一味唐辛子KitKat

鮮やかな朱と黄のパッケージに黒々と大書された「一味」の文字。燃えさかるラテンな情熱の中にもふんだんに和のテイストを盛り込んだKitKatだ。江戸元文年間より平成の今日にいたるまで、信州の地でひたすら唐辛子作りに励んできた、根元・八幡屋礒五郎の一味唐辛子を混ぜ込んだ驚異のご当地KitKatである。
チョコに唐辛子なんぞぶち込んだんだから、さぞかしゲテモノ的な猛味だと思うだろう。が、食ってみると、これが意外に上品でウマい。
唐辛子入りだから、もちろん辛いが、強い辛味のおかげでチョコの甘味がキリッと引き立っている。そればかりか、なぜかひじょうに香りがよい。もともと駄菓子的なチープ味が特徴のKitKatでありながら、一味を投入したおかげで、どことなく高級チョコの風味ただようゴージャスな仕上りになっていた。
なんとなく悔しいが、味は高級だったと認めざるを得ない。そしてさらに悔しいことに、価格はそれ以上に超高級で、なんと12枚入りで840円(!)もする。
サービスエリアの売店で見つけたまではよかったが、高価さのあまり購買には二の足を踏み、店頭で1時間以上迷わされたあげく、やっとのことで意を決して会計に持っていくと、今度はレジのおじさんに「あんた、よくこんなヘンなものにお金出すねえ。どうする気なの?」と呆れられたほどだ。
それにしても、チョコに唐辛子なんぞ入れて、この美味を実現するとは凄い。さすがは歴史と伝統を誇る根元・八幡屋礒五郎。だてに何百年も唐辛子ばっかり作ってきたわけではないようだ。
が、じつは彼らの本分は一味唐辛子ではなく、七味唐辛子にこそある。どうせなら舌触り滑らかな一味なんぞではなく、ジャリジャリと豪快な食感が楽しめる七味でガチの勝負をかけてほしかった。それでこそスペシャルKitKatならではのゲテモノ風味が余すところなく表現できたのではないかと思うと、なんだかちょっと残念だ。


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