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May 2009

2009.05.29

美術手帖 2009.05

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ときどき「あんたはイラストレーターだから美術に詳しいだろう」と云われることがある。が、残念ながら僕の仕事はいわゆる美術とは縁もゆかりもなく、そっち方面の知識もまるでない。むろん美術雑誌に作品を載せてもらったこともない。
なのに、わざわざこの『美術手帖』を買ってきたのは、名物連載「ホルベイン 画家たちの美術史」で、現代美術家 法貴信也(ほうき・のぶや)が取り上げられていたからだ。

法貴信也は、特異なナゾの巨大ドローイングを中心に精力的に制作を続け、国内はもとよりアメリカ、ドイツ、イタリア、オーストラリアなど、海外でも展覧会を開くアーティストだ。
そして彼は、僕にとっては2歳年下の実弟にあたる。

「偉大なる断絶と恐るべき創造」と銘打った中井康之氏によるこの記事は、「あるイメージを描きながら、その画像に付与した意味性を完全に排除する、という無謀な試み」とか、「単層の多層化」とか、わが弟の思考と創作の課程を緻密に分析している。
でも悲しいことに、頭カラッポの兄にはあまりにも高尚すぎてなかなか理解が及ばず、「これってもしかして、「ネコちゃんかわい~♪」なんつって、ろくに考えもせず絵を描いてちゃマズイってこと?」という、やや幼稚な不安にさいなまれ、なんだかシクシクおなかが痛くなってきただけだった。

09052902それにしても、こんなことでもないと、マトモに美術に触れる機会がないってのは、たしかにちょっと考えものだ。
いやしくも芸術家(の兄)たるもの、正体不明のまずい菓子や、低俗安価なオモチャにばかり執着し、貴重な時間と心のエネルギーを浪費していてはいけない。たまには美術雑誌を読むとか、展覧会に足を運ぶとか、寄席で伝統芸能を楽しむとか、秋葉原のメイドカフェでお茶を飲むとか、コンビニでマンガを3冊続けて立ち読みするとか、そういう文化芸術に親しむ機会をもっとたくさんもたないとマズイだろう。
できれば今後は「お菓子8 オモチャ1 美術1」くらいの割合で人生の時間配分を心がけてゆきたいものである。

『美術手帖』は、色鉛筆を塗りたくった紙を売りさばいて糊口をしのぐ通俗イラストレーターのみならず、一般の美術ファン諸兄諸姉にもお薦めできる一冊。「アートの旅へ行こう!」という美しい特集を構え、美術出版社より1600円で高踏的に刊行中だ。

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2009.05.28

100円モーター実験室

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ついに自然科学が100円で叩き売られる時代がやってきた。これは近所の百均で買った科学実験キット「おもしろ実験室 手作りモーター」だ。

中国テイストバリバリの版ズレ印刷で彩られたパッケージには、「なぜモーターが回転するのか分かるかい?」と挑発的なセリフを吐くステロタイプな博士の絵が描かれている。

おいバカにするなよ、博士! そのくらい誰でも知ってるって!

09052802モーターってものは、フレミングの左手の法則とかアンペアの法則とか、まあだいたいなんかそういった法則類が、いわゆる何かをどうにかこうにかいろいろ電磁誘導することにより、ぐるんぐるん回転してるに決まっているではないか!
これは電気工学の教科書の「第一章・第一部・電気とは」の次のページに必ず出てくる、いわば基本中の基本。もし大人の日本人で電気モーターの原理を知らない奴がいたら、即座に打ち首にされても文句はいえない国民的常識のひとつである。

が、実際にモーターを作るとなると、コトはそう簡単ではない。一般に機械は、その原理や構造が簡単であればあるほど、逆に工作が難しいというジレンマをもっているからだ。

09052803100円なら激安だと思ったこのモーターも、キットの中身は、タダのかまぼこ板と磁石、エナメル線、リード線、クリップ、紙やすりの切れっぱしだけ。見た目的には完全にゴミ同然の、ごく簡単な内容だ。これで100円とるのは、むしろ暴利じゃないかとさえ思われる。
だが、だからこそ工作はチャレンジングで困難をきわめた。2時間近くも四苦八苦してようやくモーターが完成。電池(もちろん別売)をつないで、ぐるんぐるん回転しはじめたのを見たときには、ホッと胸を撫で下ろした。

09052804モーターを作り上げる苦労、そして回転したときの喜びは、たしかに絶大なものだ。
しかしその一方、味わい深いイラスト付きの説明書のどこを読んでも動作原理の詳しい解説がなく、モーターの原理については最後までスッキリせずじまい。ぐるんぐるんと激しくも無意味に回転し続けるモーターを見つめ、「こんなことに貴重な電気エネルギーをムダづかいしていいんだろうか……」と、ついあらぬエコ心まで芽生えてしまうナイスな科学教育キットである。

税込み105円でパルスが販売している。中国製。万人が学び楽しめるキットなので、ぜひとも購入し、日がな一日ぐるんぐるんぐるんぐるん回しまくるといいだろう。
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2009.05.16

俳句力

09051601『俳句力 上達までの最短コース』は、櫂 未知子(かい・みちこ)さんが書いた俳句実作の手引き書だ。カバーイラストにミニチュアシリーズの「祈りの丘」を使ってもらった。

いまさら説明するまでもなく、俳句は日本人なら誰でも知っている、五・七・五、計17音という極度にコンパクトな構成をもつ定型詩だ。
警察が市民に交通安全を訴えようと、ときには脇見運転による交通事故を誘発するのさえ厭わず、道路わきの看板に書き散らしている交通標語のたぐいも、たいてい俳句っぽい五七五で作られている。また日本のラップミュージシャンは、うっかり気を緩めて歌っていると、いつの間にか気持ちよく七五調にハマっていて、脱出するのに、ほとんど死の苦しみを味わうともいう。

それほど深く日本人の言語感覚にしみついている詩のスタイルだけに、日本人なら一句や二句、詠んだことがある人も多いだろう。しかし身近すぎるせいか、詳しいこととなると、かえってまるで知らないのが普通だから、俳句上達に苦労している人は案外たくさんいるかもしれない。

本書は俳句の実作をステップ・バイ・ステップでわかりやすく解説している。後半には、旧仮名づかいや季語の用法といった、中・上級者向けの高度な内容も含まれているが、俳句実作の初心者や、まったく俳句を知らない門外漢でも楽しめる。下は国語の初等教育を辛うじて修了した無学なアホイラストレーターから、上は一流大学で国文学を専攻したインテリ系文学オタクまで、大半の日本人にお薦めできる好著だ。

定価1200円、角川学芸出版から刊行中。

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2009.05.14

塩付きスイカグミ

09051401そろそろスイカの季節である。つまり、そろそろスイカグミの季節でもある。

写真のスイカグミは、たんなるスイカグミではない。塩っぽいツブツブをくっつけることで、よりいっそう「スイカ感」の向上を図った新開発のグミキャンだ。

が、たしかにスイカの味はするし、けっしてまずくないにもかかわらず、どうもスイカ感が薄い。それは、スイカはスイカでも「スイカの皮の味」を再現してしまい、「スイカの赤いところの味」がイマイチ再現できなかったためだ。

さて周知のとおり、スイカの皮の味とは、つまりキュウリの味のことである。
これを前提に三段論法をもちいて演繹したところ、

1・スイカグミはスイカの皮の味がする

2・スイカの皮の味はキュウリの味に等しい

3・ゆえに、スイカグミはキュウリグミである

という、驚きの結論を得た。

スイカグミは、じつはなんとキュウリグミだったのだ!
この驚愕の事実が判明した以上、メーカーはただちにこの菓子の呼称を「塩付きキュウリグミ」と改め、陳謝とともに再発売すべきである。そうすることで、ようやく味と名称の違和感がなくなり、さらにもしうまくいけば、やや変態的なキュウリマニア系ユーザーとかから絶大な支持を得て、空前の大ヒット商品となる可能性だってある。

「すいか味」(←自称)と「すっぱすいか味」(←自称)の2種類が入って、50グラム入り、168円。
製造元はカバヤ。もうじき世界初の革命菓子「塩付きキュウリグミ」を発売し、菓子産業史に、いや世界経済史に、永久にその名を刻むことになるメーカーだ。投資家諸君は、今のうちにカバヤの株を買えるだけ買っておくといいだろう。
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2009.05.05

栄養ソーダゼリー

09050501栄養があり、ソーダの爽やかさがあり、しかもゼリーでもある。「栄養系ソーダゼリー ビタエナジー」は、無類の高機能ドリンクだ。

缶には「冷やして振って ぷるりんシュワシュワ ソーダゼリー」と、楽しげに飲用法が解説してある。しかしそのまま飲むと内容物の色や様態が鑑賞できず、なんとなくつまらないので、いったん計量カップにあけてみることにした。
ところが途中でゼリーが引っかかって、なかなか出てこない。すかさず激しく缶を振って強引に搾り出すと、でろでろでろり~んと大きなゼリーのカタマリが飛び出してきた。その姿は、ゾルゾルな液体系ではなく、明らかにゲルゲルな固体系の本格派ゼリーである。

09050502そもそも栄養ドリンクは、味なんてものは二の次に、滋養強壮を主眼として作られた飲み物だ。なので、もともとあまりうまいものではない。それをわざわざゲテモノっぽいゼリーに加工したんだから、そうとうまずくてもよさそうなものだが、これはメチャクチャうまかった。スキッと爽やかな飲み口と、やわらかい喉越し、そしてやや重めのゼリーの食感が、ちょっとした胃部膨満感までも演出してくれる。
ローヤルゼリーやビタミンCはもちろん、バリン、ロイシン、イソロイシンの分岐鎖アミノ酸 三兄弟もしっかり混ぜ込まれており、機能性も万全。これで味も喉越しもいいのだから、まったく申し分のないドリンクだ。

ダイドードリンコ製、280グラム入り、正確な価格は忘れたが、近所の自販機で普通に売っていた。肉体疲労、ストレス、発熱性消耗性疾患、慢性的な生活の退屈感等に悩んでいる人は、買ってみて損はないだろう。

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2009.05.02

海苔カール

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黒いカールなんてどうだろうと、批判がましい目をして袋を開け、覗き込んでみると、ブツは黒というより深緑色をしていた。黒ならまだしも、この深緑色には、どことなく「緑の葉っぱをいっぱい食べてニュルニュル元気に育ちました!」みたいな幼虫感が横溢していて、たいへんキモい。

見た目がキモい海苔カールだが、じつはたいへんウマい。一目みれば誰もが「キモっ!」と叫び、一口くえば誰もが「ウマっ!」と叫ぶ。地獄から天国へと突き抜けるエモーションの急激な高揚が味わえる、斬新きわまる大人のカールである。

L-グルタミン酸ナトリウムを力のかぎりドバドバねじこんだ感アリアリの、超絶ダシききまくり風味により、史上もっとも渋茶に合うカールとも称される。近頃どうもハイカラなコーヒーは胃にもたれると感じはじめたコンサヴァティヴな初老以降のユーザーには、とくにお薦めだ。他のカール同様、たいへんやわらかく、歯肉炎にやられてズタボロになった口腔環境に優しい点もすばらしい。
手近な碁会所に持ち込み、気の置けない古なじみの仲間たちと、師範学校または海軍兵学校時代を懐かしみながら一局打ちつつチビチビつまめば、さらにいっそう味わい深いことだろう。

1袋52グラム入り、118円。もちろん明治製菓製。

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