2015.11.19

カンナムスパイダーF3/RT @ アウトライダー

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カナダ・カンナム社のスパイダーはトライクの一種だ。前2輪・後1輪という独特のホイールレイアウトをもち、傾かずにコーナリングする異形のマシン。法律上は、普通免許があればノーヘルでも乗れる「側車付き二輪車」ということになっている。

151119m02acanamspyderラグジュアリー版のRT(ゴールドのほう)は、大型トランクを備えた豪華ツーリング仕様。いっぽうF3(赤いほう)はスパルタンな軽量スポーツ仕様だ。
エンジンは両者共通でロータックス製1330cc直列三気筒。いずれも最高出力115psだが、約100キロもの車両重量差と電子制御の違いで乗り味は全然ちがう。

151119m02bcanamspyderスポーツタイプのF3でもエンジンはわりかし乗用車チックでジェントルだが、停止状態からアクセルをガバ開けすると、軽くリアがスキッドするほどの瞬発力が楽しめる。しかもアンチロック・ブレーキや、トラクション・コントロールといった電子制御満載だから、どんなヘタクソが乗ってもズルけてとっちらかる心配はない。

151119m03canamspyderガレガレの林道は無理でも、駐車場っぽいフラットダートなら、余裕でオフロード・ランも楽しめる。
なんといっても、スパイダーは三輪だから絶対転倒しない。
151119m04canamspyderあらゆるバイクを転ばせまくり、あらゆるオーナーから蛇蝎のごとく嫌われている転倒職人タカハシが乗っても、傾く気配すらみせない恐るべき安定性だ。

でも、トラコンがきいてるせいで、リアが滑るのはほんの一瞬だけ。安全なのはいいが、ガチのダートマニアにはちょっと不満も残る。トラコンをオフにできれば、有り余るパワーで病的に滑り狂って楽しめそうな気もするが、よっぽど改造でもしない限り、そういうアホ設定にはできないようだ。

始動やバックには複雑なボタン操作が必要だし、ブレーキは右のフットペダルのみと、操作系はかなり独特。バイク乗りでも、クルマ乗りでも、慣れるまでにはやや時間がかかる。
151119m05canamspyderシフトはクラッチなしの6速セミオートマ。左手の親指でアップ、人差し指でダウン操作をする。ダウンはフルオートだからいちいち操作しなくてもいいが、自動だとマシンがわずかにプッシュされるクセがある。本気でガッツリ攻めるときはダウンも自分でやったほうがスムーズだ。

151119m06canamspyderコーナリングは超イージーで、ただ左右にポンとハンドルを切るだけ。
とはいっても、ハード・コーナリングでは強烈なGフォースがかかる。いいかげんに乗ってると振り回されるから、バギーなどのATVと同じようにアウト側のステップをふんばってインに肩を入れ、Gに対抗したほうが安心だ。

151119m07canamspyderとはいえATVのようにライダーの体重移動でコーナリング特性が激変するような神経質さはなく、たんにライダーが吹っ飛ばされないように乗ればいいだけだ。誰でも簡単に曲がれることに変わりはない。

スパイダーは、ライダーにはクルマの快適さを、ドライバーにはバイクの自由を与えてくれる、おいしい三輪スポーツマシン。151119m08canamspyderちょっと高価なので、貧乏イラストレーターが所有するのは難しいが、ハーレーを買える程度の経済力があるマトモな大人になら、バッチリお薦めの1台だ。

今回は、バイクツーリング雑誌『アウトライダー』の企画でカンナムスパイダーをフィーチャーすると聞き、珍妙なマシンに乗りたい一心で、逃げ回る編集&ライターを拝み倒してムリクリ取材に同行してきた。
タカハシはただあちこちブンブン走り回って遊んできただけで、記事はほとんど書いてないが、「謎の高橋画伯」として無意味に誌面にだけは登場している。

151119m09canamspyderどことなくアホっぽく、いくらか昭和っぽく、かぎりなく中東の戦闘員っぽい雄姿がフルカラー&ハイビジョン画質で掲載されているので、タカハシの自爆系ミドルイースト・ファッションに興味のある人は(いないと思うが)購入・熟読・吟味・憧憬・模倣するといいだろう。バイクブロスから現在絶賛発売中だ。

カンナムスパイダーは、スノーモービルやカートなど、レジャービークルを数多く取り扱うBRPジャパンが販売している。詳細のチェックと問い合わせは下記サイトから。
■BRPジャパン WEB SITE■

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※PHOTO by Takeshi Narumi / Yasuyuki "NEGI"Nogishi

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2012.07.13

白馬デューンバギーアリーナ

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120713m01_2120713m02_3白馬デューンバギーアリーナは、国内では珍しいタイム計測付きのバギーコースだ。長野五輪で活躍した巨大なスキージャンプ台を仰ぎ見る白馬山麓にある。東京からちょっと足をのばして走りに行ってみた。

デューンバギーというのは、砂地用のオープンボディ・カーのことだ。白馬のマシンは、米国ハンマーヘッド・オフロード社製の150GT。油冷4ストローク単気筒150cc12馬力エンジンを積んだ2シーターで、四輪駆動っぽく見えるが、リアエンジン・リア駆動の二輪駆動車だ。自動遠心クラッチ付きでシフトチェンジ不要のイージードライブになっている。

120713m03120713m04120713m05トラックは反時計まわりで、一周およそ300mのフラットダート。クラッシュパッドとパイロンで作られた大小8つのコーナーをもつテクニカルコースだ。

走ってるところを外から見てると、なんだかトロくさく見えるバギーだが、じつは意外に迫力もスピード感もある。サスがプアなため、ちょっとギャップを拾うだけで車体がバカスカ弾み、ぐらんぐらん揺れまくるからだ。

コースにはブレーキングポイントがひとつもないから、いったん走り出してしまえばスロットルとステアリング操作だけで簡単に周回できる。
控えめなパワーと大型バルーンタイヤのおかげで限界挙動もコントローラブル。「めいっぱい踏めばチョコッとリアが出る」とゆー程度のおっとりした設定だから、誰でも安全にドリフトごっこが楽しめる。

120713m06120713m07ただ、マジになってタイムを出そうとすると、非力なエンジンを効率よく使うのが難しく、なかなか簡単にはいかない。目標タイムは初心者で50秒切り、中級者で48~46秒、上級者なら46秒切りが目安になる。

速くなりたい人には、コーススタッフが親切に攻略法をレクチャーしてくれる。「アクセルは踏みっぱでもいけるが、ずっと全開だとかえって遅くなる」とか「ターン前半で旋回を済ませ、後半はなるべく直線的に立ち上がるとよい」といったコツがあるそーだ。

120713m08白馬デューンバギーアリーナは、ガチガチのスポーツ系ドライバーが低ミュー路でドラテクを磨くにもいいし、子供や女性などのビギナー系ドライバーがダートスポーツを初体験するにも最適だ。
また、気分だけはトップレーサーだが技術がぜんぜんついていってないヘタレなタカハシ系ドライバーなら、コーナーでとっちらかってクラッシュパッド激突ショーを演じたり、上部消化管系を激しくシェイクされて気分が悪くなり、軽くゲロって酸っぱい気分を満喫することもできる。(←できても嬉しくはないけど)

120713m09どんなドライバーでも、ニーズとレベルに合わせてバギードライブを楽しめるので、白馬のジャンプ台見物がてら、一度立ち寄ってみるといいだろう。
走行料金は3周1000円(初回のみ1500円)。こんなんじゃ周回数が物足りないとゆーガテン系マッスルドライバーは月曜日を狙おう。月曜割引キャンペーン中なら、同じ料金で5周走れるそうだ。
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※料金等は2012年7月現在。
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2010.10.04

YAMAHA GRIZZLY125

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栃木県の那須バギーパークで四輪バギーに乗ってきた。

101004m01ATV(オール・テレイン・ビークル=全地形対応車)とも呼ばれる四輪バギーは、その名のとおり、砂地や泥地、雪道といった悪路を走るために作られたクルマだ。たいていオフロード用の大型バルーンタイヤを履き、バイクっぽいバーハンドルが付いている。ただしスロットルは、バイクのような回転グリップ式じゃなく、レバー式がほとんどだ。

コーナリング特性は四輪に似ているが、極端なアンダーステアやオーバーステアが出やすく、乗用車に較べると安定性は遥かに劣る。
101004m02車幅のわりに重心が高く、フルコーナリング時には、ライダーがイン側に荷重しないと簡単に横転してしまうのも特徴だ。転倒を防ぐため、ライダーがボディアクションを駆使して走るという点ではバイクに似ているともいえる。

バイクライダーにはいかにも乗りやすそうなATVだが、操縦性はバイクとだいぶ違うから注意が必要だ。
まず、絶対に足を着いてはならない。バイクライダーというものは、マシンの挙動が乱れると、チョコッと足を着いて立て直したがる安直な生き物だが、そのクセのせいでATVの巨大な後輪に足を巻き込まれ、のたうち回るケースが散見される。
101004m03また、曲がるときにハンドルを切るのを忘れてはいけない。左右への荷重移動で半自動的にコーナリングが始まるバイクとは違い、ATVはライダーがハンドルを切らないと曲がらない。四輪ドライバーはまさかと思うかもしれないが、うっかりハンドルを切り忘れてコーナーに突っ込み、そのまま真っ直ぐコースを飛び出す哀しいライダーが後を絶たないのだ。

那須バギーパークの主力四輪バギーは、ヤマハGRIZZLY 125。SOHC空冷4ストローク単気筒124ccエンジンと自動遠心クラッチ&無段変速を搭載した入門クラスのATVだ。

101004m04ゆっくり走れば安全なATVだが、フロント荷重のままステアリングをこじったり、アクセルを開けながら不用意にステアリングを切ると、とんでもない方向にすっ飛んでいくことがある。ファニーな見た目に似合わず、操縦性は意外と凶悪なのだ。
そのため那須バギーパークのATVは、アクセル開度を60パーセント程度に制限してある。全開の6割しかパワーが出ないんだから、たいていの場合はこれで安全というわけだ。
が、ライダーのテクニックが標準ライダーの6割を割り込む低レベルだと話は別で、これではまだ安全じゃないのは理の当然ともいえる。タカハシのように、標準ライダー比で3割弱のテクニックしかないタコライダーが無思慮に激走した結果、どんな大惨事が起きたかは、諸賢の想像に任せたい。

101004m05那須バギーパークでは、1周800円(大人用・125cc)払えば、ライセンス不要で誰でも即バギーライダーになれる。トラックは1周約600メートル、全面ダートだが、すみずみまで手入れが行き届いて美しい。適度なアップダウンとギャップがあり、ダウンヒルではそれなりのスピード感も楽しめる。

カップルには、二人乗りバギーもお薦めだ。こちらは1周1200円。乗用車っぽい操作系で運転も簡単だ。
台湾Carter社製のダートカーだが、エンジンが非力な4ストローク150ccだから、いくら全開にしてもドリドリの大激走とはいかない。しかしある調査によれば、このマシンに乗る男性ドライバーの95パーセントは、ナビゲーターとの心の距離を縮めることには異常に執着する反面、エンジンやサスペンションといったメカニカル・ファクターにはぜんぜん関心がないため、この程度のパフォーマンスでも、サービスの満足度はきわめて高いそうである。
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※料金等は2010年9月時点

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