CASIO EXILIM ZR200
デジタルカメラを持ち歩く人はずいぶん減った。スマホのカメラが良くなって、わざわざデジカメを使う必要がなくなったからだろう。このコンパクトカメラを作っていたCASIOもついにデジカメ市場から撤退を余儀なくされた。
コンパクトデジカメは意外と難しい製品だ。一般人が日常的に使うカメラだから、ユーザーの使い方は千差万別。ある意味ではプロ用の一眼レフよりも幅広い性能要件を求められる。
近接撮影がうまくできなかったり、広角側が狭すぎて部屋の中がまともに写せなかったり、暗い場所に弱すぎたり、起動に時間がかかったり、シャッターのタイムラグが大きすぎたり、やたら電池をくったりすると、日常生活での使い勝手がわるくなってイライラするはめになる。
僕がカメラをすぐ壊してしまうからってこともあるが、コンデジは機能面で不満な製品が多く、かなり頻繁に買い替えを強いられてきた。でもこのEXILIM ZR200だけは、6年の長きにわたって愛用した。
何よりも素晴らしいのはスピードだ。メインスイッチに触れれば瞬時に起動し、狙ったものにカメラを向けて当てずっぽうにシャッターさえ切れば、たいていはなんとか撮れた。
秒間最大30コマという超高速連写が可能で、この超高速シャッターを応用したHDR(ハイダイナミックレンジ)モードを使えば、夕暮れや逆光などの難しい条件下でも、つぶれず、飛ばず、細部まではっきりわかる自動合成写真が撮れた。
不満な点といえば、充電&データ通信用の接続ケーブルがヘンな謎の独自規格で、他の機器と共用できないばかりか、万一ケーブルをなくすと面倒なことになることと、起動時にちょくちょくレンズエラーが出て一時的に使えなくなることくらい。今月になって決定的なレンズエラーが発生したあとは回復せず、このZR200もついにお役御免となった。
6年間、ほぼ毎日ポーチのポケットに入れて歩き回って、僕はいったいこのカメラで何万枚の写真を撮っただろうか。ロケの現場では、貧弱な激安一眼レフと付属品レンズでは撮れない画角や状況をこのカメラが補ってくれてもいた。
もう使えない壊れたカメラだし、すでに代わりのカメラも買ってある。でもすっかり手になじんだ道具だから捨てるのが惜しい。もうちょっとだけ仕事場に飾っておこうかなんて、わりかし無意味なことを考えている。
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