗ると、どこにすっ飛んでいくかわからないので、めったに乗れる機会はない。が、ありがたいことにカートチームの先輩Tさんが愛用のカートを貸してくれた。関西を去るタカハシへの餞別代わりのはからいだ。

2006年型のマラネロフレームにロータックスMAXが載っている。ヨーロッパのレースで活躍するトップドライバーが乗っているカートだから、間違ってもぶつけて壊すよーなヘマはできない。おそるおそるエンジンをかけて走り出した。

ロータックスMAXは素晴らしくパワフルなエンジンだ。ちょっとアクセルを踏み込むだけでKTとは別世界の加速感が楽しめる。だが、だからといって簡単に速く走れるわけではない。高度なテクニックと繊細な感覚をもったドライバーでないと、タイムにつながる走りは難しい。

070309m03低レベルのテクニックとザルのごとく粗雑な感覚しか持ち合わせていないタカハシは、ふだんから無駄なドリフトを連発してチームメートの冷笑を買っているが、困ったことに、ロータックスMAXに乗るとドリフトがますますひどくなる。むやみにパワーがあるもんだから、アクセル一発でいともたやすくヨコを向き、どこもかしこもズルズル滑りまくって、まるでラリーカーでも運転しているようだ。
右上の写真は琵琶湖スポーツランドの5コーナー中盤。画面右奥から左下に向かってほとんどまっすぐ抜けるS字コーナーなのに、カートが完全にトンチンカンな方角を向いているのがよくわかる。

070309m04高性能エンジンに乗れば誰でも速く走れるのかと思ったら大間違いだ。それどころか高性能エンジンには、より高度なテクニックが必要になる。まずは自分のテクニックに見合ったエンジンを使うことが大切だ。
タカハシのテクニックでは、残念ながらロータックスMAXはおろか初心者用のKTエンジンでもまだ高性能すぎる。この際エンジンは潔くあきらめ、マブチの模型モーターを取り付けて走るべきではないだろうか。

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2007.01.23

スモールワールドグランプリ07-rd01

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ファン待望のSWGP2007-rd01が、北風吹きすさぶ琵琶湖スポーツランドで開催された。070123m01_1主催者タカハシの事情により、開幕戦にしていきなり最終戦(←たぶん)という異例の一発勝負レースとなったためか、13名のエントラントが集まる盛大なグランプリとなった。
これまでタイムアタックバトルのみで争われてきたSWGPだが、今回はせっかくコース貸し切りにするのだからと、史上初のミニレース形式を採用。タイムアタックのあとA組、B組に分かれてそれぞれ7周ヒートの予選をおこない、予選を勝ち抜いたドライバーが10周ヒートの決勝戦を闘ってウィナーを決める方式だ。

070123m02_1前半はSWGP伝統のタイムアタックバトル。うまくクリアラップをとって、全開アタックのチャンスを活かしきれるかどうかが勝負の分かれ目となる。ドライバーたちは許された走行時間ギリギリまで果敢にプッシュを続けるため、各所でクラッシュも続出。なかでもSWGP参戦2回目のL.B.Nonotyは、新人らしく無謀なまでにアグレッシブなドライブを披露。最終コーナーで激しくコースオフし、ピットウォールのスポンジバリアを突き破ってピットロードに飛び込むという前代未聞の大クラッシュを演じ、観客をちょっと心配&だいぶ喜ばせた。

070123m03予選は激しいデッドヒートの末、A組1位T.Nonochi、2位A.youkaw、3位O.Yamazaki、B組1位M.King、2位Y.Matzen、3位H.Sayskyが決勝に進出。さらに、熾烈な敗者復活抽選会を勝ち上がったK.Kaerinenも加わり、計7名のドライバーでタイトルが争われた。

決勝は、スタート直後からSWGP06の覇者 T.Nonochiがリードを奪い、一気に逃げを打つ体勢に入ったが、オープニングラップの5コーナーでスピン。最後尾近くまでポジションを落とした。その間に因縁のライバルO.Yamazakiがトップを奪還、たちまち後続を引き離しながら独走態勢に入る。負けじとT.Nonochiも火花を散らしてコース復帰。驚異のオーバーテイク・ショーを繰り広げながらトップを追いつめ、ラストラップではなんと2位にまで浮上。そのまま奇跡の表彰台ゲットかと思われたが、ここで痛恨のスピンを喫し、惜しくもポジションを失った。

070123m04SWGP07チャンピオンは、いぶし銀の安定した走りで一人旅レースを展開したO.Yamazakiに決定。準優勝は初参戦ながら大健闘のM.King、3位は交通○動隊仕込みのドライビングテクニックをいかんなく発揮したA.youkawというリザルトとなった。
惜しくもレースには敗退したT.Nonochiだったが、60.570秒のベストラップをマークして、みごとベストラップ賞と副賞のマツダRX-7(でも全長約15センチ)を獲得。そのほか、H.Atyupiroがベストカメラマン賞と副賞のトヨタAE86トレノ(でも全長約15センチ)を、A.youkawがヘビードライバー賞と副賞の三菱ランサーエボリューション(でも全長約15センチ)を獲得した。

それからこれは開催のたびに書いていることだが、SWGPには「カート所有者は賞典外」というルールがある。だからタカハシは出走しないし、リザルトもつかない。けっして逃げ隠れしたりビビったりして走らないわけではない。もしレースに出れば余裕でサラッと勝てる予定なのだ。ただ、ピットでいくら口をすっぱくしてタカハシの速さうまさ素晴らしさを力説しても、他のドライバーが誰ひとり耳を貸そうとしないのが残念である。
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※SWGP2007参戦ドライバーは下記13名。ベストラップ賞以下は順不同、敬称略。

070123m06優勝・"ヘアピンの念仏伝道師"O.Yamazaki(写真中)/2位・"閃光のリアルエステーター"M.King(写真左)/3位・"狂気のホワイトバイカー"A.youkaw(写真右)/ベストラップ賞"バーチャル車ゲームのスピードキング" T.Nonochi
"音速の生体メカボーグ"H.Atyupiro/"逍遙のマラソンマン"K.Kaerinen/"神風クラッシャー"L.B.Nonoty/"旭日の自動車警ら隊"Y.Kawazoh/"ツンドラの熱暴走インテグラルサーキット"M.Pomkitty/"TIサーキットの白い彗星"Y.Matzen/"さすらいのハーフシルビアン"K.Otomow/"バックストレッチのバトル職人"N.Yousac/"ういりー番長"H.Saysky

※photo by H."Supersonic bio-mecha-borg"Athupiro and more

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2006.12.31

カートログ ニューモデル試乗会

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【ほぼ2年前のタカハシ 2004.9.23】

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カート試乗会は各メーカーのニューモデルに乗れる貴重な機会だ。しかしこの鈴鹿南コース試乗会のときは、まだ自分のカートもろくに乗れないような時期だったから、どのカートに乗ってもせいぜい「たしかにカートだ」ということくらいしかわからなかった。
つい最近、ホームコースの琵琶湖SLでも試乗会が開かれた。さすがに2年以上もカート経験を積んでいるので自信をもって試乗に臨んだところ、「たしかにカートだ」ということが、以前より多少はっきりわかるようになった気がしないでもない感じがほんのちょっとだけした。

061231m02琵琶湖SLの試乗会のようすは、国内唯一のカート専門誌『ジャパンカート』2007年1月号でも取り上げられている。そしてこの雑誌には、なんとタカハシのコメントも掲載されている。

記事は「京都から来た物好きな男A(仮名)」の談話として「あまりにもヘタクソなので一度もレースに出られず、ポンコツKTで無意味にコースをグルグル回り続けているだけの悲惨なカートドライバーです。すでに42歳となり、足腰が立たず、目がかすみ、耳も遠くなってきた中年男の私でも、なんとか運転できそうなマシンが見つかるんじゃないかと、つい期待しちゃいますね」というタカハシの切実な肉声コメントとともに「ニューモデルの性能にあらぬ幻想をいだき、いやがる輸入代理店スタッフに執拗に質問を続ける男の姿に、寒々とした哀愁が漂っていた」という記者の印象を、本心よりややソフトで礼儀ただしい筆致で紹介している。

『ジャパンカート』誌は全国の超有名巨大書店にならば、ごくごく僅少部数をごくごくごくたまに置いている場合があるし、全国のカートショップの備品の下敷きになってひっそり売られている場合もある。ぜひ探し出して読んでみよう。門外漢にはさっぱりワケのわからないことばかり羅列してあるから、気の短い人なら瞬時にイライラできることウケアイだ。750円、亜玄社刊。
061231m03ちなみにタカハシ試乗中の勇姿は、表紙写真にも大フィーチャーされている。わかりにくいといけないので、部分拡大写真にマルをつけておいた。ぜひ虫めがねで入念にチェックしてほしい。

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2006.12.09

カートログ リブプロテクター

061209m01←カート練習ログ
【ほぼ2年前のタカハシ 2004.9.9】

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5回目の練習記録。
肋骨がメキメキやられ、激痛で寝返りどころか満足に息もできない日々が続いたので、大枚をはたいてリブプロテクターを買った。絶大な効果を期待していたが、けっきょくそれからもメキメキやられっぱなしで、いまだにメキメキやられ続けている。ぜんぜん効果がないとはいわないが、さほどの効果はないようだ。だが、カートに慣れれば肋骨は少しずつ折れなくなるものだという。

061209m02肋骨は旋回時の横Gでやられる場合と、ショックでやられる場合がある。
横Gによるダメージは、練習後半で疲れが出て上体がアウト側へ振られはじめたときがヤバい。でも要するに上体が振られさえしなければいいんだから、日頃の腹筋・背筋・首まわりの筋トレで筋持久力を強化し、上体を安定させればすむことだ。
ショックによるダメージは、クラッシュを除けば、縁石への乗り上げと舗装のバンプが主な原因だ。だからコース上のどこでどんな挙動が起きるかを知り、ムダにショックを拾わないラインを走ればよい。

この程度の簡単な対策さえできれば、肋骨のダメージは回避できる。だが、身体が虚弱なうえに走行ラインがばらつくヘタクソなドライバーでは、いつまで経ってもこの程度の簡単な対策ができず、いつまで経っても肋骨をバキバキ折り続けるのだともいえる。タカハシがいまだに練習のたびに脇腹の痛みにのたうち回っているのも、まあ当然といえば当然の報いなのかもしれない。

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2006.11.09

Birel Easy Kart

061109m01タカハシのマイカートは、マラネロのフレームにYAMAHA KT100SDエンジンを搭載し、SL02タイヤを履いている。ごく標準的な初心者用カートの構成で、最初級レースのレギュレーションに相当する。多くのカートドライバーは、たんにエンジンの名としてではなく、この入門クラスのカートそのものを「KT」と呼ぶ。

イタリア ビレル社製のEasy Kartは、初心者用のKTよりも、さらに手軽にカートを楽しめるように作られている。ふつうのカートのようにパーツをバラで買って組み立てるのではなく、工場組み立て済みの完成品として売られているのが大きな特徴だ。レースイベントもいちおうあるが、まだほとんど普及しておらず、むしろ上級レンタル用カートとして少しずつ広がりはじめているらしい。

061109m02イージーカートにはいくつかのエンジン・バリエーションがあるが、メーンはKTと同じ2サイクル100ccクラス。セルスターター&自動遠心クラッチ付きで、押し掛け不要のKomet EK100を搭載している。見た目はレーシングカートそのもので、なかなか本格的っぽいのだが、でもまあどうせ中身はレンタルカートだからとすっかり侮っていたら、とんでもない見当ちがいだった。
試しに乗ってみると、やたらに速い。エンジンは高速域まで軽々と吹け上がり、気持ちよくギンギン回る。フレームがちょっとヤワくて、めいっぱい荷重をかけてコーナリングするとやや腰砕けっぽくなるものの、無節操にドタバタ暴れだすようなことはない。ブレーキも少し頼りない感じだが、それでもきっちりレーシングカートレベルだ。ひょっとするとこれはKTより速いんじゃないか、レンタルで乗るなんて反則じゃないかと思うほどの高性能カートだった。

061109m03今のところまだごく一部のコースにしか導入されていないのが残念だが、これまで普通のレンタルカートにしか乗ったことのないドライバーなら、乗れば間違いなく感動できる。機会があれば、ぜひ乗ってみるといい。
ただしイージーカートに乗るときは、なるべくリブプロテクターを着けたほうがいい。レーシングカートレベルの速さで走れるぶん、当然ながらレーシングカートレベルでアバラもポキポキ折れまくるはずだからである。

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2006.10.16

スモールワールドグランプリ06-rd03

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秋深まる滋賀県・琵琶湖スポーツランドにおいて、タカハシ主催のSWGP2006年第3戦が開催された。参戦予定だった各ドライバーに結婚・転居・妊娠・出産・負傷・昏倒・貧窮・畏怖・衰弱といったさまざまな重大事情が発生したため、今回は少数精鋭ドライバー4名のみが争うグランプリとなった。061016m02

グランプリには、現在シリーズランキングトップを独走する"バーチャル車ゲームのスピードキング" T.Nonochi、これを追撃する"音速の生体メカボーグ"H.Atyupiro、そして2005年ランキング2位"ツンドラの熱暴走インテグラルサーキット"M.Pomkittyが必勝を期して参戦。さらには"最速遺伝子をもつ男"L.B.NonotyがSWGPデビューを果たし、話題をさらった。

なお、従来どおりYAMAHA FK-9のワンメイク・タイムアタックではあるが、カートの個体差によるハンデを解消するため、今回からは1時間の走行時間を20分ごとに分け、順次マシンチェンジをおこなう3ヒート制が導入された。
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完全ドライの好コンディションにめぐまれ、レース序盤から一気に飛ばすT.Nonochiが、早くも第1ヒートで夢の59秒台をマーク。他のドライバーが必死にこれを追う。
やがてレースは漆黒の闇が支配するナイトステージに突入。コンマ1秒の戦いにしのぎを削るドライバーたちの意地とテクニック、そしてカートがぶつかり合って火花を散らす熾烈なドッグファイトが繰り広げられるエキサイティングなレース展開となった。
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リザルトは、大方の予想通りT.Nonochiが優勝を獲得。あわせて59.276秒のSWGPレコードを樹立した。2位はH.Atyupiroの60.396秒。惜しくも59秒台には届かなかったものの、前回5位に沈んだ不振の雪辱を果たした。3位には62.755秒でL.B.Nonotyが入り、デビュー戦にもかかわらずみごと表彰台をゲット。4位は63.219秒でM.Pomkittyだった。
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なお例によって「カート所有者は賞典外」というSWGP競技規則があるため、タカハシには順位がつかない。タイムも発表しない。けっして恥ずかしいタイムだったから隠しているわけではない。ただ、タカハシとしては、あんまり発表したくないだけだ。なぜ発表したくないかは、訊かないでほしい。それが武士の情けというものである。

SWGP2006シリーズ最終戦の開催はまったく未定だ。しかし、もし開催されればモータースポーツファン必見の超激戦となることはまちがいない。SWGP事務局の発表に注目しよう!
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2006.10.11

カートログ カート整備法

061011m01←カート練習ログ
【ほぼ2年前のタカハシ 2004.08.29】
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少しはカートに慣れてきた4度目の練習。この頃いちばん苦心していたのは、コースを走ることではなく、カートの整備だ。
レーシングカートは、走行前後にそれぞれ1時間ほどかけて点検と整備をしなくてはならない。小型とはいえレーシングマシンだから、整備が足りないとたちまちトラブルが起きて、あっけなく走行不能に陥ってしまう。

走行前には、タイヤに空気を入れてエア圧を調整し、ビードストッパーを増し締めし、混合ガソリンをつくって給油し、チェーンテンションとチェーンラインを確認し、クランクを回してキャブレターまで燃料を送りながら点火プラグの動作を確認し、スロットル全開時のキャブレターの状態を確認し、チェーングリスを塗り、ノイズボックスを取り付け、ローニードルとハイニードルの基本セットを確認し、点火プラグを取り付け、ブレーキの作動状態とパッド残厚を確認し、フロントタイヤの締め付けを調整し、リアタイヤの取り付けボルトを増し締めし、シャフトまわりの六角ボルト類を増し締めし、フレームまわりのネジを増し締めし、ゼッケンパネルに走行票を貼り、アルファノをリセットして、ピットロードにカートを降ろす。
走行後は、カートをスタンドに上げ、燃料をすべて抜き、プラグとノイズボックスを取り外し、エンジンを降ろして灯油で洗い、同じく灯油で駆動系を洗う。走行票を廃棄し、フレームをCRCで清掃しながらクラックやパーツの破損をチェック。タイヤの空気も抜く。チェーンテンションを調整してエンジンを再搭載し、ノイズボックスとプラグを取り付け、カートを立てて格納する。

モータースポーツ好きにはメカ好きが多いので、彼らはさほど苦にしてないのかもしれないが、タカハシはメカ音痴なうえひじょーに不器用なため、整備は最大の苦痛だった。今ではさすがに多少慣れてきたものの手際が悪いことに変わりはなく、どんなに頑張ってもノロノロとしかやれない。おかげでチームメートにコース上でさんざんぶち抜かれているばかりではなく、ピット内でもさんざんぶち抜かれ続けている。
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2006.09.18

スモールワールドグランプリ06-Rd02

060918m01タカハシ主催のSWGP2006シリーズ第2戦が、初秋の琵琶湖スポーツランドで開催された。8名のドライバーがレンタルカートYAMAHA FK-9を駆って腕を競うタイムアタックバトルである。
FK-9は空冷2サイクル単気筒82ccエンジンを搭載したパワフルでクイックなレンタル専用カート。各ドライバーは1時間の制限時間内で自由にタイムアタックをおこない、ベストラップを争った。

雨あがりで一部に水たまりが残っていたものの、路面コンディションはほぼドライ。各所でスピンを喫しながらも、ドライバーたちは果敢にコーナーを攻めまくっていた。
060918m02スピードを抑えたレンタルカートとはいえ1時間の連続走行はけっこうキツい。きっと途中で休憩するドライバーもいるだろうと、ピットエリアにお茶とお菓子を用意して待っていたが、そんなタカハシの心尽くしには誰ひとり見向きもせず、目を三角にしてひたすら走り続けていた。まったく、血も涙も情緒のかけらさえもない連中である。

060918m03優勝は、60ラップもの周回を着実にこなして60.653秒をマークした”ヘアピンの念仏伝道師”O.Yamazaki。なんとカート初体験にしてみごと優勝の栄冠を勝ち取った。2位は、計測器の不調でラップが大幅減算されたトラブルをものともせず、60.898秒の好タイムを叩き出した”バーチャル車ゲームのスピードキング” T.Nonochi。そして3位には、女性ドライバーとは思えないアグレッシブな走りで62.578秒のタイムを記録した”旭日の自動車警ら隊”Y.Kawazohが入り、堂々の表彰台を獲得した。
060918m044位は62.892秒をマークした”TIサーキットの白い彗星”Y.Matzen、5位には”音速の生体メカボーグ”H.Athyupiroが62.978秒で入り、6位に”バックストレッチのバトル職人”N.Yousacが64.740秒で続く。7位は”くしゃみをしたら腰が抜けた女”N.Yukachiの65.644秒、8位は”前夜に飲みすぎて走行前に気分が悪くなった女”M.Aicow。ドライバーの不調につられて計測機までぐあいが悪くなったらしく、残念ながらM.Aicowのタイムはとれなかった。

ちなみにタカハシもいちおうちょっとだけ走ったが、SWGPには「カート所有者は賞典外」という規定があるので、ラップタイムの発表は差し控える。せっかく測定したのにもったいないようだが、タイムを知ったチームメートたちから「チームの恥」と蔑まれ、スパナやレンチを投げつけられないためには、たとえ卑怯といわれようと、これが最善の策なのである。
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2006.09.03

温度計

060903m01モータースポーツを愛好する人は、たいていいつも路面温度を気にしている。ふつうの人には、なぜ路面温度なんか気にするのかわからないだろう。それも無理はない。じつはタカハシにもよくわからないくらいだ。
だが路面温度を気にしていると、なんとなく本格派っぽいため、チームメートの前では気にするふりをしている。うわさによれば、路面温度が高すぎたり低すぎたりすると、タイヤのグリップが悪くなり、ラップタイムが落ちるのだそうだ。

この白い器具はオーム電機製の「Mr.Check」。非接触赤外線温度計と呼ばれるもので、離れたところから物体の表面温度を測れるから、路面温度を測るのにちょうどいい。ほかにもラーメンの温度や耳の穴の温度、猫や犬や猿やネズミやインコの温度なども測れるが、そんなものをいくら熱心に測っても、モータースポーツにはあまり役立たないので覚えておくといいだろう。

モータースポーツを愛好する人は、路面温度のほかに、たいてい気温や湿度も気にしている。だからタカハシもいちおう測っているが、なぜ測るのかはさっぱりわからない。それにホームセンターで買った特売品の時計にくっついているオマケみたいな温湿度計だから、いくら測ったって正確かどうかあやしいものだ。

060903m02真夏、カートコースは気温36度、路面温度56度にも達することがある。灼けつく路面からわずか4センチの高さに座って遠心力と格闘し続けるカートドライバーはみんな汗だくだ。だが、最近ようやく涼風が吹き始め、ゲロ暑の真夏も終わりを告げようとしている。でも、どうせすぐゲロ寒の真冬がやってくるのだから、なんだかちょっとうんざりである。

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2006.09.02

カートログ 首ペロン現象

060902m01←カート練習ログ
【ほぼ2年前のタカハシ 2004.8.26】
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3度目の練習。後半のセッションでは通称「首ペロン現象」を起こしかけている。

カートの強烈な横Gはドライバーのアバラにヒビを入れるだけではなく、首にも大きな負担を強いる。ラップを重ねて首の筋肉が弱ってくると、次第に頭をまっすぐ保てなくなり、コーナリングのたびにアウト側に振られはじめる。それでもまだ走っていると、やがて首がペロンと折れるようになる。いくら折れても完全に首がちぎれて飛んでゆくことはめったにないが、いったんこの首ペロン現象が起きると、あとでいくら休んでも回復しないから、その時点で練習走行を切り上げなくてはならない。

タカハシも最近はだいぶ横Gに慣れてきて、100周かそこら走ったくらいでは首ペロン現象は起きなくなった。その代わり首が太くなり、一着しかないワイシャツが入らなくなって買い換えた。モータースポーツにはいろいろ金がかかると聞いていたが、まさかワイシャツ代まで払わされるとは思わなかった。

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2006.07.29

カートログ 初練習

カートの練習とは、カートに乗って同じコースを同じ調子でひたすらぐるぐるぐるぐるぐるぐるサルのように回り続けることである。ろくすっぽ変化のない練習だから、いつどんなことがあったかなんてアッという間に忘れてしまう。でもそれだとせっかく高い走行料を払って練習するのがもったいないので、せめて練習ログをつけて記録くらいは残すことにしている。
カートを始めてから、今日がちょうど2年目になる。タカハシのカート2周年記念フェアとして、2年前の今日からはじまる練習ログを順次公開してゆくことにした。たまに自分で書いた字が自分で読めないことがあるほどの超悪筆なので、象形文字の研究者でもないかぎりまともに読めないはずだが、もともと読んだってあんまり意味のない記録だから、他人のプライバシーに関わる部分などを除き、かまわずそのまま載せることにする。

060729m01←カート練習ログ
【ほぼ2年前のタカハシ 2004.7.29】
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まずは中古マラネロフレームに中古KT100エンジンを載せた、通称「ふんふんレッド01号」納車当日、2004年7月29日の練習ログから。なにしろ初めての練習なので、記録のスタイルも決まっておらず、それどころか書くことさえほとんどなかった。しかし初回の練習でいきなり肋骨にヒビが入ったことと、押し掛けに失敗してカートから転げ落ち、頭を強打してのたうち回っていたことだけはよくわかる。

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2006.07.01

ドリキン

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四輪ドリフトというのは、コーナーで四輪すべてのタイヤを滑らせながら走ることだ。タイヤがちゃんとグリップしていないため、コーナリング中の車体はカニのよーに横向きに進む。タカハシはチームメートからよく「ドリキン」と呼ばれるのだが、てっきり「ドリフト・キング」を略した敬称だと思って喜んでいたら、じつは「ドリフト菌」を略した蔑称だったと知ってたいへんガッカリした。
ダートのような低ミュー路を走るラリーなどではドリフトも役に立つだろうが、軽い車体にグリップのいいタイヤを履いて舗装コースを走るカートではあまり役に立たない。それどころかラインをトレースしにくくなり、フレームやタイヤが傷み、だいいち遅くなるから、ドリフトを喜ぶカートドライバーなど誰もいないのだ。060701m02

ドリフト菌は低温多湿を好む。路面温度が下がる冬場や雨の日にはとくに繁殖しやすい。またドリフト菌は初心者によく感染する。普通は感染しても、はしかのようにすぐ治るが、まれにぜんぜん治らずに重症化してゆき、ついにはドライバーとしての未来を完全に絶たれてしまうタカハシのような悲惨な症例もあるので、早期発見・早期駆除が大原則である。だがいっぽう、常に低速で走るドリ菌には、どんなドライバーでも簡単に追いつけるし、コース上から駆除することも容易なため、たいした実害がないともいえる。
060701m03←これはドリ菌が駆除される一瞬をとらえた写真だ。必死に走るタカハシの背後から、なぜかT-SQUAREの「truth」のテーマが鳴り響いてきたと思ったら、忽然と白いスーツのドライバーが現れ、まるで地べたの石ころでもチョイとよけるように軽々とブチ抜いていった。あとで聞けば、このドライバーは元F1パイロットだという。野球少年が鼻水を垂らして河原でキャッチボールをしているところへ、いきなりイチロー選手がバット片手に乱入してきてホームランをかっ飛ばしたようなものだから、これにはさすがに驚いた。
060701m04何のあてもなく、ひたすらグルグルとカートコースを回り続けているだけの哀れなドリ菌にも、神様はこんな貴重な体験を与えてくれるのだからありがたい。ただ、書けば先方の迷惑になるので、この高名な元F1 パイロット氏の名は伏せておく。

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2006.06.13

ふんふんレッド02号@FENEK

060613m01レースで活躍しているドライバーは別として、たんにコースをグルグル回って遊んでいるだけのカートドライバーが自分の走っている写真を撮ってもらう機会は意外に少ない。金のかかるモータースポーツの中ではダントツに安あがりに走れるカテゴリーだとはいっても、いちおう走行料を払ってコースを借りてるんだから、チームメートたちはレース必勝を期し、限られた練習時間を少しでも有効に使おうと真剣に努力している。いくら空気の読めないタカハシといえども「ねーねーちょっと写真撮って〜♪」などという呆けたワガママはなかなかいえないものなのだ。
060613m02_1
ただ今回はどうしても写真を撮らなくちゃいけない事情があったので、無理にチームメートに頼んで撮ってもらった。撮影は"途中峠の必殺ドリフト家具商人"ことTomさんだ。ちょうどうまいぐあいに彼がエンジンをぶっ壊してピットで茫然自失しているのを発見したので、頭が真っ白になっているその瞬間を狙って素早くカメラを押しつけ、冷静な判断力を取り戻す前にすべてのカットを撮影してもらえた。写真は上から順に、琵琶湖SLの3コーナー、1コーナー、それにどこだかよくわからないコーナーだ。060613m03_1
ここに掲載した3枚は使わなかったが、同時に撮った他の写真がRV&アウトドア情報誌『FENEK』(講談社 三推社刊/560円/現在発売中)7月号に掲載されている。念のため断っておくが、虫めがねか電子顕微鏡か天体望遠鏡を駆使して入念に探さないと見つからないほど小さいモノクロ記事である。しかし「ホントにこんなことしてるのか?」と、誰もがつい疑いたくなるような超華麗なカートライフがいかにもリアルに生々しく叙述されているので一読の価値はある。一度コンビニに各種光学機器を持ち込み、記事の真偽をよく検討するとともに、ふんふんレッド02号の勇姿を堪能してみるといいだろう。060613m04

※photo by "Drift furniture seller" Tom

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2006.06.01

歯ぎしりくん

060601m01_1カートを始めて間もない頃、歯が痛くなって歯医者に診てもらったら、奥歯が1本噛み砕かれているのがわかって驚いた。
レーシングカートにかかる横Gは、乗ったことのない人にはちょっと想像できないほど強烈だ。タカハシは初心者用のタイヤでチンタラ走ってるから横Gもまだマシなほうで、数十ラップ走る程度なら何も問題はない。だが周回数が100ラップを越える頃には、全身がきしむように痛みはじめる。荷重に耐えきれずアバラにヒビが入るくらいのことはしょっちゅうだ。歯を食いしばって激痛と横Gに対抗しなくちゃならないもんだから、歯が割れてしまうことだってある。歯科医にいわせると、こういうスポーツをする人にはわりとよくあるケースらしい。
とはいえ、このままバリバリ歯が割れ続けて総入れ歯になるのもイヤなので、近所の薬局でマウスピースを買ってきた。最初に自分の歯を型取りしてきっちりフィットさせられるようになっているし、両サイドのピースをつなぐブリッジを舌下にひっかける装着法なので誤飲することもない。これを付けて走るようになってからは、歯が割れなくなったばかりではなく、練習終盤まで体力を維持しやすくなった。
英語名は「Sporteeth」という。なかなかかっこいい。でも日本名は「歯ぎしりくん」だ。だいぶかっこわるい。しかし、必死に追いかけている前のカートに置いてきぼりをくらう屈辱にいつも歯ぎしりしているタカハシには、むしろピッタリのネーミングだともいえる。歯ぎしりくんは、タカハシの虚弱な歯を守るとともに、タカハシの虚弱な心にまで共鳴してくれるステキなマウスピースなのだ。
発売元はメディカルデータバンク。たしか3500円くらいだったと思う。

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2006.05.13

YAMAHA KT100SD

060513m01タカハシがふんふんレッド01号に搭載していたマイエンジンは真っ白に燃え尽きた。走行ラップ数は4500ラップにものぼる。
レーシングカートドライバーの多くは、公道ドライバーの想像を遙かに超える頻度でエンジンをオーバーホールする。一流ドライバーなら150ラップごとにエンジンを分解整備する人も珍しくないほどだ。しかし五流ドライバーのタカハシは、4500ラップものあいだ一度もメンテをせずひたすら使いっぱなしにしていた。チームメートから「回ってるのが奇跡」ともいわれたミラクルエンジンだったが、奇跡は長く続かない。初代エンジンはついに木っ端みじんに砕け散った。
060513m02修理代が新品購入と同じくらいの額になることがわかり、やむなく同じ型の新品を買った。カート界では知らぬ者のないYAMAHA KT100SD。入門用の定番とも呼ばれるエンジンだ。97.6cc空冷2サイクル単気筒ピストンバルブ方式。おそろしいほどシンプルなエンジンで、変速機や始動装置はもちろん、クラッチさえ付いていない。だからKT100SDを積んだカートは、空中にでも浮かんでいないかぎり、エンジンをかけたまま停止することはできない。カートが停まればエンジンも止まってしまう。またエンジン始動は、念力やハンドパワーが使えるごく一部の超能力ドライバーを除けば、ドライバー自身がカートを押してドタバタと走る「押し掛け」でやるしかない。
たしかにチャチな構造のエンジンだが、だからといって性能が悪いわけではない。最高回転数は1万4000回転/分を超え、レーシングエンジン特有の鋭い応答性と抜群のパワーを発揮する。同クラスの公道用エンジンとは比較にならないハイパフォーマンスだ。

060513m03_1ニューエンジンをおろし、意気揚々と走り出す。タカハシは諸般の事情からふだんは中古品を愛好しているだけに、めったに手にしない新品の味わいは格別だ。じつに素晴らしい。慎重に慣らし運転をしたあと、期待をこめていよいよ本式にアクセルを踏み込んだ。そのとたん、なぜかいきなりボボボーとかへんな音を立ててエンジンが死んだ。
いつか壊れることは覚悟して買ったエンジンだが、それにしてもあまりにも早すぎる展開ではないか。生まれたとたんに瀕死の重傷を負い、病院送りとなった悲劇の2代目KT100SD。これから彼の一生に、いったいどんな苦難の道のりが待っているのであろうか。(続く)(と思う)

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2006.05.04

ふんふんレッド01フレーム

060503m01中古で入手してから1年半にわたって愛用し、先日ついに廃車となった「ふんふんレッド01号」は、赤いフレームにマラネロカラーのカウルが付いたマシンだった。

レーシングカートにはサスペンションがなく、鉄パイプ製のフレーム自体がしなってバネの役割を果たす。フレームはただの骨組みではなく、カートの操縦性を決定づける重要なパーツなのだ。
ふんふんレッド01号のフレームはイタリアのマラネロ社製。チームメートによれば、マラネロのフレームはどっちかというと「ジャジャ馬」なんだそうだ。しかしタカハシには、いったいどこがジャジャ馬で、どこがシマウマではなく、どのあたりが野次馬と違うんだか、いまだにさっぱりわからない。フレームの性能がちゃんとわかるには、鋭い感覚と豊かなカート経験が不可欠なのだ。

060503m02カートドライバーにとって、フレームはタイヤなどと同じ消耗品の一種だ。クラッシュすればもちろん、荷重や振動だけでも少しずつヒビが入ったり曲がったりして性能が落ちてくる。
トップクラスのドライバーになると、レースに勝ち続けるため、わずか数回の使用で新品フレームに買い換える人もいる。はたから見るといかにも贅沢だが、勝つためだからやむを得ない。いわばこれは、速くて強くて優秀なスーパードライバーだけに許された特権なのである。
逆にボトムクラスのドライバーとなると、なるべく金をかけずに走り続けるため、もともと中古で買ったフレームを1年半もこき使いまくる人もいる。はたから見るといかにも哀れだが、なぜか本人は鼻歌まじりに楽しく走り回れている。いわばこれは、フレームが壊れてしまっているのに気づかないほど感覚がニブいスーパータコドライバーだけに許された特権なのである。

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2006.04.21

こんにちは、そしてさようなら

春は出会いと別れの季節である。1年半愛用したレーシングカート、通称「ふんふんレッド01号」との突然の別れから間もなく、新しい(でも中古の)カートを買うことになった。だが、なにしろタカハシは貧乏&メカ音痴だから、中古購入時にあれこれ注文をつけるなんてことはできない。それよりも、ショップオーナー兼レーシングチーム監督を信じ、すべてを任せておけば、ちゃんといちばんいいカートを手頃な価格で用意してくれる。だから実際に引き渡されるまでは、どんなカートが届くのかさえ知らずにいた。
060421m01で、先日このカート「ふんふんレッド02号」が晴れてタカハシのものとなった。見てのとおり驚異的にぴかぴかのウルトラナイスカートだ。
古くから日本には「豚に真珠」「猫に小判」「タカハシにナイスカート」などということわざがある。ふんふんレッド02号は、タカハシ自身が見ても、タカハシにはちょっともったいないんじゃないかと思うほどのカートだけに、チームメートはみんな「なんで? もったいない!」を連発していた。できれば反論したいが、どこにも反論の余地がないのがたいへん残念だ。

060421m03ところで、もしホンダやトヨタや日産のクルマを買ったとき、納車に来た営業マンに「あ、そうそう、エンジンは別売りですから」なんて云われたら、客は激怒するだろう。そんな営業マンはドラム缶に詰めて大阪湾最深部に沈められても文句はいえない。
でもカートは違う。フレームとエンジンは別々に買うのが基本だ。同じフレームでも、さまざまなエンジンを載せることで、さまざまな性能のカートが作れるようになっているためだ。
ふんふんレッド02号もエンジンは新調せず、01号の古いエンジンをそのまま載せ替えた。そのためフレームは超ナイスだが、エンジンは約1年半使用の、だいぶくたびれたシロモノという組み合わせになってしまった。

それでも初走行は嬉しい。コースインすると、すぐにフレームの速さが実感できた。F1に乗ってもカローラに軽くブチ抜かれるというタカハシの超絶ドライビングテクニックをもってすれば、のろのろ走ることにかけてはミハエル・シューマッハにも負けない自信があるのだが、あいにく速く走ることはできない。しかし、それでもふんふんレッド02号はびっくりするほどガンガン曲がる。乗る人が乗れば確実にレースで勝てるカートだ。じつに素晴らしい。

ヒョ〜! 気持ちいー! サイコ〜♪

060421m02_1浮かれて最終コーナーを回り、スロットル全開でホームストレートに立ち上がってきたら、そこで突然バホバホプシュ〜と情けない音がして、いきなりエンジンが死んだ。
タカハシ愛用のエンジン、KT100SDは、こうして息絶えた。突然の訃報であった。ピットに戻り、涙ながらにチームメートに同情を求めたが、「もう寿命でしょ。ていうか、あんまり調子こいてエンジンをこき使わないように」とかいって、ドライバーそっちのけでエンジンにばかり同情が集まったのがたいへん残念だった。

春は出会いと別れの季節である。春風に桜の花びら舞うなか、フレームと出会い、エンジンと別れるドラマチックな一日となった。もっとも、しつこく修理すればエンジンはまだ使えるかもしれない。もし元気になって帰ってきてくれたら「KT100SDゾンビ」と名付け、今まで以上に妖しげな念を込めて可愛がってやりたいと思っている。

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2006.04.17

スモールワールドグランプリ2006-Rd01

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2006年4月16日、鈴鹿サーキット・国際レーシングコースで、国内屈指のビッグレース「SUZUKA2&4レース」が開催された。だがじつは同日、同じ鈴鹿サーキット(の遊園地内)で行われたもうひとつのビッグレースがある。タカハシ主催の「スモールワールドグランプリ・チャンピオンシップ2006ラウンド01 スズカ」だ。2006年シリーズの幕開けを告げる鈴鹿(の遊園地)には、命知らずのレーシングドライバーたちが集結し、限界ギリギリの熾烈なタイムアタックバトルが繰り広げられた。

スモールワールドグランプリが開催された鈴鹿サーキット(の遊園地)にはレンタルカートがあり、誰でも手軽にカート体験ができる。左右のアクセルとブレーキを間違えないよう、右手に「すすむ」左手に「とまる」と書かれたスペシャルグローブや、ヘルメットといった装備類も貸してくれる。060417m02さまざまなカートが用意されているが、スモールワールドグランプリでは、もっともオーソドックスな「レーシングカートB」が使われた。イタリア ビレル社製フレームにホンダの4サイクル単気筒エンジンGX200を搭載し、最高時速54キロをマークする高性能マシンだが、運転免許さえあれば誰でも乗れる。しかし免許がない場合は、まずビギナー用カートでタイムアタックをおこない、規定タイムをクリアしなければ乗車できない。

060417m03さて、参戦ドライバーを紹介しよう。優勝候補の筆頭は"音速の生体メカボーグ"ことH.Athyupiro(通常は工業デザイナー)。続いて"バーチャル車ゲームのスピードキング"ことT.Nonochi(通常はナノテク技術者)、"ちんすこう大好き女"ことN.Yukachi(通常は書籍編集者)、"カミカゼ無免許ドライバー"ことM.aicow(通常はグラフィックデザイナー)の4名だ。
しかしM.aicowは運転免許を持っていないため、まずビギナー用カートで規定タイムをクリアしなければ参戦できない。ところがそれがなかなかできないので、他のドライバーはしびれを切らして各自アタックを開始。これにより春の鈴鹿サーキット(の遊園地)に混戦の火蓋が切られ、全4セッションでベストラップを争う波乱のレースが幕を開けた。

060417m04第1セッションでリードを奪ったのは、意外にも車ゲーマーのT.Nonochi。リアルドライビング初体験という不利をものともせず、軽々と40.752秒をマークしてトップに躍り出た。いっぽう期待の新人女流レーサーN.Yukachiは47.619秒と低迷する。続く第2セッションではモトクロス経験者H.Athyupiroが39.419秒でトップを奪還。しかし第3セッションでは再びT.Nonochiが怒濤の追撃をみせ、39.196秒の一番時計。セッションごとにめまぐるしくトップが入れ替わる緊迫したレース展開となった。注目の第4セッションは、H.Athyupiroが39.128秒をマーク。2位T.Nonochiとの差、なんとわずか0.088秒という超接近戦で逆転を果たし、からくも暫定トップとなった。

しかしここでT.Nonochiがエクストラセッションの開催を要求。主催者タカハシもこれを認めたため、レースは延長セッションに突入した。巧みにクリアラップを狙ったT.Nonochiが一気に38.273秒を叩き出してウィナーに確定。2位はH.Athyupiro。惜しくも3位となったN.Yukachiも、最終的にマークした41.296秒がこの日のレディスコースレコードとなる大健闘をみせた。

060417m05ところが、それまでビギナー用カートで地道に練習を続けていたにもかかわらず規定タイムがクリアできず悶々としていたM.aicowが、ここで突如として掟やぶりの二人乗りカートでグランプリに乱入。なぜか自分の意思とは関係なく頭を激しく左右に振り回しながら、わずか3周だけの超アグレッシブなドライブを披露して奇跡の40.099秒をマーク。レディスタイトルの新設を要求し、主催者タカハシもこれを承認したため、総合3位のN.Yukachiを抑えて、レディス部門ウィナーとなった。

スモールワールドグランプリ・チャンピオンシップの次のラウンドがいつどこで開かれるかは、まだ発表されていない。たぶんまだ決まってないんだと思う。ていうか、やるかどうかもよくわからないんだと思う。
ちなみにラウンド01鈴鹿ではタカハシもいちおう走ったが、「カート所有者は賞典外」という規則があるため、残念ながらリザルトに残らなかった。とかいいながら、もしかしたら、とても発表できないような恥ずかしいタイムだったから書かないだけかもしれない。

※Photo by H.Athyupiro

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2006.04.12

レーシングカート

060412m01レーシングカートという乗り物を知っているだろうか。この写真がレーシングカートだ。といっても、ただの鉄パイプにしか見えないと思うが、じつはこれにエンジンやタイヤなんかくっつけると立派な乗り物になるのだ。
レーシングカートは、遊園地のゴーカートのバケモノみたいなものだ。右ペダルのアクセルを踏めば進み、左ペダルのブレーキを踏むと止まる。ハンドルを切ればそっちに曲がる。運転もゴーカートとまったく同じで簡単そのものだが、バケモノだけに遊園地用ほどラクに走れるわけではない。コーナリング中、ドライバーは猛烈な横Gに襲われる。専用のプロテクターを着けていても、横Gでアバラを折る人がいるほどだ。
写真のカートはタカハシの愛車・通称「ふんふんレッド1号」。1年半ほど前に中古を買ったが、こないだフレームにヒビが入って廃車になった。この写真だけだとなんだかよくわからないから、イラストを追加して往事の勇姿を復元してみた。
060412m02←ここの小さい画像をクリックすると、在りし日のふんふんレッド1号の姿がしのべるようになっている。合掌。

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