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2014.10.31

個展『水銀時計』

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東京・吉祥寺の個展『水銀時計』が無事に閉幕した。

年に一度の東京展としてすっかり定着したおかげか、吉祥寺という街の土地柄のためか、今年も多くのお客様に囲まれ、あたたかいさざめきのなかで過ごした6日間だった。

141031nijigaro02_2その間、お客様から何度か「表題作の水銀時計ってほんとにあるもの?」と尋ねられた。

むろん水銀時計なんてものは現実には存在しない。ただの空想の装置だ。

水銀は常温で液体の形をとる、きわめて特殊な金属だ。わざわざ水俣病の例を持ち出すまでもなく、強い毒性があることでもよく知られている。

その反面、水銀は奇妙に美しい。小さい頃は、よく体温計を割って取り出した水銀の玉を手のひらで転がし、謎めいた銀色にみとれたものだった。

141031nijigaro03僕ら人間も、自然を傷つけ、破壊しながら生きる、いわば有毒の動物だ。その反面、時として人間のありさまは他のどんな自然物よりも美しい。

水銀の奇妙な性質は、どこか人間の矛盾を思わせる。
そのせいで、なんだか心をひかれてしまうのかもしれない。

141031nijigaro04多くの古なじみのお客様と話し、多くの新しいお客様と出会った個展だった。十年一日ともいえる、毎度さほど変わり映えのしない作品展にもかかわらず、多くの人に助けられ、休まず続けられていることがうれしい。

個展は、絵描きが作品をひけらかす場ではなく、作品を通じてお客様とふれあい、心をかよわせ、人間のふしぎの奥底に触れる貴重な機会なのだろう。

たくさんのご来場ありがとうございました。
引き続きよろしくお願いいたします!

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