
かつてタカハシは電撃地下通信社という謎の会社を所有・経営していた。その名のとおりの情報企業だったから、まあIT企業の社長だったといっても、ぜんぜんまったくちっともカケラも過言ではないし、また少しもうさんくさくはない。その後、電撃地下通信社は多角経営化をはかってDENGEKI MCブランドを設立。自動車産業への進出を果たし、1995年、ついに念願の二輪車生産を開始した。
DENGEKI MC製の記念すべき第1号車が、↑このガーデニンガー125Rだ。まずカタログのカバー写真を掲載しておこう。ガーデニンガー125R開発・製造・販売・廃棄を担当したH.Athupiro氏みずからがテストライダーをつとめた美しいビジュアルである。クリックするとどーんと拡大もできるから、すみずみまでじっくり鑑賞してほしい。
以下、当時のカタログの転載により、この革命的モーターサイクル DENGEKI ガーデニンガー125Rを紹介してゆこう。
■ガーデニンガー125R■

大地に芽吹く草木のにおい、陽光に映える岩肌の輝き、空をわたる風の色。豊潤な大自然の息吹きが、ついにマルチパーパス・エコロジカル・バイク「ガーデニンガー125R」に結晶した。
いま、新たなるネイチャー・ライディングの世界がひらかれる。自然に分け入るバイクなど、もう要らない。これからは自然を持ち歩く時代。ようこそ、まだ見ぬモーターサイクルの未来へ。ピース。
[標準小売価格 1万円(税別)]※本州および北海道四国九州沖縄および離島部を除く(注・1996年販売終了)
■衝撃の開発コンセプト■
奇跡を呼ぶネイチャー・ランナー
ガーデニンガー125Rの開発コンセプトは「自然を持ち歩けるモーターサイクル」。これまで誰ひとりとして実現し得なかったこの困難な課題をクリアするため、メーターバイザー部とリアキャリアに、世界初※のデンゲキ・ハンドヘルド・プランタ・システム(DHPS)が採用された。(※市販二輪車において 1995年当社調べ)
これにより、ライダーは好きな草花を瞬時にマシンにインストールし、フィールドを問わず、常に大自然と行動を共にできるようになった。これこそまさにエコロジー思想がモーターサイクルにもたらした大革命といえるだろう。
■ジャスト・パフォーマンスの走り■
先進のセーフティ・ファン・ライド
ハイパワー化・高性能化に狂奔するメーカー各社の開発競争に一石を投じる次世代モーターサイクルの新基準、それがDENGEKI MCが提唱する「ジャスト・パフォーマンス」だ。
ガーデニンガー125Rの心臓部には、長期間の熟成により徹底的にデチューンされた結果、飛躍的に安全性が向上したヤマハ発動機製2ストローク水冷125ccシングルのパワーユニットを搭載。スーパーマイルドな出力特性を最大の特長とするこのユニットは、万一誤ってフル・スロットルになった場合でも、瞬時にパワーをセーブしてアクシデントを回避する高機能アクティブ・セーフティ・システムを備えている。
また、荒れた路面で無理に高速走行を試みた場合、ただちにサスペンションがボトミングして反射的に安全が確保できるストローク・リミテッド・サスを採用している点も見逃せない。
■高機能はライダーのために■
卓越のマン・マシン・インターフェイス
ハイレベルなライダープロテクション&ユーティリティは、セーフティ・ランの必須条件だ。ガーデニンガー125Rの数々の新機能は、ハードランに挑むライダーをあらゆるシチュエーションでサポートしてくれる。
エンジンキーを紛失しても、キー不要で瞬時にエンジンを始動できる「フルタイム・キーレス・エントリー・システム」、ウインカー操作のわずらわしさからライダーを解放するため、すべてのウインカーを点灯しないようにセットアップした「レーシング・ウインカー」、電気系統の動作によるバッテリー消耗を未然に防ぐ「デフォルト・エンプティー・バッテリー」、可変バルブシステム(YPVS)の動作を停止し、不慮の事故につながるハイパワーを抑制する「パーフェクトYPVSキャンセラー」、酸化第二鉄の化学作用によってアクセルワイヤーを自動的に固定する「Fe2O3スロットル」、ライダーの意志とは無関係に自動コーナリングをおこなう「オートマチック・コーナリング・ディレクター」など、驚異のハイテク機能がふんだんに搭載されている。
■タフ&ワイルドなデザインワーク■
大地を駈けるモータライズド・アート
ガーデニンガー125Rのデザインコンセプトは、世界的にその名を轟かせそこねている超合金インダストリアル・デザイナー、H.Athupiro氏によって作り上げられた。
岩盤のマチエールをもつフュエル・タンク、流麗なフォルムを誇るベニヤ合板製フロント・フェンダー、ドンゴロス素材のワイルドなシート、そしてハンドメイド・フィールあふれるステンシルのエンブレム。「走るガーデニング」を具現化したハイセンスなデザインには、すみずみにまでH.Athupiro氏の心血が注ぎ込まれているのだ。
また過去に例をみないライディング・ウエアの付属販売に踏み切ったのも、ガーデニンガー125Rのデザインプランの特長だ。マシン購入時に、もれなく「ストローハット・ヘルメット」「ロゴ入りトラディショナル・ネッカチーフ」「JA型コットン・グローブ」の3点が付属。ユーザーは労せずしてライディング・ウエアのトータル・コーディネートができる。モーターサイクルと共にライダーをもデザインすべきだというH.Athupiro氏の熱き主張がひしひしと伝わってくる稀有のシステムである。

■付記■ ガーデニンガー125Rは電撃地下通信社のインターネットサイトで売価1万円で販売される運びとなった。が、販売開始後まもなく、マジメすぎて冗談ってものがわからない人だったのか、ふざけすぎて常識を見失った人だったのかよくわからないマジ購入希望者1名様が現れてしまったため、ただちに販売を中止。さすがにこんなものを1万円で売ったら殺されても文句はいえないと、社内から数多くの批判が寄せられたためである。
その後、しばらくして売価を税込10円まで大幅に引き下げ、超ウルトラ大特価出血大奉仕販売をおこなったところ、幸い一人も購入希望者が現れなかったため、車両はまもなく廃棄された。
ガーデニンガー125R、それは日本モーターサイクル史上に燦然と輝く名車中の名車であった。

※ridden by H."Supersonic bio-mecha-borg"Athupiro
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