2012.05.03

giogio factory

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伊藤正道さんは、メルヘンチックなキャラクターが活躍する絵本などを数多く手がけるイラストレーターだ。とくに関西圏では、大阪ガスのキャラクターとして広く親しまれていたから、作品を知らない人のほうが少ないだろう。

たまたま僕の個展に立ち寄ってくれた伊藤さんと知り合ったのを機に、互いの展覧会があるたび案内状を交わしてきた。伊藤さんとしては、誰彼なく機械的に知らせてくれていたんだろうが、僕からもせっせと案内状を出していたから、展示を通したそんな交流は十数年におよぶ。
伊藤さんは、ときどき僕の個展に足を運んでくれていたが、なぜか不運なすれ違いが多くて、めったに逢う機会のない人だった。

昨年末頃、東京・恵比寿で開かれた伊藤さんの個展会場に行き、幸運にも数年ぶりの再会を果たして、無沙汰を詫びることができた。あらためて、これからもできるだけ長く付き合えるといいなと思わせる穏やかな人柄だった。

僕が彼の急逝を知ったのは、さいきん届いた個展「masa ito,forever」の案内状からだった。今年2月に亡くなられたという。

14050302会場のgiogio factoryは、湘南・稲村ケ崎の高台にある伊藤さんのプライベート・ギャラリーだ。毎年のように展示のお誘いをうけながら、出不精な僕はこれまで一度として訪ねたことがない。あるじが世を去った今さらに、ようやく初めて足を踏み入れることとなった。

壁面には伊藤さんの仕事を振り返る作品がならび、故人の写真がいっぱいの花に囲まれていた。ギャラりーの軒先から海を振り向くと、晴れていればまぶしく青く輝くはずの湘南の海岸が、おりからの雨にぼんやりと白くけむってみえた。

個展会期は5月6日まで。残りわずかの会期だが、観に行ける人はぜひ足を運んでほしい。

伊藤さん、やすらかにお眠りください。こころからご冥福を祈ります。

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■geogeo factory 鎌倉市稲村ガ崎3-6-41
■0467-22-6137
■~5月6日(日)/12時~18時
※廊内および作品写真は、ギャラリーの方に許可を得て撮影・掲載しています。

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2012.04.20

DEREFUGE <ド・リフージュ>

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知り合いのイラストレーターが京都でギャラリーをつくった。
その開廊記念グループ展に、メンバーのひとりとして加えてあげてもいいよといわれたので、喜んで参加させてもらった。うまいぐあいに会期中に京都に行く用事があり、ちょっと覗きにいってきた。

12042002ギャラリー ド・リフージュは京都・一乗寺のカフェの2階にある。一乗寺は京都市街の中心から大きくはずれた一画だが、なぜか美術を志す学生たちが好んで集まる。僕自身も、学生時代は用もないのによくうろついていた。

鮮やかなブルーのドアを開け、古びた急な階段をあがると、そこが小さなギャラリースペースだ。
小ぶりのギャラリーは、とかく窮屈になったり、逆に寂しくなったりしがちで、なかなかバランスが難しいものだが、パーテーションをうまく使って楽しげに作られていた。

12042003ギャラリーやカフェの内外装は、ほとんどマスター自身が手作りしたという。手作業のあたたかみが感じられる、簡素で居心地のいいスペースだ。

今回の展示は、「春展」というタイトルで5月6日まで開かれている。
やたら色鉛筆を塗りたくっただけで芸のない高橋の絵はともかくとして、他の作家さんの絵は、いずれも手がこんでいて見ごたえがある。一階のカフェのコーヒーもうまい。時間があればフラッと立ち寄ってみるといいだろう。
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※月曜・火曜定休/但し祝日営業/12時~19時(最終日 ~17時)
※2012年4月現在

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2012.02.14

ココア豆

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「煮豆のスイーツ」だそうだ。

煮豆界にもスイ~ツ界にも、ひとしく大革命をもたらす新機軸である。ただ単に煮豆をココアパウダーでコートしただけという安直な構造と、このレベルの駄菓子をスイ~ツと言い切る度胸がいさぎよい。

しかもスーパーの惣菜コーナーで堂々と販売されていた。スイ~ツの(あるいは煮豆の)新たな販売チャンネルを切り拓こうとするメーカーの野心が垣間見える。
ま、スーパーの店員が置き場所に困って、なるべく目立たない場所でドサクサまぎれに売りさばいちまおうとしただけのことかもしれないが。

だが、浅はかな発想でつくった安直系の菓子だとバカにしてはいけない。一般的に駄菓子というものは、メーカーがあれこれ工夫すればするほどマズくなる。たとえば、お菓子の本場リヨンで修業を積んだ一流パティシエが精魂込めて作ったりすると、最悪の結果をまねくことが多い。
小賢しい工夫をせず、弱小メーカーの工場長(54歳、和歌山生まれ。水産高校中退後、20年の配管工生活を経て食品会社に就職。趣味は将棋とアマチュア無線)のちょっとした思いつきから、かる~く試しに作っちゃいました的な製品が、意外な美味を発揮する。それが正しい駄菓子というものだ。

このココア豆も、じつはひじょうにうまい。いくらでもパクパクいける。企画の安直さと強引さのほどよいバランスが生み出した奇跡の味だ。もしスーパーで見かけたらぜひ食べてみてほしい。

お茶にもコーヒーにもよく合うが、あいにくココアとだけはまったく合わない。
120グラム入り、100円、佃屋食品工業製。

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2012.01.24

個展 AyuX+04

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2011年末の京都クリスマス展、AyuX+04は予定どおり無事閉幕した。おかげで多くのお客様にめぐまれ、いつも以上に賑やかな会期となった。

12012402初めて会うお客様が圧倒的に多い東京展とは違い、京都展はどちらかというとなじみの友人・知人の来訪のほうが多いが、今回はフリーペーパー「リビング京都」で開催情報を取り上げてもらったため、新しいお客様との出会いもかなりの数にのぼった。

展示内容は、9月に開いた東京・吉祥寺の『二十三夜』とほとんど変わらない。いくつか新作を投入したものの、吉祥寺展以降は、多忙にまぎれて充分な制作ができず、じつはちょっと心配していた。でも、結局ほぼ新作のみで壁面を満たせてほっと胸をなでおろすことになった。

12012406ただ、東京に本拠を移して5回目の節目にあたる開催だからと、「銀河めぐりシリーズ」の表題作となった作品、『銀河めぐり』を再出品することにした。
京都に住んでいる時期に半分描き、引っ越し先の東京の家で残りの半分を描いた、ちょっと特別な作品だ。また、独自の塗り重ね技法、ハイパー・バーニッシングを、いちおう完成できたと実感した初めての作品でもある。

12012403_2それまでは、この特殊な質感をもつ独自の制作技法について質問されるたび、既成の技法名がなくて苦心していたが、みずから「ハイパー・バーニッシング」と命名してから、だいぶ説明が楽になった。
数年を経て、今ではこの技法の名を知ってくれる人も増えた。ありがたいことだが、それだけに「作品が看板負けしててガッカリ」なんてことにならないよう、マジメに制作に励まないとマズい。

12012404_2『AyuX+04』でお世話になった皆さん、そのほかのあらゆる機会でご支援くださった多くの皆さん、2011年はお世話になりました。2012年も精進しますので、ぜひ見守っていてやってください。

……なんて、今になって書いているが、すでにこれも遠い去年の話だ。
来年の話をすると鬼が笑うとよくいうが、こんなふうに去年の話ばかりしていると、いずれ知り合いから笑い者にされるに違いない。
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2011.12.19

シティリビング

11121901『AyuX+04』と題して、今年も京都でクリスマス展を開く。

ありがたいことに、ここ数年は、毎年どこかのメディアが開催情報を扱ってくれているが、今年はシティリビング京都で紹介されて、いち早く掲載紙を送ってくれた。

紙面を見ると、なんとなく京都が懐かしい。一面は「2012年に京都初の水族館ができる」という、いかにもローカルっぽい情報で飾られていた。『AyuX+04』の情報も、将棋の駒くらいの小さいカラー図版入りで載っている。

シティリビングは働く女性向きのメディアなので、僕のよーなろくに働いてないヤロウには、本来あまり縁がないんだが、京都に住んでいた頃にはわりと読む機会があった。ごくたまに、編集部から仕事を請けていたせいもあるだろう。

東京に拠点を移してそろそろ5年が経つ。故郷での個展も、こうしてなんとか続けられている。そして、ずっと変わらずギャラリーに足を運んでくれる友人・知人たちがいる。
底冷えで知られる京都だが、僕のクリスマスは、彼らのおかげでいつもあたたかい。

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2011.12.18

塩ゼリー

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このところ、心の弱ったダイエッターを狙ったカロリーゼロのゼリーが各社から発売され、スーパー店頭で熾烈な陣取り合戦を繰り広げている。

なかでも、ひときわ異彩を放っているのが、この「ゼロカロリー塩ゼリー」だ。塩のゼリーというだけでもかなりあやしい雰囲気だが、さらに「レモン風味に仕立てました」と注釈がついているから、ますます不気味だ。

食ってみると、たしかにカロリーゼロだった。
だが、残念なことにうまさもゼロだった。

多くのゼロカロリーゼリーは、ダイエットにともなう空腹の苦痛をやわらげるための軟弱な商品として売られているが、この塩ゼリーは違う。むしろダイエットの苦痛をガチで味わえる硬派でストイックな修行僧向きの商品だ。

ただうまくないだけでなく、かんじんの塩感さえもイマイチで、味のインパクトどころか食べる意味さえあまり感じられない。ゆる~いレモン風味ともいえるし、シャバシャバに薄めたスポーツドリンク味ともいえる。まさしく無辺の乾坤にひたすら曖昧模糊としつつも電光影裡に春風を斬る、いわば禅問答の風味である。

心の修行にピッタリの塩ゼリーだが、販売面ではやはり苦戦しているようだ。これも、いまや日本人がすっかり堕落し、心の修行を忘れ去ってしまったためだろう。哀れにもレジ横の特売品のボール箱に詰められ、1袋30円というウルトラ激安大特価で投げ売りされていた。

ASフーズ製、23グラム×8個入りである。合掌。

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2011.10.07

個展「二十三夜」

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個展「二十三夜」を東京・吉祥寺の にじ画廊で開いた。9月22日から27日までの6日間だった。

毎年一度、東京で開いているこの新作展シリーズは、ここ数年、青山と吉祥寺を行ったり来たりしている。
やたら高級っぽい青山に対して、吉祥寺はだいぶ庶民的といっていい。青山を歩いていると、背後からズドンと一発、散弾銃を見舞われて駆除されかねない山猿系の僕でも、サンダルと半パンで安心して這い回れるよーな街なのだ。

11100701タイトルの「二十三夜」は、十五夜などと同じ月の呼び名からとった。
昔の日本人は、十五夜の満月を喜んだだけでなく、二十三夜の半月もありがたがっていたらしい。夜半にのぼる二十三夜の月を待てば、願い事がかなうという言い伝えもあるそうだ。
個展の初日が二十三夜にあたることと、あんな大災害があったばかりだから、せめて願い事をかなえるおまじないにでもなればとこのタイトルをつけた。

でも、おまじないのわりに、作品搬入日は台風15号の直撃で、東京が嵐にのまれた荒天の一日となった。豪雨にたたかれる窓越しに、暴風吹き荒れる吉祥寺の街が見え、あまりの凄まじさに「搬入が終っても帰れないんじゃないか」と不安になったほどだった。
11100703しかし展示作業が終わる頃には台風もあっさり去った。会期に入ると、一転して初日から穏やかな空模様が続き、最終日まで雨らしい雨に降られずにすんだ。

にじ画廊は、1階がアーティスト・グッズのショップになっていることもあって、買い物ついでにふらっと立ち寄ってくれるお客様が多い。なじみの知人や仕事仲間もたくさん足を運んでくれた。なかには驚くような遠方から新幹線で駆けつけてくれるお客様もあった。
おかげで開幕から最終日まで、ギャラリーはほとんどお客様がとぎれることなく賑わい、楽しい会期を過ごすことができた。

11100704あたりまえだが、展覧会はお客様に絵を見てもらう場だ。でもそのいっぽう、お客様ひとりひとりから絵描きが多くを教わる場でもある。展示を重ねるごとにお客様が増えると、教わることもまた自然と増えてくる。
それぞれの想いを寄せて絵を愛してくれるお客様がいる。だから絵描きには、心のままに描く自由とともに、やはり重い責任もあって、懸命にそれを果たさずにはおかれないのだと、あらためて胸に刻む会となった。

ご来場いただいた皆さん、あたたかい声援を送ってくださった皆さん、そしてもう会場ではお目にかかれない彼方におられるお客様、ほんとうにありがとうございました!
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2011.07.09

ゴーヤーかりんとう

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沖縄といえばギラギラの夏、そしてギラギラの夏の沖縄といえば、やはりゴーヤーにとどめをさす。

ニガウリという別名の通り、ゴーヤーは苦い。いったいなんであんなものをわざわざ食用にしようと考えたのかさえよくわからないくらい苦い。
苦いゴーヤーを使ったかりんとうなら、さぞ猛烈に苦くて、運さえよければ軽く悶絶もできるだろうと期待に胸をふくらませていたが、実際はぐっと控えめなフレーバーで、ほとんど苦みを感じることがなかった。ただただ、ひたすらうまい、普通のかりんとうだ。

苦みがなくて食べやすいのはいい。しかし、苦みがないゴーヤーには、「ややワイルドなキュウリ的食品」という以外には、なんの存在意義もない。苦みが失われたゴーヤーかりんとうにも、「袋にゴーヤーの絵がついたかりんとう」という以外には、なんの存在意義もない。

そもそも、うまいかりんとうにゴーヤーが入っている必要があるだろうか?(いいやない!←反語法)

やはりゴーヤーならではの、「ややマズ感」を追及することで、まずい菓子マニアが喜ぶ鮮明なインパクトがほしかった。
もし、菓子メーカーとしてそんなまずい菓子を作るのは沽券にかかわるというなら、せめてデザインにこだわってはどうだろう。たとえば、かりんとう全体を緑色に塗りたくっておくとか、激しくイボイボのあるワイルドな外観を演出するとかの、わかりやすいゴーヤー系ギミックがほしかった。

味にはなんの不満もないが、ゴーヤー感不足にやや不満を感じるかりんとう。沖縄県糸満市の南風堂製、50グラム入り98円。

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2011.06.29

インスタント茶の湯

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ティーンエイジャーの頃から抹茶を好んでいる。「免許を取らせナイ、買わせナイ、運転させナイ」という憲法違反も甚だしいバイク三ナイ運動まっただなかの高校時代、校則でかたく禁じられていた免許を取ると、たちまちヨンヒャクのバイクを買い、夜な夜な爆音をまき散らして街じゅうを暴走したあげく、翌日の授業をサボって落ち着く先が、心静かに抹茶が飲めるひなびた喫茶店だったりしたほどだ。

抹茶はやたらと行儀作法にうるさいドリンクだ。でも作法なんてカケラも知らない。ただ飲むだけなら、とくに必要のない知識だからだ。

深めの椀に2グラム見当の粉を入れ、ぬるめの湯を70ccばかり注いでかき混ぜれば出来上がる。うるさいことをいわなければ、作り方はインスタントコーヒーとさほど変わらない。粉の分量や湯の温度もだいたいで差し支えない。

また、しょーもないコダワリさえもたなければ、ツールもなんでもよい。

さすがに茶筅だけは母から譲り受けた中古品を使っているが、茶碗はパン屋が春のキャンペーンで配っていたクマのカップ、茶杓はいかにもお茶用っぽい色をしているが、じつはキウイを買ったときに付いてきたオマケのスプーンだ。
道具は安物でも、気が向いたときに、ふと改めて茶碗など愛でるのも一興だ。

「なかなかようでけた茶碗ですなあ。春には春の、秋には秋の、なんともいえん風情のあるクマですよってなあ……」

などと、それらしく(京都弁で)つぶやくと、抹茶ムードもガゼン盛り上がる。

しかし、ここまで徹底して簡略化しても、粉と湯を混ぜる工程だけは、まだちょっと面倒だ。そろそろ茶筅をやめて、パワフル&スピーディなフルオート電動泡立て器を導入しようかと検討しているが、さすがにそこまでやると、千家あたりから冒涜だとかなんとか苦情がきそうなので、まだ踏み切れずにいる。

11062902茶は伊藤園製の「霧の音」、20グラム入り525円、1杯あたり約52円50銭。他の激安ドリンクに比較するとやや贅沢な価格設定だ。

ちなみにこの日の茶菓子はお気に入りの「麦らく」だった。激安駄菓子ながらも、クロウト好みの、じつにいい味を出す。シアワセドー製、160グラム入り148円。

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2011.06.24

東西カラムーチョ

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激辛スナックに先鞭をつけたカラムーチョが、このところしきりに東西対決を演出している。

東の代表、東京・浅草の「やげん堀」は1625年から続く七味唐辛子の元祖。いっぽう西の代表、京都・祇園の「黄金一味」は、鷹の爪の10倍の辛さを標榜する和風スパイスだ。パッケージも赤と金、チップス自体も赤と金になぞらえて、なかなか華のある配色となっている。

とはいえ、さすがに本気でスパイスの辛さ比べだけをさせるわけにもゆかなかったんだろう。実際には辛み以外の調味料の配合を大幅に変えて味を作り込んである。
スパイシーな直球勝負で迫る東京・やげん掘りのガチンコ味と、辛さ控えめでダシとガーリックを押し出した京都・黄金一味のクセモノ味は、いずれもうまくできていて甲乙つけがたい。

とりわけ京都出身・東京在住の僕には、母の仇と父の仇が果し合いをするようなものだから、判定に苦しんだ。
しかし、カラムーチョの伝統的な風味を守りつつ、さらなるうまみを引き出すことに成功した点を買って、今回はやはり東京・やげん掘に軍配をあげることにしよう。

いや、みやびで礼儀正しい京都の人たちなら、このくらいのことで怒り出す心配はないから安心してほしい。それどころか、ニコニコとほほえみながら勝者の腕をとり、高くかかげてその勝利をたたえてくれるはずだ。
ただしそのとき、挙げた腕の下で、相手の足をしっかり踏んづけ、かかとの一番硬い部分でニジクリ回していることだけは見逃してはならない。
クセモノ味のカラムーチョを生み出した京都は、一度や二度の敗北には屈しない日本随一のクセモノ・シティーなのである。

湖池屋製、58グラム入り、105円。近所の百均で売っていた。
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2011.06.20

メカ箸

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よくわからない金属ケースだが、これは箸である。

最近はやりの「マイ箸」は、外食のときに店が用意した割り箸を使わず、自前の箸で飯を食う行為や、その箸をいう。このマイ箸ブームのおかげで間伐材の需要が落ち込み、日本の林業を荒廃させる一因にもなっていて、じつはちっともエコじゃないという側面もあるようだが、それはともかく一般的には、いちおうエコっぽいライフスタイルとして人気なんだそうだ。
このメカ箸も「ステンレス携帯お箸(Stainless Portable Anytime Chop Stick)」と銘打っている。やはりマイ箸ブームをうけて作られたものだろう。

11062002スーツの胸ポケットにさりげなく差し、ランチタイムのちょっとしたおしゃれも楽しめるクリップ付きアルミケースを開けると、内部には2分割されたステンレス製の箸が装てんされている。
箸の接合部は、精巧なスクリュー式。食事となれば、ここをギュギュッと締めこんで手早く組み上げ、飯を食う。しかもこのアルミケースは(ちょっと不潔かもしれないが)箸置きとしても使えるという。じつに激しく男心をくすぐるメカメカしいアイテムではないか。

実家に転がっていたのをもらってきたから、正体はよくわからないが、Asahi Weeklyの名入れがあるから、まあおおかた朝日ウィークリーのノベルティなんだろう。朝日ウィークリーも、またずいぶん思い切った箸を配り散らしたものだ。

ところで、このステンレス製の箸を製造し、アルミ製の専用ケースに組み込んで、名入れと箱詰めをして出荷すると、いったいどのくらいの資源とエネルギーを消費するんだろう。それが割り箸だと何本分にあたるのか、朝日ウィークリー編集部に一度きいてみたいものだ。
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2011.05.09

インテリゲン

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「知的・栄養補給」を標榜する、新型栄養ドリンク、インテリゲン。
アホの僕にはよく理解できないのだが、テアニン200mg、ぶどう糖7000mgを含有しており、どうやら脳とかがバリバリ元気になる効能があるらしい。

サブコピーには、「体力だけでは勝負できない現代社会で戦うあなたへ」の文字が踊り、いかにも賢い人専用っぽい、いかにも丸の内ホワイトカラーっぽい、いかにもIT系の大企業でアカウンティングの仕事してますけど最近社内の公用語が英語になっちゃったんですよねハハハっぽい雰囲気をぷんぷん漂わせている。
ここまではっきり書かれてしまうと、脳幹の腐敗した激安三流イラストレーターをはじめとしたアホ系労働者階級には、なかなか手が出しにくい。

以前からかなりハイレベルのアホだった僕だが、加齢のためか、最近さらにアホ化が進んで困っていたところなので、さっそくインテリゲンで喉をうるおすことにした。
味はまあまあふつうの栄養ドリンクで、うまくもまずくもない。しかし、これで賢くなれるんだったら、それだけで十分で、味なんてどうだっていいともいえる。

が、しっかり1本飲み終わっても、アホはいっこうに改善しなかった。軽く眠気は飛んだし、実際、一時的に脳の活動性が上がったようにも感じられるのはまさに驚きだが、脳はあいかわらず空っぽのままだ。
古代サンスクリット語の資料を読むことも、ジョージ・ワシントンからバラク・オバマまでアメリカの大統領の名前をそらんじることも、人工衛星の軌道計算も、全然できるようになってない! これはどうしたことなのか、アホの僕にはまったく理解できずにいる。

ところでアホの僕には、ほかにもまだ理解できないことがある。
いったいどうしてメーカーは、このドリンクに「インテリゲン」なんて名前をつけたのだろうか? そこがどう考えてもわからない。

いや、さすがにいくらアホだって、「インテリゲンチャ+源または元気の元」あたりから、なんとなく薬っぽい語感になる名前をつけたんだろうってことくらいは、僕にもわかる。
わからないのは、せっかく賢い人専用ドリンクを作ったのに、どーしてわざわざこんなアホ全開な名前をつけちゃったのかって点だ。もう少し名前が賢そうだったら、賢い人たちにもすんなり受け入れられ、ハーバードやオックスフォードでメガヒットを記録した可能性もあるだけに、たいへん惜しまれる。

100ml入り、たしか100円くらい、サントリーフーズ製。近所のスーパーで買ってきた。

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2011.05.07

北のおいちゅープリン

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「おいちゅー」は、どことなく幼児コトバっぽいが、そうではなく、何かを吸い込むときの「ちゅーちゅー」というオノマトペからつけた名だろう。

赤いフタ付のマヨネーズ用っぽい容器に詰めた流動性プリン。「飲むプリン」というコンセプトは、いくらか不気味ではあるものの、これまでになく新鮮で革命的だ。

名前が子供っぽいので、甘ったるい子供向けプリンを想像するかもしれないが、味はしっかり大人向きの本格派。
ただし、プリンのトゥルン♪とした軽やかな食感はあまりなく、どちらかというとマヨネーズ系のドゥロンとした重い食感だ。うんと甘くして酸味を取り除いたミルクっぽいマヨネーズだと思えばいいだろう。
11050702好き嫌いは人それぞれだろうが、少なくとも意外性と味の良さがみごとに両立され、たいへんよくできた菓子となっている。

が、わずか110グラムの少量で315円はちょっと高すぎる。これでは腹がふくれないだけでなく、ダイソン並みの他に類を見ない吸引力を誇る人だと、わずか数秒で吸いきってしまって、ゆっくり楽しむ時間もないはずだ。

また、数名で分け合って食べるにはちょっと抵抗がある。
たとえば汗臭いラグビー部の男子学生数名が、毛むくじゃらの柔道部の男子学生数名とともに、「ウス!」とか「アザッス!」などと野太い声をかけあいながらチューチュー音を立てて回し吸いしているシーンなどは、ほとんど公序良俗に反する。薄汚い男性諸君は、できるだけひとり一本を基本として買い求め、個室や物陰などでこっそり食べるなど、喫食マナーをしっかり守ってもらいたい。

長沼あいす酪乳品工房製、カスタード味。近所のコンビニで売っていた。

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2011.05.02

燃え辛 暴君ハバネロ

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数年前からネタの手詰まり感をぷんぷん漂わせていた暴君ハバネロだが、徹底的にバリエーションに困りぬいての苦肉の策なのか、ついに「形の工夫」へと走り始めた。これはようするに、マッチ棒型になってることだけが売り物の新型暴君だ。

味にろくな工夫をせず、形だけ変えてお茶をにごすなんて、暴君の威厳もいよいよ地に墜ちたかと思ったが、よく見るとパッケージには、ど~んと「カプサイシン200%」の効能がうたわれている。
しかしいくら200%とかいっても、そんなに辛くないだろうと油断してかぶりつくと、これが猛烈に辛かった。も~むちゃくちゃ辛い。すさまじく辛い。ゲホゲホするほど辛い。これだけ辛くしてあれば、味にはじゅうぶん工夫があるといってもいいだろう。

いくら血も涙もない暴君といっても、これまでの暴君には、どこかに民を思うやさしさの片鱗が垣間みえたものだ。しかし今度の暴君には、そんな温情などカケラもない。デカダンスと崩壊の美学さえ感じさせる、まさに狂王と呼ぶにふさわしい超凶暴な激辛暴君だ。

ただ、こういった真の暴君は、帝王としての美意識が高すぎるため、なかなか人民の支持が得られないのが欠点である。もう少しわかりやすくいえば、マジ暴君は不人気に陥りやすい。また、その凶暴さゆえに、社会的弱者には厳しい。子供や老人といった人たちは、よく注意して食べてほしい。

いわずとしれた東ハト製、40グラム入り。近所のスーパーで58円だった。暴君が市場にあふれすぎたせいか、売価にデフレの悲哀がにじんでいる。

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2011.04.21

どうぶつの親子展

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いつもクリスマス展でお世話になっている京都のギャラリー風蝶庵から、グループ展の誘いをうけた。「どうぶつの親子をテーマに、いろんな作家さんが作品を展示する。何か絵を描いて持ってくるように」という話だった。
グループ展にはめったに参加しない僕だが、サルの絵を1枚描き、ありがたく参加させてもらうことにした。

あいにく会期中には見にゆけないスケジュールだったが、たまたま作品搬入日に関西出張が重なったので、搬入作業には参加できた……なんて書くと、いかにもキリキリ立ち働いてきたようだが、むろんそうではない。まわりで黙々と展示作業を進めている作家さんたちの邪魔にならないよう、大急ぎで自分の絵を吊るし、一目散に逃げ帰ってきただけだ。

展示作業中に写真を撮ったので掲載しておく。読者諸賢は、まずこの写真でサルの絵をざっくり眺め、それからおもむろに花粉症用の洗眼液などを利用してよく目を洗い、つまらないサル絵の残像をきれいにすすぎ去ろう。それからあらためてギャラリーに足を運び、クリアになった網膜に、他の素晴らしい作家の方々の作品を焼き付けてくるといいだろう。

会場は、京都・御幸町のギャラリー風蝶庵。会期は4月16日(土)~4月24日(日)、正午から午後7時まで(最終日は午後6時まで)の展示だ。入場はもちろん無料。

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