2009.05.31

YAMAHA POPGAL

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一見するとただの鉄クズのようだが、そうではない。見る人が見れば、これが1982年に発売されたヤマハのミニバイク、ポップギャルの雄姿だとわかるだろう。
発売から数年後に、友達が「こんなクソバイクもう要らない」といってタダでくれた。それほど不人気なバイクだったが、それでも超チンケな50cc空冷2サイクル単気筒エンジンが絞り出す超チンケなパワーで、超チンケな走りが存分に楽しめた。

090531m01yamahapopgalところでライダーなら誰でも経験があるように、タカハシも青年時代、簡易裁判所に呼び出されて裁判を受けたことがある。
裁判といっても、ただ窓口の担当者に「あなたは交通違反をしましたが、すぐに金払いたいですか、それとも本格的な前科者になりたいですか」ときかれ、即座に「もちろん金払いたくてたまりません」と泣きながら訴えるだけで、すぐ終わる略式手続きだ。

090531m02yamahapopgalそのときタカハシが裁判所まで乗っていったのも、このポップギャルだった。が、あいにくちょっと寝坊して遅刻しそうになったため、なんとなく調子が悪いなと思いつつもエンジンに必死でアクセルのムチを入れ、赤信号や一時停止といった交通規制にも独自の柔軟な解釈をくわえつつ、全開につぐ全開の力走で裁判所をめざした。
大切な裁判に遅れてはならないという、若きバイクライダーの一途な遵法精神のあらわれである。

090531m03yamahapopgalその甲斐あって、かろうじて裁判には間に合い、とどこおりなく国庫に金を納めることもでき、どうにか誇り高き日本国民としてのメンツも保てた。
が、その帰りにポップギャルのエンジンがいきなりプスンと止まった。2サイクルオイルが空っぽだったのを知らずに全開で走り続けていたせいだ。エンジンは石のようにガッチリ焼き付き、そのまま永眠。これがポップギャルの悲壮な最期であった。

090531m04yamahapopgalその後ポップギャルは、走るチャンスもナンバープレートも顧みる人もないまま下宿の軒先に長年放置され、いろんなパーツを次々に盗まれていくうち、徐々に縮小・酸化・崩壊し、やがて跡形もなく消滅して自然界にかえった。
やや鉄分が多いとはいえ、立派に祖国の土となれたのだから、ポップギャルとしては本望だったことだろう。

その反面、祖国繁栄のため、なけなしの小遣いばかりか貴重なバイクのエンジンまでも国に捧げた愛国青年タカハシは、日本国民のカガミともいうべきアッパレ全開なおこないをみせたにもかかわらず、なぜ内閣官房長官から表彰状をいただけなかったのだろう。それだけが、いまだにどうも腑に落ちないでいる。
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2009.05.07

SUZUKI Hustler TS80

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スズキ ハスラーTS80は、空冷2サイクル単気筒エンジンを積んだ古いオフロードバイクだ。当時はバイクブームに乗って新型車がバンバン発表されまくっていたが、不人気な80ccクラスだったためか、ろくにバージョンアップもされずに放置され、誰に振り向かれることもなく、1982年にひっそりとラインナップから姿を消した。

090507suzukihustler01タカハシは、友人からこの中古のハスラー80を3000円のウルトラ激安大特価で譲り受けた。要するに売り手にとっても、まあどうでもいいバイクだったのだろう。
が、ハスラー80は、たしかに不人気だったものの、ダメダメなバイクだったわけではない。アクセルをひねれば多少は加速するし、ブレーキをかければいくらか減速もする。タカハシには充分な性能だったので、通学にツーリングにモトクロスにと、日々活用しまくっていた。

090507suzukihustler02しかし困ったことに、バイクというものは、活用すればするほど壊れる宿命を背負っている。うまいライダーならまだしも、バカスカこけまくるタコライダーが乗ると、ますますよく壊れる。

パンクやチェーン切れといった重大な故障なら、どうしても金を払って直さねばならないが、外装部品なら、壊れてもふつうに走れるから、タカハシはいつも壊れたままでほったらかしにしていた。
ただ、ライトやメーターといった保安部品が脱落すると、いくら「これでもちゃんと走れるし、曲がれるし、停まれるんだから安全だ」と正しい意見を正しい態度で正しく主張しても、役人かたぎの警察関係者等にいちいち呼び止められ、しつこく説教されたり、こっぴどく叱責されたため、やむなく粘着テープで壊れた部品を貼り付けて補修しながら乗っていた。

090507suzukihustler03このような粘着テープによるバイク修理術のメリットは、どんな故障でも「すぐ直る」「安く直る」という点だ。テープ1巻きあれば、たいていの故障は超低コストでたちどころに直せる。まさに驚愕のハイコストパフォーマンスだから、バイク修理費の支払いに苦しめられている貧窮ライダー諸君は、ぜひ試してみるといいだろう。
090507suzukihustler04ただデメリットもある。せっかく直しても、わずかに振動を与えると、すぐにテープがはがれて再び故障してしまう点だ。家を出たときには、それなりにバイクっぽい形をしていたマシンが、ちょっとダートに踏み込んだとたん、あたり一面に部品を撒き散らし、たちまちあやしい鉄屑に変貌してしまうことも、けっして珍しくはなかった。

090507suzukihustler05_2この写真は1986年ごろ撮ったもの。空き地でハスラー80を走らせているところだ。写真でも、すでにヘッドライトがだいぶプランプランになっているが、この日はほかにもリアフェンダーやサイドカバーなどの大型部品がボロボロ脱落しまくった。

タカハシは、その後も粘着テープを駆使して執拗にハスラー80に乗り続けていたが、次第にさらに巨大な部品がガンガン落ちまくるようになり、やがて粘着テープの粘着力に限界を感じて、泣く泣くマシンを廃棄した。
あの当時、もっと性能のいい粘着テープさえ開発・市販されていれば、もっと長くハスラーに乗れたのにと思うと、いまだに残念でならない。
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2009.03.19

HONDA XR250

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80年代バイクブームの頃、多くのライダーは、林道ツーリングもモトクロスも街乗りも高速走行もできる、いわばなんでもできるマルチパーパスバイクとして4サイクル250ccのオフ車を選んでいた。
だがタカハシは、育ちの卑しい青年特有のやさぐれた目をして「あれよォ、なんでもできるっつーけどよォ、結局なんつうかよォ、全部中途ハンパでなんにもできねえクソバイクっつーことじゃねえかよォ~。ケッ!」などとうそぶいていたものだ。
090319hondaxr250m01それは高価なオフロードバイクを買えない貧民のやっかみではあったが、たしかに当時の4サイクル250ccはデカくて重く、運動性もちょっとダルで、全体にどよーんと鈍重だったことは否めない。悪意に満ちたタカハシ青年にも、まあ一分の理くらいはあったのだ。

しかし、その後の20余年で4サイクル250ccオフローダーは長足の進歩を遂げた。

090319hondaxr250m021995年に発売されて以来、改良を重ねつつ販売されてきたホンダXR250は、低速域からしっかり粘り、スルスルと滑らかに吹け上がる空冷4サイクルOHC4バルブ単気筒249ccエンジンを搭載。28psのパワーと軽快な操縦性が相まって、よく走り、扱いやすいバイクに仕上がっている。

コンペティティブでありながらも、徹底的なコンペ指向の同クラスのマシンに較べると格段に足着き性がいい点も見逃せない。
小学1年生より短い股下とK1ファイターより高い座高を併せ持つ、きわめてスペシャル&プレミアムなボディレイアウトをもつタカハシでも、なんとか地面に足が届くサイズなのだ。

090319hondaxr250m03走りのパフォーマンスと乗りやすさ、快適性を兼ね備えたXR250は、林道ツーリングもモトクロスも街乗りも高速走行も文句なくこなせる真のマルチパーパスバイクだ。正常進化の王道を歩み続けてついに完成した、日本の正しいオフロードバイクの究極形ともいえるだろう。

写真のホンダXR250は、バイク仲間のN"爆走トランスポーター"Cherryさんに借りたもの。もともとビンビン走るマシンにレース用タイヤが履かせてあるから、どんなヘタレライダーでも無敵のダートランが楽しめる。

バイクがあまりにも無敵なもんだから、ついタカハシ自身も無敵になったような錯覚に陥り、「ヒョ~!」「ブラヴォ~!」などと奇声を発しつつ大盛り上がりでグルグル走りまわっていたら、いきなりドカンと転倒。みじめに地べたに叩き付けられ、シクシクすすり泣く結果となった。
090319hondaxr250m04それはまあいいが、右のハンドルあたりにくっついていた、なんだかよくわからないけどけっこう高そうなヤバい系の部品がバラバラに砕け散ってしまったため、賢者タカハシは瞬時に走行を中止。ただちにオーナーにバイクを返却し、すみやかに、かつ礼儀ただしく別れの挨拶をして全速力で帰宅した。

扱いやすく足も着き運動性バツグンのXR250が、なぜこんなイージーなフラットダートでコケたのかと疑問をいだく人があるかもしれない。なかには、タカハシの運転がヘタクソだからコケたのではないかなどと、あらぬ邪推をする者もいないとはかぎらない。
が、もちろんそれは見当違いだ。じつはタカハシのようにバイクを極めたウルトラ上級ライダーは、一般ライダーには理解しがたい、このような理由なき転倒を自然になしとげられる境地に達しているものだ。

090319hondaxr250m05弓道を極めた達人は、その極意を「矢は意識して放つものではなく、ただ自然に離れてゆくものだ」と述べている。矢を射るとき、そこにはなんの作為も理由も存在しない。達人の手にかかれば、矢は、いついかなるときも、ただ自然にスパッと手元を離れてゆくのである。
そしてバイク転倒道を極めた達人タカハシは、その極意を「バイクは意識してコケるものではなく、ただ自然にひっくり返るものだ」と述べている。バイクがコケるとき、そこにはなんの作為も理由も存在しない。達人の手にかかれば、バイクは、いついかなるときも、ただ自然にスパッとひっくり返るのである……。
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※photo by N.Cherry

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2009.02.07

YAMAHA RZ50

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ヤマハRZシリーズは、80年代のバイクブームを牽引した名車のひとつだ。
「ナナハン・キラー」(←古くさっ!)と呼ばれたRZ350や、「ヨンヒャク・キラー」(←情けなっ!)と呼ばれたRZ250がとくに有名だが、それより小さくてマイナーなRZ125や、さらにはゼロハン(←恥ずかしっ!)のRZ50までしっかりフルラインナップされていた。

090207yamaharz5002RZシリーズ最大の特長は、ピーキーな2サイクルエンジンと軽量ボディが生み出すアグレッシブな運動性だ。シリーズ末弟にあたるRZ50は、ホンダMBX50やスズキ RG50ガンマと並んで、当時としては先鋭的な水冷2サイクル単気筒エンジンを搭載したボーイズレーサーで、1980年の発売当初から金欠少年ライダーの人気を集めていた。

090207yamaharz5003が、もとが原チャリだから、いくら頑張ったってたいした性能じゃなく、最高出力もせいぜい7.2psどまり。それに、いくら水冷といっても小排気量の2サイクル車だから、峠で本気になってガンガン回せば、たちまち熱ダレしてプスンと止まってしまう、ちょっと虚弱なバイクでもあった。

写真はタカハシが友人からタダで貰いうけたRZ50。もともとポンコツだったから、撮影した1986年には、すでに各部の鉄屑化が進んでいたが、それでもいちおう走ったので、まあまあ楽しめていた。
090207yamaharz5004だがある日、走行中に突然サイレンサーがはずれてどこかに吹っ飛び、猛烈にファンキー&ヤンキッシュな爆音を撒き散らすバイクに変貌してしまった。でも修理するのは面倒くさいし、なにより金がかかる。そこでバイクのことをまったく知らない友人に「ちょうどいま全開バリバリの改造バイクがあるから買わないか。いい音するよ」といって売りつけてしまった。

いま思えば、青春時代には、古くさく、情けなく、恥ずかしい思い出が山のようにあるものだ。ときには、ハシタ金欲しさに友をあざむき、あさましい罵倒合戦の末に友情を失うといった甘酸っぱい過ちもあるものだが、それもまたキラキラと煌めく美しき青春の思い出のひとつといえるだろう。(いえないか……)
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2008.12.10

HONDA BIALS TL50

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1987年の春、従弟の家に泊まりに行ったとき撮影した写真。彼をそそのかして原付免許をとらせ、中古で買わせたホンダ バイアルスTL50だ。
1976年発表のマシンだから、当時でもすでに10年落ちのポンコツだった。そのため価格も3万円と、きわめてリーズナブル。まだ高校生だった従弟は、その年のお年玉をつぎ込んで、このバイクを買った。

081210hondabialstl50m02OHC空冷4サイクル単気筒49ccエンジンを搭載し、4.2psの最高出力をもつ。「とりあえず走れます」という程度のチンケなパワーだが、「とりあえず走れればいい」と考えていたタカハシと従弟には、これでもじゅうぶんな性能だった。見た目もサイアクとまではいえないし、いちおう5速リターン式ミッションもついている。

が、まともなトライアルができる性能ではない。あまり急な上り坂だと、途中でエンジンが止まって転げ落ちる。トライアルバイクではなく、「トライアルっぽいバイク」だと思っておいたほうが無難なマシンだ。しかし、軽くて扱いやすく、タウンユースやフラットダートではなかなか楽しめた。

バイク購入の翌日、中古とはいえ、念願のバイクを手に入れて狂喜している従弟を近所の河原に連れ出し、さっそくモトクロスをやってみることにした。
081210hondabialstl50m03まずはタカハシがTL50を借り、走りのお手本を見せるため大ジャンプにトライ。どーんと空中に飛び出せたこと自体は、まあまあ成功したといってもいいが、残念ながら着地点が大きくコースをはずれていた。
タカハシは断末魔の叫びを上げつつ岩石ゴロゴロの荒地に落下し、もんどりうって大転倒。TL50はぐちゃぐちゃに大破した。

動かなくなったバイクを引きずってコースから帰ると、タカハシは、ただちに従弟の家を後にして自宅に帰った。
あのバイクは、あれからどうなったのだろう。今でもたまにふと思い出すことがあるが、今さら蒸し返すのもなんなので、TL50の末路は歴史の彼方にかすむ謎のままになっている。
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HONDA BIALS TL50

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1987年の春、従弟の家に泊まりに行ったとき撮影した写真。彼をそそのかして原付免許をとらせ、中古で買わせたホンダ バイアルスTL50だ。
1976年発表のマシンだから、当時でもすでに10年落ちのポンコツだった。そのため価格も3万円と、きわめてリーズナブル。まだ高校生だった従弟は、その年のお年玉をつぎ込んで、このバイクを買った。

081210hondabialstl50m02OHC空冷4サイクル単気筒49ccエンジンを搭載し、4.2psの最高出力をもつ。「とりあえず走れます」という程度のチンケなパワーだが、「とりあえず走れればいい」と考えていたタカハシと従弟には、これでもじゅうぶんな性能だった。見た目もサイアクとまではいえないし、いちおう5速リターン式ミッションもついている。

が、まともなトライアルができる性能ではない。あまり急な上り坂だと、途中でエンジンが止まって転げ落ちる。トライアルバイクではなく、「トライアルっぽいバイク」だと思っておいたほうが無難なマシンだ。しかし、軽くて扱いやすく、タウンユースやフラットダートではなかなか楽しめた。

バイク購入の翌日、中古とはいえ、念願のバイクを手に入れて狂喜している従弟を近所の河原に連れ出し、さっそくモトクロスをやってみることにした。
081210hondabialstl50m03まずはタカハシがTL50を借り、走りのお手本を見せるため大ジャンプにトライ。どーんと空中に飛び出せたこと自体は、まあまあ成功したといってもいいが、残念ながら着地点が大きくコースをはずれていた。
タカハシは断末魔の叫びを上げつつ岩石ゴロゴロの荒地に落下し、もんどりうって大転倒。TL50はぐちゃぐちゃに大破した。

動かなくなったバイクを引きずってコースから帰ると、タカハシは、ただちに従弟の家を後にして自宅に帰った。
あのバイクは、あれからどうなったのだろう。今でもたまにふと思い出すことがあるが、今さら蒸し返すのもなんなので、TL50の末路は歴史の彼方にかすむ謎のままになっている。
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2008.11.15

ナチュラルツーリング・ロケ@アウトライダー

081115m01全国のツーリングライダーから「林道野宿の神」と崇められるツーリングの達人、寺崎 勉さん(写真左)と、「イタチョー」と讃えられるアウトドア料理の権威、太田 潤カメラマン(写真右)に誘われて、『アウトライダー』誌の名物連載「ナチュラルツーリング」ロケに参加させてもらった。稀代のバイクエンスーとして知られるイラストレーター勝間田しげるさんも同行し、にぎやかな道中となった。

タカハシは、このツーリングに愛機ホンダCRM80で参加した。
同業のイラストレーター勝間田さんは、ホンダCB250エクスポートで参加。まるで新車のようにピカピカだが、なんと1968年発表の、気合の入った旧車(←と書いてヴィンテージと読む)である。
ツーリングリーダーの寺崎さんのバイクは、いつもの大型オフロード車ではなく、勝間田さんに合わせて調達してきたホンダCB72。これは勝間田さんのバイクよりさらに古い1961年発表の250ccで、まさに博物館クオリティというべきガチンコの旧車(←と書いてヴィンテージと読む)である。

081115m021988年製のタカハシのCRM80だって、20年も前のマシンだから旧車といっていいんだが、タカハシのバイクに限っては、同じように「旧車」と書いても「ヴィンテージ」とは読まない。「旧車」と書いて「ポンコツ」と読む。
どことなく不当な扱いのような気もするが、じつはこれでけっこう妥当な扱いなのかもしれない。

この3台の旧車に太田さんが乗る最新型カワサキKLX250をくわえた計4台で、野宿地を求めて3日間、林道をふらふらとさまよい走るというのが、この旅の趣旨である。

今回タカハシは、初めて寺崎さんの後ろにくっついて林道を走ったが、バイクライディングというものがまったくわかっていないタコライダー タカハシの胡乱な目で見てもハッキリわかるほど、寺崎さんは明白に画然と圧倒的にウマい。

081115m03先のわからないダートの林道では、落石や溝、倒木、苔や落ち葉はいうにおよばず、ときには道路の崩落に出くわすことさえある。そうした危険を回避しつつ高い走行ペースを維持するために、腕利きの林道ライダーは地形や天候条件などから路面状態を的確に先読みし、ラインと速度を選びながら走っている。寺崎さんは、その路面の先読み能力が驚異的に高いのだ。
乗りにくい骨董系ロードバイクにもかかわらず、ガレ場でもマディでも、つねに絶好のラインにピタッと乗り込んでいくから、無理なく自然にスイスイと速い。さすがは「林道野宿の神」、まるで山のケモノを追いかけて走っているようだった。

081115m04_2また寺崎さんは地図を見る時間が異常に短く、それでいてほとんど道に迷わないのにも驚いた。地図は休憩中などにチラッと見るくらいで、いったん走りだすと、あとはもうほとんど見ない。これも方向オンチのタカハシには信じられない能力だ。

タカハシがツーリングをすると、1日の約3分の1を睡眠と食事に、約3分の1を走行時間に費やす。そして残りの3分の1は道に迷って浪費してしまう。
しかし寺崎さんには、そんなふうに道に迷っている時間がほとんどない。だから論理的には、同じ1日なら、もっとたくさん走れるはずなんだが、あいにく実際はそうではない。
寺崎さんがツーリングをすると、1日の約3分の1を睡眠と食事に、約3分の1を走行時間に費やす。ここまではタカハシと同じだが、タカハシが道に迷って浪費する残りの3分の1の時間は、野宿地で酒を飲んでへべれけになって浪費してしまう。そのため、1日に走る距離はタカハシとまったく変わらないのである。

081115m05ブンブン山道を走って、さんざん飲み食いして、うだうだムダ話をして、ぐうぐう寝て、楽しく過ごした3日間のツーリングだった。
寺崎さんのエンジンがなぜか夜中に突然バラバラになったり、太田さんのリアタイヤが豪快にパンクしたり、クラッチレバーがへし折れたり、タカハシのヘルメットが砕け散ったり、エンジンがもくもくと白煙を噴いたり、サイドスタンドが折れて吹っ飛び、後ろを走っていた勝間田さんの頭部を直撃したりはしたものの、死亡事故も天変地異も爆弾テロも核戦争もなかったのだから、まずおおむねなんのトラブルもない平穏無事な旅だった。

学習研究社から好評発売中の『アウトライダー』Vol.33に、詳しい記事がある。それを読めば、寺崎さんの名文によって、人生の貴重な時間をいろどる林道ツーリングの醍醐味をたっぷり味わえることだろう。
また、タカハシのもうひとつのブログ「さすらいの写真雑記帳」 にも関連記事がある。それを読めば、タカハシの駄文によって、人生の貴重な時間を無意味なブログ閲覧に使ってしまった虚しさをたっぷり味わえることだろう。

【さすらいの写真雑記帖】はここをクリック!

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2008.10.07

Kawasaki GPZ750R Ninja

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たしか1985年頃に撮影した古い写真だ。一緒に近所の峠に走りに行った友人Gさんが、買ったばかりのカワサキGPZ750Rを貸してくれた。

GPZ750Rには「ニンジャ」という愛称がついている。アメリカのゲーセン少年好みの安っぽいネーミングは、こけおどし感まんまんの鋲付きフェアリングとともに、いかにも80年代的なご愛敬を感じさせる。

搭載された水冷4ストロークDOHC4バルブ並列4気筒748ccエンジンは、77psのハイパワーを誇る。しかし、いくらパワーがあったって、乾燥重量228kgのヘヴィ級だから、やっぱり重い。
カワサキは、当時主流となりつつあった16インチのフロントホイールを採用して、なんとか重さをごまかそーと躍起になっていたが、おかげでターンインでフロントが切れ込みまくる恐怖の操縦性が生まれてしまった。そのくせカワサキ特有のストレートでのタチの強さはあいかわらずだったから、結果としてやたらと乗りにくいマシンになっていた。

この写真を撮ったあとは、当時タカハシが乗っていたGSX750Sカタナとともにナナハン2台で林道へ。ダートでバトルの続きをやることになった。しかし、ただでさえノロマなヘタレライダー タカハシが、モトクロスで鳴らしたGさんにかなうはずもない。みるみるうちに引き離され、GPZ750Rは、リアタイヤが巻き上げるモウモウたる土煙の彼方へと姿を消した。

……と思ったら、Gさんはコーナーで思いきり転倒してバイクの下敷きになり、死にかけのカブトムシのようにジタバタもがいていた。全身血まみれになった彼がくやしそうに語ったところによれば、「せっかくやから、一発カウンタージャンプでもキメたろ」と、コーナリング中のギャップで大ジャンプを試み、みごとヒラリと宙には舞ったものの、あいにく着地に失敗したんだそうだ。

どうやらGPZ750Rは、派手なカウンタージャンプをキメるには少し重すぎたようだ。あとほんのチョビッとだけ、具体的な数値でいえば、だいたい100kgくらい軽ければよかったのにと惜しまれる。

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2008.08.08

YAMAHA Passol電動式 藤原spl.

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ヤマハ パッソルといえば、1977年に発売されて一世を風靡(ふうび)した原チャリスクーターを思い出す人も多いだろう。しかしこのパッソルは、それとは別物。2003年に発表されたヤマハ初の市販電動バイクだ。

080808m02yamahapassol電気モーターは騒音も排気ガスも出さず、アイドリングも不要なため、ガソリンエンジンなどの内燃機関に較べてエコロジカルな動力だといわれている。
また回転域によるトルク変動が少ないのも大きな特徴だ。高回転域まで回せばガツンとトルクが出るなどというケレン味はまったくなく、停止状態から上限回転数付近まで、ほとんど一定のトルクがダラダラと出る。乗り味としては、デパートの屋上にある幼児用電動カーとよく似ているといえば、わかりやすいだろう。

080808m04yamahapassolその後、パッソルはバッテリーのリコール騒ぎで販売中止となったため、ただでさえレアなマシンとなっているが、なかでもこれはタダのパッソルではない。冒険ツーリングライダー、藤原かんいち・ひろこ夫妻が数年がかりで世界一周の偉業を成し遂げた記念すべきパッソルなのである。
先日、タカハシが夫妻とキャンプを共にしたときに試乗を許された。いつか博物館に展示されてしまえば、試乗はおろか、触ることさえ許されない貴重なマシンだから、喜んで乗せてもらうことにした。

パッソルは、わずか45kgの超軽量ボディに定格出力0.58キロワットの交流同期電動機とリチウムイオンバッテリーを搭載し、1回の充電で約30キロもの距離を走破する。しかも下り坂でライダーが前傾姿勢をとって極限まで空気抵抗を減らせば、かろうじて40km/hの最高速もマークできるハイパフォーマンス・マシンだ。

080808m03yamahapassolワインディングロードでは、ママチャリのようにスリムなタイヤと、未熟児の鎖骨のようにヤワなフレームのおかげで、まるで蚊トンボのごとくフラフラとスリル満点のコーナリングが楽しめる。
さらに、シートの後ろにずり落ちるほど激しく腰を引き、腕が抜けるほど力いっぱいハンドルを引きあげつつアクセルを全開にさえすれば、豪快にフロントホイールを振り上げるウイリー走行もラクラク可能。
080808m01yamahapassol_2直径1センチ程度の石ころくらいなら平然と踏破するオフロード志向バリバリの足まわりのおかげで、ダートランも得意中の得意だ。どうみたってムリクリのドリフトで林道のタイトコーナーを駆け上がるパッソルの雄姿を一目みれば、その高性能ぶりが誰にでもはっきりわかることだろう。

このようにパッソルは、街乗りはむろんのこと、峠道でもオフロードでも、誰もが心ゆくまでライディングを楽しめる高性能マルチパーパスバイクだ。
しかし万一、電動パッソルで世界一周しようなんてバカなことを考える奴がいたら、それは確実にイカレたライダーである。よほどの物好きか、かなりの変態か、後先を考えない刹那主義的バイクテロリストに違いないので、もしどこかで見かけても近づかないのが無難である。
080808m05不幸にもキャンプ場などで出会ったりすると、いきなり吠えられたり、噛み付かれたり、誰も知らない超マイナーバイクの話をえんえんと聞かされたり、挙動不審のインド人のモノマネを見せられたり、あげくの果てには自宅のコンセントからバッテリーを充電されてしまう危険さえあるのだ。

とはいえ、過度に恐れることはない。そういうとんでもないライダーは、今のところ世界にたった一人しかいないからだ。参考までにその危険人物K.F氏(仮名)の写真を掲載しておこう。
善良なライダー諸君には、今後の彼のアブない言動に、じゅうぶん警戒を続けてもらいたい。
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※photo by Masato Shibata

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2008.07.20

AFO-CROSS 2008 rd.01

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タカハシ主催の恒例・AFOライダーキャンプが、今年も某所でひそかに開催された。
自他共に認めるエグゼクティブAFOライダー「さすらいの野宿ライダー」寺崎 勉氏をはじめ、アウトドアワークの巨人「イタチョー」太田 潤氏、ツーリングフォトの泰斗「夜の巨匠 」須藤英一氏、「電動バイク世界一周」で知られる藤原かんいち・ヒロコ夫妻、なんでも食べるイラストレーター松本よしえ氏、B級ツーリングジャーナリスト野岸"ねぎ"泰之氏、天才中学生バイクイラストレーター勝間田しげる氏、そして秋元庄三郎元編集長と「タイチョー」こと菅生雅文編集長ひきいる『アウトライダー』編集軍団まで、バイクツーリング界の重鎮多数を迎え、ほとんど無意味なまでに豪華絢爛たるキャンプイベントとなった。

080720m01このキャンプにあわせてモータースポーツイベント AFO CROSS2008が催され、今年も7名のAFOライダーによる激戦が繰り広げられた。
レースは日本スポーツ界に長き伝統を誇る「ブレッドキャッチレース」(和名・パン食い競走)をメーンに、多数の障害を配したテクニカルなコースで争われた。エントラントは、バイクで走りながら糸で吊したサンリツ謹製のミニかにぱんを食いちぎり、前輪で直径20センチのコインを踏み、長さ1.5メートルの一本橋を渡りきることを求められる。すぐれたバランス感覚と正確なマシンコントロール、そして何よりも他人の唾液でベタベタになった食べかけパンを平然と口に入れる強靱な精神力が要求されるタフなレースである。
コースレイアウトと獲得ポイントは左のとおり。各ライダーには1stと2ndの2度のアタックチャンスが与えられた。なおコースアウトと足つき停止は即失格、足つき走行には−10ptのペナルティが課せられる。

080720m02_21stアタックの先陣を切った西野"アイアンソルジャー"鉄平選手は、パンに執着するあまり足つき停止で失格。つづく須藤"夜の巨匠"英一選手が、まずは40ptのターゲットポイントを叩き出す。直後に昨年の覇者ミスター"absanthe"アブ選手が60ptで暫定トップに。その後、昨年2位からの雪辱を誓う菅生"タイチョー"雅文選手が、あと一歩でパーフェクトの走りをみせたが、惜しくも最終障害で脱輪し、ノーポイントに終わる大番狂わせ。続いて昨年3位の松本"アイアン・ストマック"よしえ選手が60ptの高得点を叩き出して首位タイに浮上した。

080720m03迎えた2ndアタックでは、西野選手がいきなり60ptで首位タイに。レースはトップ60ptに3名のライダーが並ぶ大混戦となった。しかし間髪を入れずアブ選手が70ptをマークして単独首位に躍り出る。そのまま逃げ切るかに思われたが、ここで菅生選手が驚異の90ptをゲットして一気にトップを奪う大逆転劇をみせた。直後、松本選手がさらなる猛追をかけ、執念の80ptを獲得、みごと2位を奪還した。

悲願の初優勝を飾った菅生"タイチョー"雅文選手、2位の松本"アイアン・ストマック"よしえ選手、3位のミスター"absanthe"アブ選手は、いずれも昨年表彰台にのぼったライダーだ。今年も揃ってポディウムに立ち、100均で売っていた豪華副賞を手にするとともに、ガッツリ飲んでも交通違反切符を切られない栄光のラムネファイトに酔いしれた。

080720m04なおこのレースには、競技車両として菅生選手提供のHONDA XR100モタード(ほぼ新車)とタカハシ提供のHONDA CRM80(ほぼ鉄屑)が用意されていたが、誰ひとりCRM80を使うライダーはなく、全エントラントが躊躇なくXR100を選択した。たしかにXR100のほうがコンディションがよく圧倒的にピカピカだから、それもまあ無理はないのだが、せめて誰か1人くらいはタカハシに気を遣って、不利を承知で哀れなCRM80を選んでやってもよさそうなものだ。
だが、彼らの頭の中には、かじれるだけのパンをかじり尽くしてこのレースに勝利することしかない。これこそまさに、食い物とバイクのためになら平然と友を売り、やすやすと家族を捨て、命をもなげうつ戦慄のトップAFOライダーたちの姿なのである。
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※AFO CROSS2008 rd.01のリザルトは以下のとおり。
[優勝 菅生"タイチョー"雅文=90pt/2位 松本"アイアン・ストマック"よしえ=80pt/3位 ミスター"absanthe"アブ=70pt/4位 西野"アイアンソルジャー"鉄平& 田中号=60pt/6位 勝間田"歩く天才中学生"しげる=50pt/7位 須藤"夜の巨匠"英一=40pt]
※photo by Shigeru"junior high schooler"Kachumata & more

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2008.07.02

YAMAHA TRICKER

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バイク屋の宴会で知り合ったENDさんのヤマハ トリッカーを借りてダートを走った。

トリッカーはSOHC4サイクル空冷単気筒249ccエンジンを積んだオフロードバイク。メカニズム的には目立った特徴のないオーソドックスなレイアウトだが、操縦性に重点をおいたユニークな車体設計のおかげで「フリーライド・プレイバイク」のキャッチコピーそのままの、軽快で機敏なバイクになっている。

080702m01ENDさんのトリッカーは、ロードタイヤを履き、オンロード寄りにセットアップされているが、もともとはトライアルバイクをベースに、往年のトレールバイク風のユルい実用性を加味して作られたオフロード車だ。最高出力は18psと控えめながら、粘り強く素直なエンジンとスリムなボディ、ゆったりしたポジションで、誰もがリラックスしてライディングを楽しめる。 街乗りから林道ツーリング、ダート遊びまでカバーする究極のマルチパーパスバイクである。

080702m02しかし、車両重量125kgのボディは本格的なトライアルにはちょっと重すぎる。かといってモトクロス的にガンガン攻めるにはパワー不足で、コーナーではフロントが逃げてペースが上がらない。コンペティション志向の上級ライダーの中には、どっちつかずのハンパなマシンだと思う人もいるかもしれない。
が、適当にハンパだからこそ融通がきき、ライディングの幅が広がる。一般的な中級ライダーがストレスなく走りを楽しめるのは、こういうユルい設計のタマモノともいえる。
また、タカハシのようにさらに低レベルのヘタレ系下級ライダーも、トリッカーなら安心して近所の本屋やコンビニに買い物に行ける。小さく軽く運転しやすいおかげで、なんと3回に1回は転ばず無傷で家まで帰ってこられるのだ。まさに驚異の安全性能だといわざるをえない。

080702m03さて、トリッカーのキャッチコピー「フリーライド」とは、曲芸っぽいライディングが楽しめることを意味する言葉だ。どんなヘタレライダーでも、トリッカーにさえ乗れば、アッという間に急坂をよじ登ったり、軽々とジャンプしたり、ビシッとスタンディングスティルをキメたり、びんびんウイリーしたりできる。
それどころか、さらにテクニックを極めれば、バイクを思いきりバンクさせて地面と完全に平行になるまで寝かし込み、タンクとサイドカバーを激しく砂利にこすりつけてズルズル削り、レバーやペダルを豪快に折り曲げつつ車体をピタリと静止させるという、超人的ハイテクニックまで使えるようになるのだから驚きだ。

080702m04今回はせっかくトリッカーに乗せてもらったことでもあるし、タカハシも一発気合いを入れて、この難易度の高いテクニックに挑戦。写真のとおり鮮やかにワザを決めることに成功した。
トリッカーのすぐれた運動性能がいかんなく発揮された素晴らしいアクションシーンを目撃して、オーナーENDさんもすっかり満足し、思わず感涙にむせんでいたようだ。わずか数分の試乗で完全にズタボロになったマシンを返しに行ったとき、彼の目にキラリと光るものがあったのが、なによりの証拠である。
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※photo by H."Supersonic bio-mecha-borg"Athupiro

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2008.06.09

DENGEKI ガーデニンガー125R

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かつてタカハシは電撃地下通信社という謎の会社を所有・経営していた。その名のとおりの情報企業だったから、まあIT企業の社長だったといっても、ぜんぜんまったくちっともカケラも過言ではないし、また少しもうさんくさくはない。その後、電撃地下通信社は多角経営化をはかってDENGEKI MCブランドを設立。自動車産業への進出を果たし、1995年、ついに念願の二輪車生産を開始した。

DENGEKI MC製の記念すべき第1号車が、↑このガーデニンガー125Rだ。まずカタログのカバー写真を掲載しておこう。ガーデニンガー125R開発・製造・販売・廃棄を担当したH.Athupiro氏みずからがテストライダーをつとめた美しいビジュアルである。クリックするとどーんと拡大もできるから、すみずみまでじっくり鑑賞してほしい。
以下、当時のカタログの転載により、この革命的モーターサイクル DENGEKI ガーデニンガー125Rを紹介してゆこう。

■ガーデニンガー125R■
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大地に芽吹く草木のにおい、陽光に映える岩肌の輝き、空をわたる風の色。豊潤な大自然の息吹きが、ついにマルチパーパス・エコロジカル・バイク「ガーデニンガー125R」に結晶した。
いま、新たなるネイチャー・ライディングの世界がひらかれる。自然に分け入るバイクなど、もう要らない。これからは自然を持ち歩く時代。ようこそ、まだ見ぬモーターサイクルの未来へ。ピース。

[標準小売価格 1万円(税別)]※本州および北海道四国九州沖縄および離島部を除く(注・1996年販売終了)

080608m0203_2■衝撃の開発コンセプト■
奇跡を呼ぶネイチャー・ランナー

ガーデニンガー125Rの開発コンセプトは「自然を持ち歩けるモーターサイクル」。これまで誰ひとりとして実現し得なかったこの困難な課題をクリアするため、メーターバイザー部とリアキャリアに、世界初※のデンゲキ・ハンドヘルド・プランタ・システム(DHPS)が採用された。(※市販二輪車において 1995年当社調べ)
080608m0200_2これにより、ライダーは好きな草花を瞬時にマシンにインストールし、フィールドを問わず、常に大自然と行動を共にできるようになった。これこそまさにエコロジー思想がモーターサイクルにもたらした大革命といえるだろう。

■ジャスト・パフォーマンスの走り■
先進のセーフティ・ファン・ライド

080608m0302ハイパワー化・高性能化に狂奔するメーカー各社の開発競争に一石を投じる次世代モーターサイクルの新基準、それがDENGEKI MCが提唱する「ジャスト・パフォーマンス」だ。
ガーデニンガー125Rの心臓部には、長期間の熟成により徹底的にデチューンされた結果、飛躍的に安全性が向上したヤマハ発動機製2ストローク水冷125ccシングルのパワーユニットを搭載。スーパーマイルドな出力特性を最大の特長とするこのユニットは、万一誤ってフル・スロットルになった場合でも、瞬時にパワーをセーブしてアクシデントを回避する高機能アクティブ・セーフティ・システムを備えている。
また、荒れた路面で無理に高速走行を試みた場合、ただちにサスペンションがボトミングして反射的に安全が確保できるストローク・リミテッド・サスを採用している点も見逃せない。

■高機能はライダーのために■
卓越のマン・マシン・インターフェイス

080608m0301ハイレベルなライダープロテクション&ユーティリティは、セーフティ・ランの必須条件だ。ガーデニンガー125Rの数々の新機能は、ハードランに挑むライダーをあらゆるシチュエーションでサポートしてくれる。
エンジンキーを紛失しても、キー不要で瞬時にエンジンを始動できる「フルタイム・キーレス・エントリー・システム」、ウインカー操作のわずらわしさからライダーを解放するため、すべてのウインカーを点灯しないようにセットアップした「レーシング・ウインカー」、電気系統の動作によるバッテリー消耗を未然に防ぐ「デフォルト・エンプティー・バッテリー」、可変バルブシステム(YPVS)の動作を停止し、不慮の事故につながるハイパワーを抑制する「パーフェクトYPVSキャンセラー」、酸化第二鉄の化学作用によってアクセルワイヤーを自動的に固定する「Fe2O3スロットル」、ライダーの意志とは無関係に自動コーナリングをおこなう「オートマチック・コーナリング・ディレクター」など、驚異のハイテク機能がふんだんに搭載されている。

■タフ&ワイルドなデザインワーク■
大地を駈けるモータライズド・アート

080608m0401ガーデニンガー125Rのデザインコンセプトは、世界的にその名を轟かせそこねている超合金インダストリアル・デザイナー、H.Athupiro氏によって作り上げられた。
岩盤のマチエールをもつフュエル・タンク、流麗なフォルムを誇るベニヤ合板製フロント・フェンダー、ドンゴロス素材のワイルドなシート、そしてハンドメイド・フィールあふれるステンシルのエンブレム。「走るガーデニング」を具現化したハイセンスなデザインには、すみずみにまでH.Athupiro氏の心血が注ぎ込まれているのだ。080608m0402

また過去に例をみないライディング・ウエアの付属販売に踏み切ったのも、ガーデニンガー125Rのデザインプランの特長だ。マシン購入時に、もれなく「ストローハット・ヘルメット」「ロゴ入りトラディショナル・ネッカチーフ」「JA型コットン・グローブ」の3点が付属。ユーザーは労せずしてライディング・ウエアのトータル・コーディネートができる。モーターサイクルと共にライダーをもデザインすべきだというH.Athupiro氏の熱き主張がひしひしと伝わってくる稀有のシステムである。
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■付記■ ガーデニンガー125Rは電撃地下通信社のインターネットサイトで売価1万円で販売される運びとなった。が、販売開始後まもなく、マジメすぎて冗談ってものがわからない人だったのか、ふざけすぎて常識を見失った人だったのかよくわからないマジ購入希望者1名様が現れてしまったため、ただちに販売を中止。さすがにこんなものを1万円で売ったら殺されても文句はいえないと、社内から数多くの批判が寄せられたためである。
その後、しばらくして売価を税込10円まで大幅に引き下げ、超ウルトラ大特価出血大奉仕販売をおこなったところ、幸い一人も購入希望者が現れなかったため、車両はまもなく廃棄された。
ガーデニンガー125R、それは日本モーターサイクル史上に燦然と輝く名車中の名車であった。
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※ridden by H."Supersonic bio-mecha-borg"Athupiro


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2008.05.24

KAWASAKI KSR-2

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1990年に発売されたカワサキのリトル・オフローダーKSR-2。小型人類タカハシが乗ると、なんとなくフルサイズのマシンに見えなくもないが、じつはオモチャのように可愛い超小型バイクだ。

080524m02kawasakiks2最高出力10psを誇る水冷2サイクル単気筒79ccエンジンは、乾燥重量77kgの軽量ボディを蹴飛ばすように加速させる。ショートホイルベースと小径タイヤのおかげで運動性もバツグンにいい。

発売当時は中途半端なスーパーバイカーズ仕様として売られていたが、モタードレースのカテゴリーが確立された現在では、きっちりモタード仕様にして乗っているライダーが多いだろう。このKSR-2もモタードレースに参戦するため、あちこち改造されている。
とはいえ大幅な改造はされていない。タイヤやチャンバー、スイングアームは交換されているが、サス本体やエンジンなどの主要部はほぼノーマル。改造範囲が狭いぶん、オリジナルの乗り味をしっかり残したマシンだともいえる。

080524m03kawasakiks2なにしろ小型軽量だから、手軽にぶんぶん振り回せるのがいいところだ。エンジンのレスポンスもよく、キビキビとよく走る。初心者から上級者まで誰もが楽しめる、たいへんよくできたファンバイクである。

が、楽しく走るのと速く走るのではちょっと事情が違う。もともと足が短いリトルバイクだから、サス・ストロークに余裕がなく、ダートでペースアップしてゆくと、とたんにマシンが暴れはじめてしまうのも事実。ちょっとした暴れ馬状態になるわけだ。だが、もともとリトルバイクなので、それもせいぜいリトル暴れ馬程度。腕のいいライダーなら、多少飛ばしてもコントロールできなくなったりはしない。

080524m04kawasakiksr2が、タコライダーが飛ばせば話は別で、当然のごとくアッというまに転倒してしまう。
でも、もともとリトルバイクなので、転倒してもせいぜいリトル転倒程度。損害だってせいぜいリトル損害程度である。(いやたぶん)

そんなリトルバイクがリトル転倒したからといって、いちいちライダーに文句をつけていては、心までリトルなリトルオーナーなどと蔑まれかねない。だからKSR-2オーナーたるもの、たとえピカピカの外装をズタボロにされても、キャッチタンクがドバドバあふれてエンジンがかからなくなっても、ニッコリ笑って「リトルバイクのリトル転倒なんだからいいんだ」と考えるようにしたいものだ。
バイクがリトルだからこそ、オーナーはますますビッグな許しの心をもち、転倒したタコライダーにいたわりの言葉をかけ、ケガの治療をし、水と食糧を与え、ときには滞納家賃や電気・水道料金なども支払ってあげれば、さらに喜ばれることだろう。

林道ツーリングで知り合ったキムさんの愛車。山中のダートで試乗させてもらい、素晴らしい加速・旋回・転倒性能を楽しむことができた。
タカハシとしては次回もぜひ貸してほしいと大熱望しているのだが、今回は男らしくビッグな心で笑って許してくれたキムさんも、次回まで許してくれるかどうか、さすがにちょっと保証のかぎりではない。
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※photo by H."Supersonic bio-mecha-borg"Athupiro

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2008.04.29

HONDA MTX80R

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知人から借りたホンダMTX80Rで高速周回コースを走行中のタカハシ。四半世紀ほど前の写真だ。

1983年に発売されたホンダのオフロードバイクMTX80Rは、最高出力11psを発揮する水冷79cc2サイクル単気筒エンジンを積み、本格的なプロリンクサスを装備している。パワフルなエンジンと俊敏な運動性で、当時の小型トレールとしては突出したパフォーマンスを誇っていた。

080429m01hondamtx80rそんなわけでバイクはたいへん素晴らしいのだが、あいにくライダーのほうは猛烈にカッコ悪い。
当時のタカハシはバイク初心者だったから、情状酌量の余地がまったくないともいえないが、それにしても、あまりにもヒドいライディングフォームだ。やたら前かがみのフォームからは、ビンビンとリアルなヘタクソぶりが伝わってくる。
さらにヒドいのが装備である。ぺらぺらの綿パンに薄っぺらい運動靴、ゆるゆるのトレーナー、コケまくって傷だらけになったフルフェイスヘルメット、指先に穴のあいたグローブというスタイルは、今だったら即刻モトクロスコースからつまみ出されそうな危なっかしさだ。

080429m02hondamtx80rさすがにタカハシも現在では安全意識をあらため、プロテクターやオフロードブーツといった装備を使うようになった。ぺらぺらの綿パンの代わりに、しまむらかユニクロで買ったワークパンツをはいているし、ゆるゆるのトレーナーの代わりに、しまむらかユニクロで買ったシャツを着ている。さらに日射しや飛び石から首を守るため、銀行か農協でもらった白タオルも首に巻く念の入れようだ。

こうしてすっかり安全性が改善されたタカハシの装備だが、カッコ悪さはいまだにあまり改善されていない。
ツーリング先のファミレスでは、仲間から遠く離れた席に座らされ、他人扱いの疎外感を味わうこともしばしばだ。また観光地の駐車場で一息いれていると、必ず知らないドライバーに呼び止められ、駐車料金を払われるのも困りものだ。管理人のおっさんと間違えられてしまうためである。

080429m03hondamtx80rただ1980年代の草レースの写真を見ると、当時のライダーたちがほとんどまともな装備をしていなかったことがうかがわれる。あの頃は、なにもタカハシだけが特別おかしなスタイルで走っていたわけではない。まわりが軒並みおかしなかっこうのライダーばかりだったから、貧乏ライダーにとっては、まあまあ居心地のいい時代だったのかもしれない。

最後の写真は、つい先日たまたま林道で出会ったライダーが乗っていたMTX80R。どこもかしこもピカピカのマシンで、まるで80年代からタイムスリップしてきたようだ。
だがライダーのほうは、いかにも21世紀らしいまともな装備をしていた。どうせならライダーもぺらぺらの運動靴とトレーナーで80年代らしくびしっとキメて、リアルなタイムスリップ感を演出してくれたらよかったのに、じつに残念だ。
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2008.02.23

HONDA JAZZ

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アメリカンバイクは、大きくプルバックしたハンドルや低いシート、レイダウンしたフロントフォークなどを特徴としている。この独特のレイアウトによって、ライダーは、いわゆるホースバック・ライディングとよばれる、ふんぞり返るようなフォームを強いられる。曲がりにくく、加速しにくく、止まりにくいうえ、見た目以上に疲れもする。走行性能という点では、アメリカンは欠点だらけのバイクだともいえる。
でも、なぜか根強い人気がある。バイクといえば、ハーレー・ダビッドソンのアメリカンバイクを思い浮かべる人も多いほどだ。

走行性能には劣るアメリカンバイクだが、400ccを上回る大排気量車ともなれば、強大なトルクやバイブレーションとともに、おおらかな乗り味が楽しめるのが美点だ。しかしこのホンダJAZZは、きわめて本格的なアメリカン・スタイルを採用しているにもかかわらず、わずか49ccの非力な空冷OHC4サイクル単気筒エンジンで走る。パワーはたったの4ps、ミッションもプアな4速リターン式だ。
こんなちぐはぐな設計では、いくらカッコだけよくても、まともに走るバイクにはならない……と考えるのが普通だが、じつはJAZZは意外に面白い。本来なら大排気量車にしか与えられないゆったり感がそのままスケールダウンされたようなのどかな乗り味で、従来のチョコマカした50ccスポーツバイクにはなかった異次元感覚が味わえる。パワーと運動性はいずれも低レベルだが、絶妙にバランスしているため、近所のコンビニにノロノロ買い物に行くだけでも、じゅうぶんスポーツ・ライディングが楽しめるのだ。

080223m021986年の発売直後、友人・H.Atyupiro(の兄)が購入したJAZZに乗ったのを皮切りに、なにかと縁があってちょくちょく乗った。最終的には知人から中古を譲ってもらって自分でも乗った。だが、一度パンクしてからは、修理が面倒くさくてガレージにほったらかしにしていた。たしかに楽しいんだが、かといって乗りたくてたまらないバイクってわけでもなかったからだ。

東京への引っ越しを機に、修理してまた乗ろうかなと思っていたら、先日ガレージから姿を消しているのを発見。どうやらどこかの悪党に盗まれたらしい。ひょっとしたらゴミと間違えて捨てられたのかもしれないが。失って惜しい気がする反面、まあそれはそれで構わないかなとも思うビミョーなバイクだった。

写真は1985年当時、大学構内でJAZZを全開発進させているところ。知人が撮影してくれた。レンズに取り付けられたクロスフィルターが、昭和の少女マンガっぽく、やたらビカビカと星の散りばめられたセンチメンタルな画像を演出しているが、そのへんはあまり気にしないでほしい。
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2008.01.20

KAWASAKI KDX125SR

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KDX125SRの発表は1991年だから、17年も前のオールドマシンということになる。他の2サイクルバイク同様、すでに生産は終了しているが、いまだに林道なんかでちょくちょく見かける現役選手だ。
山中のダートで遊んでいたら、SWGPで知り合ったY.Matzenさんが乗ってきたので、さっそく貸してもらった。中古ではあるが、一週間前に納車されたばかりのピカピカのナイスマシンだ。とくに改造はしていないが、タイヤだけはモタード用に履き替えてあった。

080120m02KDX125SRは、モトクロッサーKXから多くの技術的フィードバックを受けて作られた高性能オフローダーで、その水冷2サイクル単気筒124ccエンジンは、9500rpmで22psを絞り出す。スペックでみるかぎり、さほどの高回転型ユニットとは思えないが、実際に乗ってみると中低速のトルクがひじょーに細く、かなりピーキーな出力特性。パワーは素晴らしいが、誰にでも乗りこなせるエンジンではない。

エンジンがちょっと神経質な反面、操縦性はごく軽快だ。乾燥重量104kgの軽量ボディのおかげでもあって、誰もがぶんぶん振り回せる素直なマシンになっている。シート高もそんなにバカ高くないから、タカハシのよーな短足胴長ライダーにもありがたい。

080120m03が、だからといって調子に乗って振り回しすぎてはいけない。KDX125SRにとって最悪のパターンとは、軽快な運動性にごまかされて腕が上がったと勘違いしたタコライダーが、うっかりパカッとアクセルを開けた場合だ。それまでパワーバンドをはずれてモゴモゴとおとなしく回っていたエンジンが、ここぞとばかりパカーンと吹け上がり、猛烈に暴れだす。
上級ライダーにとってはおいしい22psのハイパワーも、タコライダーにとってはたんなる暴力にすぎない。あっという間に吹っ飛ばされ、みじめに地べたに転がる結果となるだろう。高性能マシンだからこそ、うっかりタコライダーに貸すと、いきなり転倒してぐちゃぐちゃにされるおそれがある。貸す相手は、くれぐれも慎重に選びたいものだ。

080120m04とはいえ、いったん貸してしまった以上、すべてはオーナーの自己責任である。転んで苦しんでいる哀れなタコライダーにあれこれ文句をつけたりしてはいけない。いくらピカピカのバイクをズタボロに壊されても、どーんと男らしく笑って許さねばならない。それどころかタコライダーにケガがないか気遣い、場合によっては晩飯をおごり、ときにはお小遣いをあげるくらいの勇気が重要だ。
これはライダーとして、男として、日本人として、人間として、いや、地球生命体のひとつとして、必ず守らなければならない最低限のマナーなのだ。KDX125SRオーナー諸君(とくに京都府在住のY.Matzenさん)には、そこらへんぜひ肝に銘じておいてもらいたいものである。
あっ! 石をぶつけないで〜!
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※photo by H."Supersonic bio-mecha-borg"Athupiro

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2007.12.11

BMW R100GS Paris-Dakar

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ドイツ製のビッグ・オフローダー、BMW R100GSパリダカール。バイクツーリング誌『アウトライダー』の櫻井副編集長が、貴重な愛車に試乗させてくれた。

独特のフィーリングで知られる980cc空冷OHV水平対抗2気筒エンジンと、パリダカールラリーをイメージさせる容量35リットルの巨大なガソリンタンクが大きな特徴だ。90年に発表されたマシンだが、基本設計は80年代だから、設計そのものは20年以上前のものだ。

071210m02いかにもオールド・ビッグ・オフローダーらしく、メカニズムはどこもかしこも古めかしい。そのうえひたすらデカく、ひたすら重い。
車両重量は236kg。比重0.75のガソリン35リットルの重さはおよそ26kgだから、仮にガソリンタンクを空っぽにしても、なお210kgもの重量を誇るヘヴィ級ということになる。
よほどの技術と体力、さらに恵まれた体格がないと、マシンを自在に振り回すようなライディングはできないだろう。それでも現代のオフローダーに較べると足着き性がよいため、ノロノロ走るだけなら、ろくな技術と体力と体格のないタカハシにも、それなりに楽しめるのがいいところだ。

071210m03超低速からよく粘るエンジンは、ちょいとアクセルを開けて6500回転まで回せば、たちまち60psのハイパワーを叩き出す。ビッグボディのわりにハンドリングはそこそこ軽快だから、林道トレッキングから高速走行まで幅広くこなせそうだ。
とはいっても、さすがにこんな巨大なマシンでわざわざモトクロスをしたり、狭い林道のコーナーで真横を向いて激走したりする奴がいたら、それはかなりの物好きか、だいぶ頭がイカれているか、よほどマニアックな変態ライダーだけだろう。

071210m04ところで後日、櫻井副編集長をふくむ20台ほどのBMWビッグ・オフローダーが集う林道ツーリングに誘われた。タカハシもさっそく愛車HONDA CRM80にBMWのステッカーを貼り付け、本物のBMWと区別できないよう入念に偽装をほどこして参加させてもらった。
ところがパーティーが林道に入ったとたん、巨大なマシンを真横に向けてコーナーを激走するライダーが続出。この世界には数多くの変態ライダーがいることを思い知らされるツーリングとなった。あえてここでは名を伏せるが、変態ライダーたちの先陣を切って、ひときわ激走していたのが某バイクツーリング誌のS副編集長であったことはいうまでもない。

※photo by Masato Shibata

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2007.11.12

SUZUKI TS90 Hustler

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呆れるほど古くさい絵ヅラの写真だが、それも無理はない。スズキハスラーTS90は、初期型が1971年に発表された筋金入りのオールドマシンだ。写真のマシンが何期型かはよくわからないが、最大36年前の製造だから、近代日本史的にいえば、少なくとも江戸幕府崩壊から小泉内閣誕生までの間に作られたバイクだということになる。

071112m0289cc空冷2サイクル単気筒エンジンを積んだ最高出力10psのオフロードバイク。現在ではすっかり珍物となったロータリーディスクバルブ吸気方式を採用している。後端がぴんと跳ね上がったマフラーも、ほとんど垂直にセットされたリアの二本サスも、フロントのドラムブレーキも、いまや骨董品と懐古趣味の専売特許となった感のある古めかしいメカニズムだ。

それでもエンジンだけは意外と元気よく回る。これだけ古くて、なおパワーフィールが現代のバイクとさほど変わらないのは驚きだ。
071112m03反面、足回りには、オールドバイクらしいクセがたっぷり盛り込まれていて楽しめる。サス全体がヘナヘナと頼りないうえ、恐ろしくリアヘビーでやたらとフロントが軽く、ちょっとした操作でポンポンとホイールリフトする。コーナリング中にうっかりアクセルなんか開けると、たちまちフロントがアウト側にフラフラ泳ぎだすからスリル満点だ。

ブレーキもきわめてユニークだ。現代のバイクは、ブレーキをかけると即座に減速するようなつまらないマシンばかりだが、この時代のバイクには、ブレーキをかけるとス〜ッと気が遠くなるような加速感を味わわせてくれるステキな機能がついているものが多い。
たとえば5速全開で突っ走ってきたストレートからヘアピンコーナーへのアプローチでこの機能をフル活用すれば、ふだん脳内にうずまいている邪念を一瞬で真っ白に漂白できる。もっと運がよければ、人生走馬燈劇場を堪能しつつ、近所の病院か火葬場へ直送してもらうことだって夢ではない。

071112m04スズキハスラーTS90は、日本がまだ若く、ライダーたちもまだ若かった時代の、青臭いまでに若々しいマシンだ。
おもわず、赤いジェットヘルに水玉のスカーフを小粋に取り合わせ、革ジャンとラッパズボンとウェスタンブーツでキメまくって馴染みの喫茶店に乗り付けるなり、レーサーあがりのマスターに「オイラ、今度ミッちゃんをデートに誘うんだけどさ、オッケーしてくれるかなあ……」などと、夢いっぱいに青い春の悩みなど語りかけてみたくなる一台である。
けっして、銀のツーリングヘルメットに銀行のマーク入り白タオルを小粋に取り合わせ、ユニクロの長袖シャツと破れた作業ズボンと激安特売ブーツでキメまくって馴染みのデザイン事務所に乗り付けるなり、写植屋あがりの社長に、「わたくし、このたび貴社にカットのお仕事を頂戴しに参ったのですが、なにしろ不況のあおりで生活が苦しく……」などと、リアリティいっぱいに金の無心など持ちかけてはいけない一台だともいえよう。

レンタルカートレースSWGPのエントラントとして知り合ったN.Yousacさんが貴重な愛車を貸してくれた。そろそろ博物館への寄贈も視野に入れたい歴史遺産のひとつである。
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※photo by H."Supersonic bio-mecha-borg"Athupiro

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2007.11.06

SUZUKI RMX250S

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RMX250Sは、92年にスズキが発売したオフロードバイクだ。エンデューロレーサーゆずりの249.6cc水冷2サイクル単気筒エンジンは40psのビッグパワーを発揮し、すぐれた足回りと相まって、当時、ライダーたちの間で「公道レーサー」の名をほしいままにした。
あまりにも高性能すぎてタカハシには縁がなかったバイクだが、先日、山中のダートで出会った太っ腹なライダーが乗らせてくれた。

071106m02ハイパワーマシンではあるが、暴れ馬ではない。スロットルに素直に反応し、開けたぶんだけリニアに伸びるフラットで乗りやすいエンジンだ。足回りにもゆとりがあり、荒っぽい操作をしてもサスペンションが暴れるようなことはめったにない。軽くて扱いやすく、乗り味はむしろイージーだ。
そうはいっても、一般的なアマチュアライダーが全性能を使いきれるような安直なバイクじゃないのはもちろんだが、性能の半分くらい使うつもりで走るなら、誰もが簡単に林道ツーリングやモトクロスを楽しめる。タカハシでさえ、エンジンをかけずに坂道を転がして降りるくらいなら、じゅうぶん楽しめるマシンなのだ。

071106m03ただ、このシートの高さだけは納得いかない。895ミリ。それは短足人間タカハシの腰骨の高さをはるかにしのぐ。まるで全人類の中からタカハシだけを狙いすまして排撃するかのごとき差別的設計だ。
マトモにまたがれないため、タカハシは自力でエンジンをかけることさえできない。わざわざオーナーにエンジンをかけてもらい、よちよちと屈辱的な姿で走り出すハメになった。それどころか、コーナリングに入ったとたん、車体がなぜかどんどん傾きを増し、ついには地面と完全に平行になって停止。もうこうなると、いくら足を出しても、どこにもまったく接地させることができない。
これは、人によっては「転倒」とも呼ぶ怪現象で、一般的には車両の設計不良が主な原因だといわれているいるいる、いるったらいる!

071106m04転倒はRMXの高すぎるシートが原因である。スズキはただちにシート高を20センチ下げてRMX250Sを作り直すとともに、この怪現象によって傷ついたマシンと、マシンよりもさらに深く傷ついたオーナーの心をきちんと弁済してあげてほしい。
念のためいちおうタカハシからも、スズキ社長に成り代わって軽くオーナーに挨拶だけは通しておいたが、あとはスズキの営業部かお客様センターのほうで男らしく面倒をみるべきだ。それがバイクメーカーの果たすべき社会的責務というものであるあるあるある、あるったらある!
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※photo by H."Supersonic bio-mecha-borg"Athupiro

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2007.10.01

CRM80@BIKESHOP STUFF

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東京移転にあたって、愛機HONDA CRM80をどうしようかと思っていたら、京都のバイクショップ STUFFから、しばらく店で預かってやろうと親切な申し出があった。昔のよしみで、その間にできるだけ整備もしておいてやるという。願ってもないチャンスなので、壊れたまま何年もほったらかしてあったフロントサスとステアリングヘッドの修理のほか、エンジン腰上のオーバーホールもしてもらった。

071001m01_2タカハシは15年ほど前に中古でCRM80を買って以来、整備らしい整備をしたことがない。それでもマシンにさほど不満を感じなかったのは、ニブい感覚のおかげともいえる。
が、直してもらったバイクに乗って驚いた。たとえ初心者でも、かなりのバカでも、もしかしてサルでも、それどころかタカハシでさえも、はっきりわかるほど乗りやすくなっている。フロントが狂ったように跳ね回っていた林道の下り坂は格段にスムーズに走れるようになったし、全開のまま半クラッチだけでスピードコントロールしなければならなかった上り坂でも、アクセルが使えるようになった。
「すごい! フロントが吹っ飛ばない! アクセルでスピード調節できる!」
涙ながらに感激を語るタカハシに、STUFF店長・トール氏は哀れみの色を浮かべて云った。
「バイクって普通そういうもんやで……」

071001m02さて、東京に持ち帰ってからも機嫌よく乗り回していたCRM80だが、運悪くフロントタイヤがパンクしてしまった。もともとタイヤがツルツルに減っていたことでもあるし、これを機に思い切って激安タイヤ店でニュータイヤを購入。前後輪とも交換することにした。

ところで、タイヤ交換の作業は難しいと思っているライダーはいないだろうか。じつはけっしてそんなことはない。誰にでも簡単にできる作業だから、手順を覚えてやってみるといいだろう。
いちばん簡単なのは、もちろんバイク屋に頼む方法だ。しかしこれには金がかかるという欠点がある。
金がない場合は別の方法をとろう。バイクの整備ができる知り合いの家に電話をかけ、すぐ直しに来いと命じる方法である。むろん最初は拒まれるが、そこでめげてはいけない。あきらめず、真夜中に執拗に無言電話をかけ続ければ、たいていの人間は心が折れる。ほどなく憔悴しきった顔でタイヤ交換に来てくれるだろう。タカハシは、これまでいつもそうやって簡単に無料でタイヤ交換を済ませてきた。

071001m03ところが東京には気軽に無言電話をかけられる知り合いがいない。そのため珍しく自分でタイヤ交換に挑戦するハメになった。だが、もともと不器用なうえにメカ音痴だから、作業は難渋をきわめた。早朝から日没まで格闘を続け、なんとか後輪だけは交換できたが、かんじんの前輪はまだ元のままだ。CRM80が息を吹き返すのはいつの日だろう。やはり自力で解決しようなどと無理をせず、素直に無言電話をかける相手を探したほうが早いのかもしれない。

ちなみに、タカハシがいつも世話になっているバイクショップ STUFFは、京都・大原三千院に近い某所にある。ただ、看板ひとつ出さずに営業しているから、手がかりなしに探し出すのは不可能だ。バイクが壊れて困っている人や、レースで勝ちたいけどチューニングのしかたがわからない人、茶飲み友達が欲しい人などは、タカハシのHPからリンクをたどって直接連絡してみるといい。
写真のとおり店構えはかなり怪しげだが、整備の腕は各地のレースで実証済み。ちゃんとタイヤ交換もしてくれるし、店主の機嫌がよければコーヒーを飲ませてくれることもある。
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※photo by H."Supersonic bio-mecha-borg"Athupiro

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2007.09.07

KAWASAKI AR50/80

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カワサキのバイクには、独特の男くさいイメージがつきまとう。そのせいかハードボイルド小説の主人公はたいていカワサキに乗っている。いや、ちゃんと調べたわけじゃないが、少なくともヤマハ パッソル(赤)に乗って道頓堀あたりを走っている主人公より、カワサキW1に乗って本牧埠頭あたりを走っている主人公のほうが圧倒的に多いことだけは保証してもいい。

070908m03AR50は1981年に発売されたカワサキ初の小型ロードスポーツバイクだ。かつてカワサキ車の多くは、乗り味からしてガチガチに硬くて重く、いかにも不器用で男っぽい印象が強かったが、それはあくまで大型車の話で、小型車にはとくにそんな味付けはない。それでもAR50は、男っぽいカワサキビッグマシンに憧れながらも、あいにく原付免許しか持っていない気弱なライダーたちに絶大な人気を誇っていた。

当時、ホンダのMBX50、ヤマハのRZ50、スズキのRG50ガンマといったライバル車が軒並み水冷エンジンを積んでパワー競争にしのぎを削っていたなか、ひとり旧式の空冷エンジンを積んで平然としていたのも、いかにもカワサキらしい。ようするにいちいち水冷エンジンを作るのがめんどくさいからほったらかしていただけだと思うが、それすらも、熱烈なカワサキファンの目には反逆者カワサキの孤高のスタイルと映っていたのかもしれない。

070908m02_2ピーピーとやたらうるさいうえにちょっと飛ばすとすぐ熱ダレするエンジンや平凡な足回りは、どう見てもただの原チャリなのだが、たいていのARは、オーナーの思い入れそのままに、一丁前に男っぽいドレスアップが施されていた。このライムグリーンのAR50にも極端なセパハンとバックステップが付いていて、ひどく乗りにくくなっている。1985年頃、大学の先輩のバイクを借りて空き地で遊んでいたときの写真だ。

いっぽう黒いマシンは、もっとずっと後になって知人から譲り受けたAR80。動かなくなったポンコツを引き取ってきたはいいが、修理する金も時間もなく、一度も走らさないうちに手放してしまった。だからAR80がどんなマシンだったのか、タカハシはいまだに知らずにいる。

AR50は総排気量49ccで7.2ps、AR80は総排気量79ccで10ps。どちらも空冷2サイクル単気筒エンジンを積んだ素朴なバイクだ。
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2007.07.29

aprilia MOTO6.5

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何よりもずんぐりしたスタイルが珍妙なバイクだが、MOTO6.5という車名も珍妙だ。「MOTO」はイタリア語で「バイク」という意味だから、つまり「バイク6.5」という名前である。まさに投げやりとしかいいようのないネーミングだ。
野暮ったく不細工な造形は、どこの三流デザイナーが作ったのかと思わせるが、じつは世界屈指の工業デザイナー、斯界の鬼才ともうたわれるフィリップ・スタルク氏によるデザインだというから驚きだ。そう聞いてからあらためてよく見ると、なんだかエキセントリックでオサレなデザインのよーな気がしないでもない。だが、非才の凡夫タカハシが澄んだ心と澄んだ目で接すれば、やっぱりただのクソデザインに見えてしまう。

070729m02_2MOTO6.5は、イタリアのバイクメーカー、アプリリア製。水冷単気筒649.5cc 5バルブのロータックス65APエンジンを搭載している。
ちょくちょくこのブログの写真撮影を担当してくれているH.Athupiroが購入したというので、さっそくタイヤをオフロード系に履き替えて、なぜか強引に林道に持ち込んでみることにした。

林道の果てのフラットダートに到着すると、すぐさまMOTO6.5を借りる。さ〜、めいっぱいブンブン走り回ってやろうとペダルをローにシフトしたとき、背後からするすると音もなく近づいてきたH.Athupiroが耳元でささやいた。

070729m03「あのねえ、このバイクねえ、ブレーキとかクラッチのレバーねえ、1本ねえ、1万3000円するんですよねえ。イヒヒヒヒ〜」

それを聞くとタカハシは一瞬で凍り付き、即座にコーナリングを諦める決断を下した。
H.Ahupiroは、20年にもおよぶ長い付き合いのなかでタカハシの特性を熟知している。停止しているか直進しているときはやや転びにくいが、一回でも曲がれば必ず転倒するほどヘタクソなうえ、つねに赤貧洗うがごときタカハシ。他人のバイクをバカスカ転ばしてはトンズラすると、各方面で悪評をまき散らしている。
そこであらかじめ「レバーは1万3000円」と宣言しておくことにより、「バイクごとでんぐり返り&谷底転落」などの得意技を封じようと知恵をめぐらせたのである。

070729m04オーナーH.Athupiroの卑劣な謀略により、今回は不本意ながらめくるめく転倒の悦楽を味わうのは諦め、ひたすらまっすぐ走るしかなくなった。なんとなくつまらない。さすがに650クラスとなれば、全開にすれば、直進だけでもトルクとパワーは楽しめるが、ダートではちょっと重すぎる183kgの車重と、穏やかなエンジン出力特性のせいもあって、パンチを感じるほどではない。
ついでにロードコースも走ってみたが、大きくアクセルを開けるとバンバンと盛大にアフターファイアが起きるし、直進安定性が強すぎて旋回能力はイマイチ。のんびりツーリングに行くならいいが、加速・旋回・転倒・滑落・骨折・入院といったバイクライディングの醍醐味を楽しむにはやや不満が残る。

話題性という点では文句なく突出したバイクだが、そのわりにデザインと性能がハンパなのが残念だった。
だが、ただ一点だけハンパでないと評価できるところもあった。それはもちろんレバーの高級さだ。この高踏的レバー価格のおかげで、MOTO6.5が悲惨な転倒&破損を免れたことは特筆に値する。さすがは鬼才フィリップ・スタルク、読みが深い!(そうか?)
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※photo by H."Supersonic bio-mecha-borg"Athupiro

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2007.07.17

KTM 640CL4-enduro 寺崎special

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「さすらいの野宿ライダー」として多くのバイク乗りから崇敬を集める寺崎勉さんは、いつも風のごとくふらりとAFOライダーキャンプに現れては、風のごとく去ってゆく。「エグゼクティブAFOライダー」の称号をほしいままにする天性の風来坊だ。
その気ままなツーリングスタイルから、ツールやバイクにはこだわらないタイプだと思う人もいるかもしれないが、それは違う。バイクには徹底して手をかけるライダーなのだ。

070717m01寺崎さんの愛車はオーストリア製のKTM 640CL4-enduro。625cc水冷4サイクル単気筒エンジンの圧倒的なパワーを誇るビッグマシンだ。
タカハシがKTMの横に立つと、シートはだいたいヘソの高さ。短足のタカハシでは、このくらいのサイズになると、ふつう乗車を諦めなくてはならない。ステップに片足を乗せると反対側の足が地面に届かず、バイクを垂直にできないからだ。
だが、自転車のケンケン乗りのようにして、またがった瞬間に走り出し、停止した瞬間に飛び降りれば、なんとか乗れないこともない。周囲の反対を押し切って頼み込み、試乗させてもらうことにした。

070717m02寺崎さんに支えてもらいながらハンドルにしがみつき、かろうじてシートによじ登った瞬間、両足が完全に宙に浮いた。即座にクラッチをつなぎ、サーカスのクマのバイク芸よろしく、あからさまにヨロヨロと加速をはじめる。さすがにここまでデカいと、とうていまともに運転できそうな気がしない。

が、走り出してみて驚いた。信じられないほど軽い。デカいぶんだけ重いはずのマシンが、自由自在に動かせる。
070717m03運動性は俊敏というほかなく、どんなアクションにもまったくモタり感がない。とくに上まわりの軽さが際立っていて、ギャップで振られても瞬時に収束できるし、大型車が苦手とする低速タイトターンもストレスなくこなす。
アクセル一発で路面を削る強大なトルクがなければ、うっかり間違えて250ccにでも乗ってしまったかと思うほどの軽快さだ。タカハシのように足が短く腕の悪いライダーじゃなく、足が長く腕のいいライダーが乗りさえすれば、林道だろうがモトクロスコースだろうが、フィールドを選ばずぶんぶん振り回せる俊足ダートランナーである。

070717m04いったいどこをどれだけ削ればこんな驚愕の軽量化を実現できるのかは知るよしもない。だがどうやら寺崎さんは、要らない部品どころか、少しくらい要る部品なら片っ端からもぎ取って惜しげもなく棄て去り、車体のあちこちに無数の穴を開け、違法スレスレのアコギな手法を繰り出しまくって、徹底的な軽量化をはかったものと思われる。
なにしろバッテリーもセルモーターも取りはずし、640クラスのビッグシングルをキックスタートのみにしてしまっているのだから潔い。スピードメーターなんか、自転車用のサイクルコンピュータで代用してある。それで結局、ノーマルから10キロほども軽く仕上がっているそうだ。

070717m05さて、ひとたび走り出せば、ビッグオフローダーの概念をくつがえす超軽量KTM640CL4-enduro寺崎スペシャルだが、当然ながら、どんなに軽くなっても大きさは元通りだ。小型人類タカハシが快適によじ登ったり飛び降りたりするためには、軽量化ばかりでなく、ぜひ小型化にも取り組んでほしいところである。
だが、もしそんなことを云えば、寺崎さんのバイクにとって最も役に立たない部品として、タカハシ自身が真っ先にもぎ取られ、惜しげもなく山中深く廃棄されてしまうことは、まず疑いの余地がない。

※photo by Masato Shibata

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2007.07.08

AFO-CROSS 2007 rd.01

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恒例のAFOライダーキャンプが、今年も某所でひそかに開催された。
自他共に認めるエグゼクティブAFOライダー 寺崎"野宿ライダー"勉氏、ツーリング写真のオーソリティ 須藤"夜の巨匠"英一氏、松本"アイアン・ストマック"よしえ氏、野岸"ねぎ"泰之氏、勝間田"歩く中学生"しげる氏、そして菅生"タイチョー"雅文氏ひきいる『アウトライダー』編集軍団まで、バイクツーリング界の大物多数を迎える豪華なキャンプとなった。

070708m02AFO-CROSSは、このキャンプに付随して開催されるモータースポーツイベントだ。全長約15メートルのコースを、足を着かずにもっとも「遅く」走れたライダーが勝者となる。スピードが遅いため音が静かで静かで静かで、しかも地面をほじらないほじらないほじらない、きわめて環境にやさしいモータースポーツである。
各ライダーは許された3回のアタックをフル活用してベストタイムを争う。なお、マシンはタカハシの愛車 HONDA CRM80ウルトラオールドエディションを使用。男性ライダーには、ハンデとして水鉄砲による一斉射撃も浴びせられた。

070708m03AFO-CROSS 2007 rd.01には、8名のAFOライダーが参戦。
注目のファーストアタック・セッションでは、序盤からリタイアが続出するなか、プレッシャーをものともせず菅生"タイチョー"雅文選手が29.47秒の好タイムをマークし、暫定トップに立つ。続いて野岸"ねぎ"泰之選手が26.06秒で2位につけるも、直後に松本"アイアン・ストマック"よしえ選手が27.25秒を叩き出してポジションを奪った。
セカンドアタックセッションでは、ミスター"absanthe"アブ選手が、いきなり34.47秒という驚異的なタイムでコンペティションリーダーとなり、他の追撃を許さぬままセッションをフィニッシュ。しかし2位以下では、29.13秒と大幅にタイムを伸ばした野岸"ねぎ"泰之選手が3位に食い込むなど、表彰台をめぐる激しいバトルが繰り広げられた。
コンマ2秒の中に2位以下のライダーたちがひしめく超接近戦の中で迎えたサードアタックセッション、それまでリタイアが続いていた勝間田"歩く中学生"しげる選手と櫻井"チェリー"伸樹選手もそれぞれ完走を果たしたが、惜しくもタイムは届かず。いっぽう松本"アイアン・ストマック"よしえ選手は31.16秒の大台超えを果たし、鮮やかに表彰台を奪還した。

070708m05_2結局、2006のAFO-CROSSチャンプ、ミスター"absanthe"アブ選手が再びポディウムの頂点に立ち、みごと初防衛を飾った。2位は松本"アイアン・ストマック"よしえ選手。3位の菅生"タイチョー"雅文選手は、デビュー戦で表彰台ゲットの快挙を成し遂げた。
ポディウムに上がった3選手は、肝臓にも道路交通法にもやさしいが、糖尿病にはやや厳しいラムネファイトを心ゆくまで堪能。しばし勝利の清涼飲料水に酔いしれた。

070708m04_3ちなみに主催者タカハシは今回も参戦しなかった。いや、けっして負けるのが怖くて逃げたわけではない。断じてそんなことはない。なにしろタカハシは審判とかもやらなくちゃいけないし、ラムネファイトでベタベタするのもイヤだし、転んだりしたら痛そうだし、そういったやむを得ない事情があって、涙をのんで参戦を見合わせただけだ。
ひじょうに言い訳がましく聞こえるかもしれないが、そこをまげて、ぜひ信じてほしい。世の中、信じる者だけがダマされるのである。
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※AFO-CROSS 2007 rd.01のリザルトは以下のとおり。
1位=ミスター"absanthe"アブ 34.47秒/2位=松本"アイアン・ストマック"よしえ 31.16秒/3位=菅生"タイチョー"雅文 29.47秒/4位=野岸"ねぎ"泰之 29.13秒/5位=勝間田"歩く中学生"しげる 27.12秒/6位=櫻井"チェリー"伸樹 24.49秒/DNF=田中号/DNF=柴田雅人

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2007.06.21

HONDA CRM250AR モタード

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バイクを速くするためにメカに手を加えることをチューンナップと呼ぶ。なかにはワケもわからずエンジンのパワーを上げたりサスペンションを硬くして限界を上げたりする人もいるが、ピークパワーを上げたエンジンは扱いにくくなりがちだし、限界を上げたサスペンションは挙動がシビアになりがちで、必ずしもいいことばかりではない。チューンナップは、バイクの使用目的とライダーのテクニックレベルに合わせて組み立てないと、むしろ遅いバイクを作ってしまいかねない。

070620m01このCRM250ARは、旧友トールさんから借りたバイク。もともとは最高出力40psを誇る水冷2サイクル単気筒249ccエンジンを搭載した高性能トレールバイクだが、各地のモタードレースで表彰台の常連となっているライダーのマシンだけに、細部にわたって入念にモタード仕様化がはかられている。
ロードコースでの運動性を高めるため、前後ホイールは17インチに変更。ブレーキロータを大径化し、強大なストッピングパワーを獲得している。キャブレターにはバクダンキットを組み込み、クラッチプレートを軽量化するなどして、エンジンのピックアップも大幅に向上させている。
070620m02ほかにも無数のチューンが施されているから、中身は市販CRM250ARとはほとんど別物といっていいほど。それでもけっして扱いにくくはない。パワーと素直な操縦性のバランスが光るナイスチューンだ。

だが、タカハシがおっかなびっくりダートを走りはじめ、カメのようにのろのろと左ターンに入ったとたん、スライドを収束しそこねて強烈なハイサイドが起きた。バイクに背負い投げを喰らい、「ドテポキグシャ!」とマンガっぽい効果音をまき散らしつつ一発転倒。赤土の路面で全身を強打し、白目をむいてのたうち回るハメになった。
070620m03_1たしかにこのCRM250ARは、トールさんのようなテクニシャンにはベストなチューンナップが施されたバイクだが、残念ながらタカハシのようなタコライダーに乗りこなせるマシンではなかった。次に乗せてもらうときは、ぜひエンジンを取りはずし、代わりに足こぎペダルを取り付け、さらに3輪化しておいてほしい。ベルと前カゴと名前シールも付けておいてくれると、もっと嬉しい。タカハシと全国の幼児諸君にとっては、それこそがベストなチューンナップとなるはずだからである。
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※photo by H."Supersonic bio-mecha-borg"Athupiro

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2007.05.08

YAMAHA XT200

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200ccクラスのトレールバイクは、数値的には125ccクラスからわずか75cc排気量アップしただけのマシンだが、乗り味はそれだけでガラリと変わる。

070508m02もともとパワフルな2サイクルエンジンは、200ccクラスともなれば凶暴なまでのハイパワーを発揮する。腕利きのライダーならともかく、一般的なアマチュアライダーがダートで乗りこなすのは至難ともいえる高性能だ。ましてタカハシのよーなタコライダーでは、振り落とされずに済んだだけでも赤飯を炊いて祝わねばならないよーな過激なバイクが多い。

しかし、おっとりした4サイクルエンジンだと話が別だ。200ccクラスのマシンはむしろ乗りやすい。125ccではパワー不足を感じるシチュエーションでも、トルクフルなエンジンがライダーをしっかりサポートしてくれるし、大きく重い250ccでは取り回しに苦しむシチュエーションでも、コンパクトな200ccならストレスなく振り回せる。
4サイクル200ccクラスは、腕力に劣るレディスライダーやバイク初心者でもじゅうぶん乗りこなせる。タカハシでさえ、少なくとも泣きながらハンドルにしがみついていることだけはできるステキなバイクなのだ。

070508m03ヤマハXT200は、OHC空冷4サイクル単気筒196ccエンジンを搭載したトレールバイクだ。XT125の車体をそのまま使い、エンジンだけがスープアップされている。見た目はパッとしないマイナー車のようだが、乗ってみれば、とりわけ操縦性に秀でたマシンだということがすぐわかる。実際、この素直なエンジンは後にセロー225にも引き継がれ、空前の大ヒット作ともなった。

070508m04_1写真は友人のXT200を借りたときのもの。1982年製のバイクだが、87年頃の写真だから、このときにはすでにけっこーポンコツになっていた。それでも走りはまだまだ健在で、スムーズなエンジン特性のおかげでスライドコントロールもしやすく、誰でもカンタンにフラットダートの高速コーナリングが楽しめた。

当時のトレールバイクはサスペンションがプアだったため、XT200もモトクロスコースのようなギャップだらけのフィールドは得意ではない。しかしそのぶん足が短く、マシン全体がコンパクトに設計されていたのが嬉しかった。タカハシ自身も足が短く、ライダー全体がコンパクトに設計されていたため、マシンとの相性だけはバッチリだったのである。
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2007.01.13

スーパーマモラ乗り with GSX750S

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今はどうだか知らないが、かつてのライダーは「外足荷重」をうるさくしつけられたものだった。
バイクは基本的に左右のステップへの荷重コントロールで操る乗り物だ。曲がりたいほうのステップを踏み込めば、そっちにリーンし、旋回がはじまる。だが、そのままずっとイン側を踏み続けていると、どんどん傾き続けて転んでしまうので、フルバンクになったところでアウト側に踏み替えて荷重し、転倒やスライドに対処するのが鉄則とされていた。これが外足荷重だ。

たしかにそのほうが転びにくくて安全には違いないが、すべてのシチュエーションで必須のテクニックとまではいいきれない。外足荷重がバイクの自然な動きを妨げる場合もあるからだ。往年の名ライダー、ランディ・マモラ選手などは、コーナリング中にステップから外足を浮かせる特異なライディング、通称「マモラ乗り」でグランプリを闘っていた。
ランディ・マモラが外足を浮かせてそんなに速いなら、外足をもっと浮かせれば、もっと速く走れるはず……。今から約25年前、どういう理屈からか、そう考えてしまったある愚かな青年が独自に開発したのが、この無意味な片足コーナリングであった。

青年はこのワザを「スーパーマモラ乗り」と呼んで得意がっていたが、まわりのライダーは「犬のションベン乗り」と呼び、完全に蔑みきっていたという。バトル中にこのワザを繰り出すと、たいていの後続車がす〜っと離れてゆくため、青年はてっきり自分が速くなったものとばかり思い込んでいたが、実際には、つまらない転倒に巻き込まれるのを嫌った後続車がアクセルをゆるめていたにすぎない。

この哀れな青年の名は、仮にK.Tくんとしておこう。当時は未来ある美大生だったが、その後、ただの赤貧イラストレーターに成り下がってしまった。
彼が乗っているのはSUZUKI GSX750S KATANA。当時は栄えあるスズキのフラッグシップだったが、その後、ただのスクラップに成り下がってしまった。

※注 いうまでもないが超キケンなワザなので、少なくとも教習所を出てから3日間くらいは絶対マネしてはいけません。

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2006.12.16

YAMAHA DT125R

061216m00モタードバイクは例外的にロードタイヤを履くが、それはモタードコースの大半がターマックだからだ。グラベルをメーンに走るオフロードバイクには、ふつうオフロードタイヤを履かせる。
このDT125Rは、前輪にロードタイヤ、後輪にオフロードタイヤを履いている。フロントタイヤのミゾがなくなってきたので、代わりにそこらに転がっていた中古のロードタイヤを入れたそうだ。061216m01しかし、そんな外道なセッティングでは、どう考えても恐ろしくアンバランスなマシンになってしまう。低速のタイトターンならともかく、高速コーナリングでは、いつどこにどんなふうに吹っ飛ばされるかわかったものではない。
……と思っていたが、乗ってみると案外ちゃんと走れるものだ。もちろん本気で飛ばすことはできないし、フロントが安定しないのもたしかだが、それなりに注意していればいきなりひっくり返るほどではない。そもそもタカハシのよーなノロマなライダーには、ロードタイヤもオフロードタイヤもたいした差はない、ということなのかもしれない。

061216m02yamahadt125rDT125Rの水冷2サイクル124ccエンジンは22psの高出力を誇っている。スタイルもけっこう戦闘的だし、なんとなくビンビン走るバイクのような印象があるが、どちらかといえばツーリング志向のマイルドなマシンで、ハードなオフロードランには向かないという話だった。
だが、パワーのわりに軽くてコンパクトだし、限界挙動が穏やかだから、初心者にはかえって扱いやすい。ギャップだらけのモトクロスコースで大ジャンプ&空中流血バトルをキメないと気が済まないよーな上級者でなければ、じゅうぶんオフロードを楽しめる。

061216m03BBSの常連、かえちゃんさんが貸してくれた。ふだんは通勤専用バイクとして使っているそうだ。すでに2万キロほど走っていて、いいかげんポンコツになっていてもいいはずなのに、外観はまだピカピカだし、エンジンもストレスなく吹け、足回りもまともに働く。
タカハシは、愛車CRM80が無念の臨終を迎えたときには、このDT125Rをすみやかに(しかも、ゴミ同然の超お買い得出血大奉仕かえちゃん撃沈ウルトラ激安特価で)入手しようと、現在、関係方面に対して熱く激しく卑劣なまでに執拗に画策しているところである。

※photo by H."Supersonic bio-mecha-borg"Athupiro

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2006.12.04

HONDA XR100

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XR100は空冷4サイクル単気筒99cc、6.5psのエンジンを積んでいる。純粋なオフロードバイクではなく、最近流行のモタードバイクだ。モタードというのは、ロードコースの一部にオフロードをまぜ、オフロード車ベースのマシンで闘うレースをいう。

061204m02このXR100は山の中で偶然会ったライダーが貸してくれた。タイヤをオフロードタイプに履き替え、ダートラン用にセットアップされている。オモチャみたいな可愛いバイクだが、走りっぷりは本格的で、軽くて小回りがきき、キビキビとイキのいいハンドリングが味わえる。
エンジンは、中速域ではやや頼りないものの高速側はよく回り、フラットダートならじゅうぶん楽しめる。反面、サスペンションの性能はあまり高くない。もともと車体が小さいから、サスストロークがひじょーに短く、ちょっとしたバンプでもすぐボトミングしてしまう。むやみに速度をあげてコーナリングすると、とんでもない挙動を出すこともあるから要注意だ。

タカハシが遊ばせてもらったあとには、ちょくちょくこのブログの写真撮影を担当してくれているH.Athupiroも試乗することになった。かつては熱心にエンデューロレースに参戦し、上位入賞の常連だった実力派ライダーで、タカハシのようなタコライダーとは較べようもないテクニシャンだ。彼が全開でフルコーナリングを試みたところ、XR100のリアサスはたちまちガツンとフルボトム。ケツを跳ね上げられたバイクはライダーごとモロに前転し、テールまわりがぐちゃぐちゃに大破した。
もともと限界の低いタコライダーなら、めいっぱい走っても問題ないが、限界の高い上級者がXR100に乗るときは、多少手加減したほうがよさそうだ。可愛いバイクには、可愛いなりの乗り方ってものがあるからだ。

H.Athupiroのスペクタクルな大転倒シーンに、ふだん他人のバイクで転びまくって非難の嵐にさらされているタカハシは、ここぞとばかり指をさして囃し立て、おおいに溜飲をさげた。自分の転倒は手や足や首や腰や尻や胸や財布が痛む大事件だが、他人の転倒シーンにはなぜかほっこりと心がなごむ。そして、誰が転ぼうと深く胸を痛めるのは、いつもオーナーただひとりなのである。
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※photo by H."Supersonic bio-mecha-borg"Athupiro

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2006.11.15

HONDA CRM80

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現在タカハシが愛用しているバイク。15年ほど前に5万円のポンコツを買ってからずっと乗り続けている。せいぜい本屋やコンビニに行くくらいで、オフロードに入ることはめったになかったが、ごくたまに河原や林道も走った。
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最高出力11PSの水冷2サイクル単気筒79ccエンジンを積み、このクラスにしてはなかなかの俊足を誇っているが、もともと原付に毛が生えた程度のバイクだから、性能も原付に毛が生えた程度で、あまりたいしたことはない。しかし、たいしたことのない性能が、たいしたことのないタカハシのテクニックにぴったりマッチしているともいえる。

061115m02タカハシのCRM80は初期型のウルトラポンコツバイクだが、友人のうち何人かは、それよりやや新しく、やや美しいCRM80に乗っている。いちおう同じバイクのはずなのに、乗り較べてみると、やはりタカハシ車のポンコツ度が突出していた。たしかに車種名は同じだが、性能面ではまったく別のバイクといっていいほどだ。

フロントフォークのオイルがダラダラ漏れていたのはすでに昔語りで、今では漏れるオイルさえ入っていない。リアサスのガスは完全に抜け切ってスカスカだ。エンジンのメンテをしたことは一度もなく、それどころかプラグさえ15年間まったく交換していない。061115m03
整備にぜんぜん金をかけてないにもかかわらず、とりあえず致命傷には至らず、近所をのろのろ走るくらいならちゃんと使えてるんだから経済性だけは立派なものだ。
また、もともとたいしたスピードが出ないから、どんなヘタレライダーがヘタレな乗り方をしてヘタレなポカをしても、大事故になりづらいのも長所のひとつといえるだろう。
つまりCRM80は、貧乏&ヘタレなライダーに最適のバイクなのである。

061115m04CRM80のエンジンは高回転域まで気持ちよく回る。だが中低速トルクが細いため、オフロードではピッチングモーメントが制御しにくい。そのままだとしょっちゅうギャップで吹っ飛ばされるので、ドリブンスプロケットをちょっと大きいのに交換してトルクを稼ぐようにしている。
ツーリングのときは、ガソリンタンクが小さいのもネックになる。低速ギアで全開走行を続ける林道ツーリングだと、40キロも走ればたちまちガス欠してしまう。
やたらオーバーヒートするのも弱点だ。水温警告灯には常に目を光らせておかねばならない。むやみにブンブン回し続けていると、たちまちエンジンからモクモク白煙が出て立ち往生し、飢えた野獣がヨダレを垂らして徘徊している山中で決死のビバークを余儀なくされてしまうからだ。

061115m05また、雨の日はシートにも注意が必要だ。シートが破れてスポンジに雨水がしみこんでいるため、不用意に座るとズボンの尻が濡れる。雨の日ならズボンが濡れていてもみんなが納得してくれるからいいが、雨の翌日のカンカン照りの日にも、シート内にたまった水がじわじわ滲み出してくるから油断できない。
雲ひとつない晴天に、いい大人が尻をベットリ濡らして街をうろついていると、失禁の嫌疑をかけられ、社会的地位を失うおそれさえある。雨の翌日にCRM80で出かけるときは、会話の中で「あ、この尻は失禁じゃないんですよ」などとさりげなく事情を説明し、周囲の誤解をとく心配りが欠かせない。

CRM80を乗りこなすには、バイクを操るテクニックだけでなく、会話のテクニックにも長けていなければならない。いわばライダーの社会性までも含めた総合能力が問われる、じつに奥の深いマシンなのである。あるあるあるある、あるったら誰がなんつってもあるのである。
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※photo by H."Supersonic bio-mecha-borg"Athupiro


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2006.10.29

HONDA TLM50

061029m01TLM50の発売は1983年のことだから、もう四半世紀ちかく前のバイクということになる。HERP付き空冷2サイクル単気筒49ccエンジンを搭載したトライアル入門マシンだ。林道ツーリングで知り合ったライダーが貸してくれた。

古めかしい設計だし、エンジンも非力だが、車体まわりは意外にきちんとデザインされている。踏破性の高い前輪21インチ・後輪18インチの大径ホイール、左右62度まで深々と切れ込むステアリング、スタンディングポジションに特化したステップレイアウトや薄いシートなど、ボディ構成はトライアルマシンそのものだ。
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しかし、このバイクで本格的なトライアルセクションに挑むのはちょっと難しい。あまりにもパワーがないから、よほどのテクニシャンならともかく、平均的なライダーだとかえって苦戦させられるだろう。ましてタカハシのようなヘタレライダーとなると、まともなトライアル走行はまず不可能だ。061029m03
トライアルをこなすには、わずかなパワーを確実に有効利用できる高度なライディングテクニックが欠かせないし、競技志向で作られた車体は、チョイ乗りの足としてはあまり使い勝手がよくない。一見、誰にでも乗れるイージーな初心者向きにみえて、じつはあんがいマニアックな上級者向きマシンなのかもしれない。
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とはいえ、ムリさえしなければタカハシにもいちおう乗ることはできる。草むらに入り込んでひっつき虫だらけになったり、川底の石でスリップしてずぶ濡れになったり、上り坂を押して上がって筋力を鍛えたり、下り坂を転げ落ちて反射神経を養ったり、自然と触れ合いながらさまざまな楽しみ方ができる。もっとも、楽しんでいる時間より苦しんでいる時間が圧倒的に長いのだが、それにさえ目をつぶれば、ヘタレライダーにとってもなかなか素晴らしいバイクなのだ。

※photo by H."Supersonic bio-mecha-borg"Athupiro

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2006.09.30

YAMAHA XT250T

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昨日、近所でウイリーをしていて思い切りひっくり返った。バイクはテールライトを地面にこすりつけて火花を散らしながら10メートルも先へ吹っ飛んでゆき、タカハシはいやというほどアスファルトに叩きつけられ、のたうち回るはめになった。

この写真はウイリー走行中のYAMAHA XT250T。友人からの借り物だ。
XT250Tは1983年に発売されたバイクで、最高出力28psを誇る空冷4サイクル249ccエンジンを搭載している。一般的なトレールマシンに使われるOHCエンジンではなく、DOHCエンジンを積んでいるのが最大の特徴だ。高回転域まで一気に回り、パワーのあるDOHCは高性能スポーツエンジンの代名詞のようにいわれるが、多少の欠点もある。複雑なバルブ機構のせいでトップヘビーになりやすく、中低速トルクが細い。だからオフロードバイク用としては必ずしもぐあいがいいとはいいきれないのだが、そのせいかどうか、XT250Tはたいした評価を得ることもなく市場から消えていった。ただ、ウイリーだけはひじょうに簡単で、誰がやってもすぐできた。

ウイリーは一見ハデに見えるワザだが、実際にはさほど危険はない。よほどヘタレなライダーが、よほど無理をしないかぎり、めったに大転倒などしないものだ。ただ、だからといって写真のライダーのように油断と慢心からノーヘルでウイリーするようなことはお勧めできない。
このバカも写真撮影から20年以上経ったある日、ウイリーによる恐怖の大転倒を味わうことになる。彼は見物人の嘲笑の中、しくしく泣きながら砕け散ったテールライトのかけらを拾い集めて家に持ち帰っていた。ひょっとして接着剤でくっつけたら修理できるかもしれないなどと浅ましい期待をよせていたようだが、ライトの壊滅的なバラバラさかげんをみると、最低でも人間国宝レベルの修理技術がないと元通りにすることはできないと思われる。

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2006.09.05

HONDA TL125

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オフロード・ライディングには大きく分けて3種類のワザがある。1つめはドリフトやジャンプなどの「速く走るためのワザ」。2つめはフローティングターンなどの「うまく走るためのワザ」、3つめはワンハンド・ウイリーなどの「何の役にも立たないワザ」だ。
060905m02そして速く走るためのワザを自在に繰り出すライダーを「速いライダー」と呼び、うまく走るためのワザを自在に繰り出すライダーを「うまいライダー」と呼ぶ。「何の役にも立たないワザ」ばかり繰り出すライダーは、もちろん「何の役にも立たないライダー」と呼んでいる。

060905m03TL125は、低速域からよく粘る124cc空冷4サイクル単気筒エンジンを搭載したスリムなバイクだ。その本領は「うまく走るためのワザ」の分野でもっともよく発揮される。つまり、段差越えや急坂登りといったトライアル走行を得意とするマシンだ。
最新型トライアル車ほど高性能じゃないが、入門用としてはこれでもじゅうぶんで、練習しだいで高度なワザがマスターできるくらいの性能はある。TL125できちんと練習すれば、やがて仲間たちから尊敬をこめて「うまいライダー」の称号を与えられるのも夢ではない。
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だが、うまく走るためのワザの習得には多大な努力とかなりの根気が要る。意思が弱くて飽きっぽいライダーは、つい根負けして、フラフラと何の役にも立たないワザの習得に走り、やがて仲間たちから軽蔑をこめて「何の役にも立たないクソライダー」の烙印を押されてしまうこともあるから、心して練習にのぞんでほしい。

060905m05このTL125は、タカハシのBBSの常連でもあるかえちゃんさんが貸してくれた。1988年に発表された年季の入ったオールドマシンだが、ずいぶん大切に乗ってきたらしく、今でもじつに調子よく走る。もっとも、タカハシがワケもわからずブンブン乗りまわしてやたらと転ばせたので、もしかすると明日からはすっかり調子が悪くなるかもしれないが。

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2006.08.27

KAWASAKI KDX220SR

060827m01_3日本のバイクは、免許制度などの関係で50cc、125cc、250cc、400ccなどが区切りのいい排気量とされている。そのため100ccとか350ccとかの中間排気量はハンパなマシンだと思われがちだ。が、それなりの理由があって、あえてそういう排気量にしてるわけだから、中間排気量には、あんがい独特の乗り味をもった個性的なバイクが多いものだ。
060827m02_1バイクの車種を詳しく知らないので、現物に乗ってみるまでKDX220なんてバイクがあることすら知らなかったが、これもやはり中間排気量車だ。山中のダートで遊んでいるとき出会ったTRさんというライダーに借りた。105kgの軽量ボディに37psの水冷2サイクル単気筒エンジンが載っていて、アクセル一発で路面をえぐるハイパワーと、ひらひらと自在にラインを変えられる高い運動性を兼ね備えた俊足ダートランナーだ。
060827m03_1だがそれは優秀なライダーが乗ればの話で、タカハシのようなカメライダーが乗っても、せっかくの性能を持て余すだけであんまり意味はない。そればかりか、身長に較べて異常に座高が高く生まれついてしまったため、いまだに父と母を深く恨んでいるタカハシにとっては、125ccよりほんの数センチ高く設計されたシート高が致命傷となる。
060827m05_1案の定、走り終わって停まったとたん、つま先が地面を見失っていきなり転倒。泥に汚れたバイクを引きずってオーナーのTRさんのもとに戻り、泣きながら許しを乞うハメになった。気前のよいオーナーはタカハシを恨むそぶりはまったく見せなかったが、もし後でバイクの傷を見て誰かを恨みたくなったときは、ぜひともタカハシ本人ではなく、タカハシの座高を高く設計した両親を恨んでもらいたいものである。
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※photo by H."Supersonic bio-mecha-borg"Athupiro

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2006.08.08

YAMAHA DT125

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125ccは小型二輪に分類される。軽くてさほどパワーがなく、舗装路を走るだけなら誰でもすぐに乗りこなせるお手軽バイクだ。しかしオフロードでは話が違う。その性能は大半のアマチュアライダーの手に余り、林道で2サイクル125ccのパワーを完全に使い切れるライダーはめったにいないといわれるほどだ。
060808m02十数年前、中古でYAMAHA DT125を買った。1982年製、たぶん水冷初期型にあたる。1万5000円という激安大特価だったのは、買ったときにはすでにあちこちガタがきていたからだ。
水冷2サイクル単気筒123ccエンジンは、スペック的には最高出力16PSとなっていたが、実際にはそんなパワーは出ていなかっただろう。でもいちおう125ccだったから、タコライダー タカハシにとっては、これでも性能が良すぎるほどだった。街なかをうろちょろしたり、河原を走り回ったりしたばかりでなく、数千キロにおよぶロングツーリングに出かけたりもした。

なかなか使い勝手のいいマシンだったし、性能にも満足していたが、振動や衝撃であちこちがどんどん壊れてくるのには参った。ほんのちょっとジャンプしただけでリアサスがボトミングし、タイヤがウインカーの配線を引きちぎる。チェーンはぶちぶち切れまくり、オイルというオイルがダラダラ漏れ、やたらとオーバーヒートしては冷却水が蒸気となって噴出し、ライトやメーターまでもが次々に失われてゆく。ついには公道では乗れなくなって、ガレージに放置するほかなくなってしまった。

060808m03だがそのDTは、スクラップ化寸前で思わぬ活躍の機会を得た。
1995年1月17日午前5時46分、阪神・淡路エリアを激震が襲った。翌18日には友人がライダー有志による救援部隊を組織。ポンコツDTは救援活動用バイクとして提供され、物資を満載して被災地へ出動することになった。聞けばDTは、粉塵にまみれガレキの山と化した当時の神戸に恐ろしいほどよく似合っていたそうだ。
その後10年余を経て、神戸はすでにポンコツバイクの似合わない華やかな街へと復興をとげている。DTのほうは、もはやポンコツバイクでさえなくなり、目にも見えない微細な鉄の粉塵と化して、むなしくどこかの大気中に漂っていると思われる。
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2006.07.08

SUZUKI GSX-R750

060708m01フルフェアリングにデュアルヘッドライトのレーシーな外装をもつGSX-R750。80年代に一世を風靡したレーサーレプリカと呼ばれるスタイルだ。747ccDOHC直列4気筒エンジンは独特の油冷システム(SACS)を備え、最高出力77PSを発生する。
しかし最大の特徴は、なんといってもその軽量に尽きる。当時のナナハンクラスとしては驚異的な乾燥重量179kgを実現し、400cc並の超軽量を誇っていた。
バイクが軽いということは、すなわち扱いやすいということであり、どんなヘタクソでも多少はうまく走れる可能性があるということだ。それまで重量級のKATANAにしがみつき、いつもめそめそ泣きながら運転していたタカハシが軽量GSX-Rに期待を寄せたのも自然のなりゆきだといえるだろう。

060708m02だが現実はそんなに甘くない。バイクの操縦性は、乾燥重量だけではなく、フレームレイアウトや重心位置などさまざまなファクターが絡み合って決まる。GSX-Rはたしかに軽かったが、なぜかコーナーの寝かし込みは異常に重い。そのくせちょっと傾きはじめると、今度はとたんに軽くなり、一気にガツンとフルバンクまでいってしまう。「軽すぎるとヒラヒラして危ない」と考えたメーカーが余計なお節介をしたんじゃないかと邪推したくなるよーな奇妙な操縦性だった。

060708m03とはいえタコライダーにとっては、むちゃくちゃ軽くてペカペカ曲がりまくるバイクより、多少ノロマなバイクのほうが安全なのも確かなので、とくに改造などはせず、最後までフルノーマルのまま乗っていた。
細かいことに文句さえいわなければGSX-Rの軽量ボディの恩恵は絶大で、胸のすく加速力と強烈なストッピングパワーがあり、公道用としてはじゅうぶんすぎる性能だった。だが、それでもタカハシはあまりうまく走れなかった。素晴らしいバイクの性能に較べ、ライダーの性能があまりにも貧弱だったからである。

060708m04このGSX-Rを最後にタカハシが大型バイクを降りて約20年、当時は未熟だった日本のバイク製造技術も長足の進歩をとげた。もうそろそろ、どんなタコライダーでも乗った瞬間にGPライダーのようにビンビン走れるフルオート運転機能付きの最新バイクが発売されている頃ではないだろうか。近いうちにバイク屋に行ってカタログをチェックしてみたい。

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2006.06.19

HONDA イーハトーブ

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交通社会のハズレ者同士だという連帯感からか、バイクライダーにはふしぎな仲間意識がある。見知らぬ土地で見知らぬ同士がピースサインを交わしたり、気軽に話しかけたり、初対面でバイクの貸し借りをすることも珍しくない。ただ、相手の技量がわからないうちにマシンを貸すのはちょっとリスキーだ。まともなライダーだったらいいのだが、ごくたまにタカハシのようなタコライダーがまじっていて、貸したとたんに暴走&転倒し、マシンを大破させることがあるからだ。
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このHONDA イーハトーブは、このあいだ山の中で出会ったライダーが貸してくれたトライアル系バイク。1981年製の古いマシンで、8.5psの124cc空冷4サイクル単気筒SOHCエンジンが付いている。パワーはたいしたことないが、軽くて扱いやすく、じゅうぶんよく走る。腕のいいライダーなら、自在に崖を登ったり、段差を乗り越えたり、華麗なエアターンをキメたりできるだろう。タカハシでさえちょっと頑張れば、自在に崖を転がり落ちたり、段差でひっくり返ったり、無惨な逆さ吊りをキメたりできるほどだ。
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最新鋭の高性能トライアラーに較べるといくらか見劣りするものの、初心者の練習にはこのくらいのユルい性能がちょうどいい。本来なら多少壊れてもほとんど金をかけずにパッと直せるのもいいところだったはずだが、今では部品が調達できなくなって、いったん壊すと直すのにひどく苦労するそうだ。
今回は珍しくマシンを大破させずに返却できて何よりだった。オーナーは幸運の女神に深い感謝の祈りを捧げるべきである。

※photo by H."Supersonic bio-mecha-borg"Athupiro

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2006.06.11

KAWASAKI KS-2

060611m01_1最近のバイクメーカーの製品ラインナップを見て、あまりの貧弱さに驚いた。とくに小型オフロードバイクは、すでに絶滅の危機に瀕しているといってもいい。
パワーと車格のある本格的オフロードバイクを乗りこなすには高度なテクニックが必要で、タカハシのようなヘタレライダーが巨大な250ccだの650ccだのに乗るのは自殺行為にも等しい。そもそも大きなバイクだと足が着かず、フツーにまたがることさえできない。小型バイクがなくなれば、ヘタレライダーはオフロードを走る権利を失うことになるのだ。060611m02_1

写真はカワサキの超小型バイク、KS-2だ。空冷2サイクル単気筒79ccエンジンでキビキビ走り、オフロードもそれなりにイケる。なによりもちゃんと足が着くのがいい。88年に発売されて好評を博し、その後水冷化されてKSRシリーズに発展。現在は4サイクルとなり、KSR110として命脈を保っている。

タカハシはKS-2のオーナーになったことはないが、よく友達のを借りて乗っていた。小さいから狭い場所でも遊べ、ヘタレはヘタレなりに楽しめる。また、はしゃぎすぎて転倒した場合も、早めにバイクを放り出してしまえば、バイクだけはぐちゃぐちゃに壊れても、ライダーは転ばず、まったく無傷ですむことが多い。じつに楽しく安全なバイクだった。
060611m03_1ただタカハシが転倒したとき、オーナーはライダーの無事を喜ぶどころか、なぜかムッとしてこちらをにらみつけたり、口をきいてくれなくなったり、石やスパナを投げつけてきたりしていた。なぜ素直にライダーの無事を喜び、互いに手を取り合って祝福する気持ちになれないのだろうか。まさに驚くべき心の狭さだといえよう。
それでもタカハシは慈悲と博愛の心をもって、つねにこのオーナーの狭量をゆるし、毎回かならずバイク遊びにも誘い続けてやっていたのだが、やがていくら誘ってもぜんぜん来なくなった。おかげでKS-2に乗れなくなってしまい、残念でならない。

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2006.05.15

HONDA CB125T

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125ccクラスには単気筒エンジンが多いが、このバイクは2気筒エンジンを搭載している。でも高性能スポーツバイクではない。街のオヤジたちが配達や営業に使う実用車の一種だ。
タカハシは1991年にヨーロッパ一周ツーリングをしたとき、現地のバイク屋から「最低でも500ccか1000ccが要る」と忠告されたが、そんな大きなマシンはバカ高くて買えなかったから、この125ccを使った。イギリスで中古を買い、3カ月ほどかけて9カ国を回り、再びイギリスに戻って売却。1199ポンド(当時のレートで約30万円)で買ったバイクだが、売ったときは250ポンド(約6万円)だった。思いがけず激安出血大奉仕セールになってしまったのは、イタリア走行中に両方のピストンとシリンダー、それにバルブとクランクシャフト、つまり平たくいえばエンジン全体を丁寧にまんべんなく壊してきたせいだ。
060515m02当時イタリアではこのバイクのパーツが手に入らず、どのバイク屋でもエンジンの修理はできなかった。やむなく自力でキャブレターをいじって低速側だけで走れるように調整し、エンジンのダメージを最小限にとどめながらゴールを目指す作戦に出た。一時は足で漕がないとぜんぜん進まない状態にまで陥りながらもなんとかイギリスへ帰れたのは、まあまあ幸運だったといえる。もっとも、ほんとに運がよければ最初からエンジンが壊れたりしないもんだが。
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124cc空冷4サイクルOHC2気筒、最高出力15ps、5速リターンミッション付き。スペックを見てるだけでマンダム系整髪料のにおいがプンプン漂ってくる極めつけのオヤジバイクだ。いうまでもなく性能面に見るべきところは何もない。
それでも長旅を共にしたマシンには愛着があるものだ。今でも街で働くこのバイクを見かけると、なんとなく嬉しい。遠いまなざしでマシンを眺め、あの頃はまだケツが青かったとほほえむ。頭の先からつま先まで全身完全オヤジ化された現在のタカハシが白いジェットヘルをかぶれば、きっとCB125Tが怖いほどよく似合う。そうは思うものの、じゃあもう一度乗りたいのかと訊かれると、じつはそんなでもないのがオヤジバイクのオヤジバイクたるゆえんである。
上から2番目の写真はドイツのメルヘン街道でのショット。3番目はドーバー海峡のフェリーポート。最後の写真はイギリスに帰って遊んでいるところだ。
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2006.05.07

HONDA XL80S

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1980年に発売されたホンダの小型トレール、XL80S。79cc空冷4サイクルOHC単気筒のエンジンは、最高出力6.3馬力とスペック的にはパッとしないものだが、中低速から粘り強いトルクが出て、初心者には扱いやすいバイクだった。
写真のXLは高校時代に中型免許をとって400ccに乗り始めた直後、バイクの練習用にと友達のポンコツを2万5000円で譲り受けたもの。買ったあとで、モトクロス用のノビータイヤと大量の河原の泥を取り付け、ドレスアップした。
ちょっとした林道走行でもすぐボトミングする悲惨なサスペンションや、原チャリにも劣る非力なエンジン、水に濡れるとあっという間に動かなくなる電装系など、困った点もいくつかあったが、いちおうダートが走れたし、ツーリングもできた。バイクの練習もちゃんとできた。しかしいくら練習しても全然うまくならなかったのだけがたいへん残念だ。060507m02

このバイクは現在もまだタカハシの手元にある。20余年もの長きにわたる熟成を経て、今ではサスペンションがボトミングすることはなくなり、原チャリと勝負して負けるおそれもなくなった。水に濡れたくらいでいちいち電装系を心配する必要もない。すでにまったく動かない、たんなる鉄屑となっているからである。

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2006.04.25

GSX750S KATANA

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82年に発売されたスズキのナナハン、初期型GSX750S。最高出力69psの空冷直列4気筒747ccDOHCエンジンを搭載し、乾燥重量222kgのマシンを走らせる。
ドイツの工業デザイナー、ハンス・ムートが手がけた斬新なデザインで話題を呼んだバイクだが、当時の運輸省の規制のため、国内版はオリジナルデザインとは似ても似つかぬ無惨な姿で売られていた。とくに耕耘機そっくりのハンドルは大不評もいいところで、KATANAライダーの99.999%はバイク購入と同時にハンドルを外して近所の農家に売り飛ばし、代わりに改造ハンドルを買ってきて取り付けるのが習わしだった。もちろん違法改造だから、しょっちゅう白バイに捕まって反則金を払うことになるが、耕耘機で峠を走る恥辱に較べれば、そんなことはたいした問題じゃなかったのだ。060425m04_1でも当時から貧乏だったうえに、まるっきり改造に興味がなかったタカハシは、中古で車体を買ってから手放すまで、ずっとフルノーマルの耕耘機状態のまま乗り続けていた。その間、どれだけ多くのライダーに「なんで改造しないの?」と訊かれてもまったく取り合わずにいたが、白バイ警官にまで「なんで改造しないの?」と訊かれたときだけは、ちょっとくらい改造しておけばよかったと反省させられた。

060425m03_1当時タカハシは、仲間から「セミ」と呼ばれていた。背の低い男が無理して大きなKATANAにしがみついている姿がセミの抜け殻みたいでカッコ悪かったからだ。たしかにKATANAはデカくて重い。しかし操縦性は素直で、ライダーに特別なテクニックがなくても簡単に走らせられる。意外と誰にでも扱える乗りやすいバイクなのだ。
ただ、しばらく乗ってるうちに、チェーンがぶちぶち切れたり、スプロケットがもぎ取れたり、オーバーヒートでエンジンのパーツがボーボー燃えはじめたり、フレームが曲がったりして、最後には全然まともに走らなくなったので、やむなく売り払ってしまった。
それにしても、KATANAを買い取ったバイク屋は、あのバイク型鉄屑をどうやって処分したんだろう。20年経った今でも、まだちょっと気がかりだ。
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