HONDA JAZZ

アメリカンバイクは、大きくプルバックしたハンドルや低いシート、レイダウンしたフロントフォークなどを特徴としている。この独特のレイアウトによって、ライダーは、いわゆるホースバック・ライディングとよばれる、ふんぞり返るようなフォームを強いられる。曲がりにくく、加速しにくく、止まりにくいうえ、見た目以上に疲れもする。走行性能という点では、アメリカンは欠点だらけのバイクだともいえる。
でも、なぜか根強い人気がある。バイクといえば、ハーレー・ダビッドソンのアメリカンバイクを思い浮かべる人も多いほどだ。
走行性能には劣るアメリカンバイクだが、400ccを上回る大排気量車ともなれば、強大なトルクやバイブレーションとともに、おおらかな乗り味が楽しめるのが美点だ。しかしこのホンダJAZZは、きわめて本格的なアメリカン・スタイルを採用しているにもかかわらず、わずか49ccの非力な空冷OHC4サイクル単気筒エンジンで走る。パワーはたったの4ps、ミッションもプアな4速リターン式だ。
こんなちぐはぐな設計では、いくらカッコだけよくても、まともに走るバイクにはならない……と考えるのが普通だが、じつはJAZZは意外に面白い。本来なら大排気量車にしか与えられないゆったり感がそのままスケールダウンされたようなのどかな乗り味で、従来のチョコマカした50ccスポーツバイクにはなかった異次元感覚が味わえる。パワーと運動性はいずれも低レベルだが、絶妙にバランスしているため、近所のコンビニにノロノロ買い物に行くだけでも、じゅうぶんスポーツ・ライディングが楽しめるのだ。
1986年の発売直後、友人・H.Atyupiro(の兄)が購入したJAZZに乗ったのを皮切りに、なにかと縁があってちょくちょく乗った。最終的には知人から中古を譲ってもらって自分でも乗った。だが、一度パンクしてからは、修理が面倒くさくてガレージにほったらかしにしていた。たしかに楽しいんだが、かといって乗りたくてたまらないバイクってわけでもなかったからだ。
東京への引っ越しを機に、修理してまた乗ろうかなと思っていたら、先日ガレージから姿を消しているのを発見。どうやらどこかの悪党に盗まれたらしい。ひょっとしたらゴミと間違えて捨てられたのかもしれないが。失って惜しい気がする反面、まあそれはそれで構わないかなとも思うビミョーなバイクだった。
写真は1985年当時、大学構内でJAZZを全開発進させているところ。知人が撮影してくれた。レンズに取り付けられたクロスフィルターが、昭和の少女マンガっぽく、やたらビカビカと星の散りばめられたセンチメンタルな画像を演出しているが、そのへんはあまり気にしないでほしい。


Comments
懐かしいですね、でもあのJAZZは僕のじゃなくて兄のでしたよ。勝手に乗り回してたけど。
Posted by: H.Atyupiro | 2008.02.27 at 12:49
お、そうですか。あれはお兄さんのバイクだったのか……。
でも、まるで自分のもののよーに乗りまわしてましたよね。そして、JAZZは独特の味のあるバイクでした。めちゃくちゃ遅いのに、なぜかおもしろくて、素晴らしいマシンだったなーと思ってます。
Posted by: 高橋 | 2008.02.28 at 00:09
Jazzは1986発売でOHCですよ~
http://www.honda.co.jp/news/1986/2860414.html
Posted by: AC09 | 2009.03.20 at 04:19
おあ! ホントだ。なんで間違えちゃったんでしょー。西暦だけならまだしも、いくらなんでもOHVって……。トホホ、まったく情けない~。
ご指摘ありがとうございました! さっそく修正しておきました~。これからもよろしくお願いしますね♪
Posted by: 高橋 | 2009.04.10 at 18:06