カンナムスパイダーF3/RT @ アウトライダー
カナダ・カンナム社のスパイダーはトライクの一種だ。前2輪・後1輪という独特のホイールレイアウトをもち、傾かずにコーナリングする異形のマシン。法律上は、普通免許があればノーヘルでも乗れる「側車付き二輪車」ということになっている。
ラグジュアリー版のRT(ゴールドのほう)は、大型トランクを備えた豪華ツーリング仕様。いっぽうF3(赤いほう)はスパルタンな軽量スポーツ仕様だ。
エンジンは両者共通でロータックス製1330cc直列三気筒。いずれも最高出力115psだが、約100キロもの車両重量差と電子制御の違いで乗り味は全然ちがう。
スポーツタイプのF3でもエンジンはわりかし乗用車チックでジェントルだが、停止状態からアクセルをガバ開けすると、軽くリアがスキッドするほどの瞬発力が楽しめる。しかもアンチロック・ブレーキや、トラクション・コントロールといった電子制御満載だから、どんなヘタクソが乗ってもズルけてとっちらかる心配はない。
ガレガレの林道は無理でも、駐車場っぽいフラットダートなら、余裕でオフロード・ランも楽しめる。
なんといっても、スパイダーは三輪だから絶対転倒しない。
あらゆるバイクを転ばせまくり、あらゆるオーナーから蛇蝎のごとく嫌われている転倒職人タカハシが乗っても、傾く気配すらみせない恐るべき安定性だ。
でも、トラコンがきいてるせいで、リアが滑るのはほんの一瞬だけ。安全なのはいいが、ガチのダートマニアにはちょっと不満も残る。トラコンをオフにできれば、有り余るパワーで病的に滑り狂って楽しめそうな気もするが、よっぽど改造でもしない限り、そういうアホ設定にはできないようだ。
始動やバックには複雑なボタン操作が必要だし、ブレーキは右のフットペダルのみと、操作系はかなり独特。バイク乗りでも、クルマ乗りでも、慣れるまでにはやや時間がかかる。
シフトはクラッチなしの6速セミオートマ。左手の親指でアップ、人差し指でダウン操作をする。ダウンはフルオートだからいちいち操作しなくてもいいが、自動だとマシンがわずかにプッシュされるクセがある。本気でガッツリ攻めるときはダウンも自分でやったほうがスムーズだ。
コーナリングは超イージーで、ただ左右にポンとハンドルを切るだけ。
とはいっても、ハード・コーナリングでは強烈なGフォースがかかる。いいかげんに乗ってると振り回されるから、バギーなどのATVと同じようにアウト側のステップをふんばってインに肩を入れ、Gに対抗したほうが安心だ。
とはいえATVのようにライダーの体重移動でコーナリング特性が激変するような神経質さはなく、たんにライダーが吹っ飛ばされないように乗ればいいだけだ。誰でも簡単に曲がれることに変わりはない。
スパイダーは、ライダーにはクルマの快適さを、ドライバーにはバイクの自由を与えてくれる、おいしい三輪スポーツマシン。ちょっと高価なので、貧乏イラストレーターが所有するのは難しいが、ハーレーを買える程度の経済力があるマトモな大人になら、バッチリお薦めの1台だ。
今回は、バイクツーリング雑誌『アウトライダー』の企画でカンナムスパイダーをフィーチャーすると聞き、珍妙なマシンに乗りたい一心で、逃げ回る編集&ライターを拝み倒してムリクリ取材に同行してきた。
タカハシはただあちこちブンブン走り回って遊んできただけで、記事はほとんど書いてないが、「謎の高橋画伯」として無意味に誌面にだけは登場している。
どことなくアホっぽく、いくらか昭和っぽく、かぎりなく中東の戦闘員っぽい雄姿がフルカラー&ハイビジョン画質で掲載されているので、タカハシの自爆系ミドルイースト・ファッションに興味のある人は(いないと思うが)購入・熟読・吟味・憧憬・模倣するといいだろう。バイクブロスから現在絶賛発売中だ。
カンナムスパイダーは、スノーモービルやカートなど、レジャービークルを数多く取り扱うBRPジャパンが販売している。詳細のチェックと問い合わせは下記サイトから。
■BRPジャパン WEB SITE■
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